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解説:叙事詩「ほのほつみ」について(1)

5つの場ごとの物語のあらまし


叙事詩「ほのほつみ」の物語構成

ようこそ! 叙事詩「ほのほつみ」の物語へ!
叙事詩*「ほのほつみ」は、農民あがりの兵士「喜平きへい」と小さな神「ほのほつみ」との7年にわたるいくさの物語です。
この物語は、5つの「場」、つまり主人公とそれを見守る小さな神が、戦を渡り歩く国や地域の5つの「場」からなっています。
そして、それぞれの「場」は、いくつかの「話」があり、全34話からなっています。
「話」の順番は、農民あがりの中年兵士、野木喜平の7年にわたる転戦の流れに従っています。

ひとつの「話」は、ストーリーの展開する「物語」と、全体の印象を表す詩**(うた)からなります。
1話ごとに、ある程度内容がわかるようにつくっています。ですので、どうぞ気の向いたところで、どの「場」のどの「話」から読んでいただいても、じゅうぶんお楽しみいただけると思います。また、物語は「語り」を前提として書いています。声に出して、お読みいただくとより臨場感が高まると思います。
ただ、どんな国でその国の状況***がどうなっているのか、どことどこがどう戦をしているのか。また、登場人物の関係やその神がなにをつかさどるのか?  という「あらまし」を知っておいたほうが、よりわかりやすいと思います。
その説明を以下いたします。

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*叙事詩とは、古くからある「物語」で、だいたいは「神」とともに「戦」を「語り」つたえる物語です。印刷技術やインターネットなど物語を伝える便利な道具ツールがない時代、文章は「書く」よりも、ひとまえでの「語り」が大切で、むしろ息づかいや身振り手振りのある「語り」を通して、同じ場を共有する人たちに共感を与えたのです。「私」という主体をたいせつにする現代では、忘れられた物語のスタイルですが、叙事詩はひとを越え、より高みにある「神」の視点を採り入れ、あやめあうひとの宿世すくせがなんと憐れであるかと嘆き伝えてきました。なぜいま、「叙事詩」なのか、それは別の記事、「語り伝える「叙事詩」が、なぜ「いま」必要なの?」で説明します。

**詩は、文字通り「うた」だったのですね。叙事詩も、「詩」であることからやはり「うた」だったようです。この辺は、別の記事、「語り伝える「叙事詩」が、なぜ「いま」必要なの?」で詳しく書きますが、たとえば「平家物語」は琵琶でうたいます。私・野々穂村は残念ながら曲は作れません。ゆくゆくは、これらの「詩」に曲がつけばと願っています。

***どんな国でその国の状況かについては実在の国、地域をモデルにしていますが、すべて仮としています。なぜ、仮なのかは、別の記事、「国名や地域名を「仮」とする、深い理由わけで説明いたします。

5場ごとのあらまし

叙事詩「ほのほつみ」に登場する主な国と地域

第1場 出兵、目覚めし小さき神(4話、①~④)

場面は、うしお巡る太洋、「ひろつ流れ海」に葦芽のごとく浮かぶ島国、あしかび国の農民、喜平が出兵するまで。とある神社で、ことのはを風に伝える神、ほのほつみを目覚めさせます。
【タイトル】

1話/ほのほつみ誕生 ①
2話/別れの晩餐 ②
3話/船出 ③
4話/大陸へ ④
【主な登場人物・神】
・農民あがりの兵、野木喜平野木家のひとびと
・ことのはを風に伝える神、ほのほつみ
・潮と風の導き手で船の護り神、姚光子(ヨウコウシ)


第2場 天の中つ国へ進軍、目覚めし竜(10話、⑤~⑭)

場面は大陸の東にある大国「天の中つ国」の南の一帯。とくに大河の河口に開けた都市まち「華港」と「華港島」が戦の場となります。

【タイトル】
1話/上陸-姚光子の国へ ⑤
2話/作戦会議 ⑥
3話/火砲演習 ⑦
4話/妻からの手紙 ⑧
5話/非情の選択 ⑨
6話/輝ける姚光子の都市まち ⑩
7話/山中夜間行軍 ⑪
8話/貯水池からの砲撃 ⑫
9話/華港島上陸作戦 ⑬
10話/輝きの失せた都市まち ⑭

【主な登場人物・神】
・火砲隊の兵、野木喜平
・火砲隊の兵で馭者、兼松と馬「天竜号
・ことのはを風に伝える神、ほのほつみ
・地と天を行き来する神、竜王神(リョウオウジン)
・潮と風の導き手で船の護り神、姚光子(ヨウコウシ)


第3場 ヒンジャブ国へ進軍、神宿りし鳥(6話、⑮~⑳)

場面は、さらに南にある島国、森繁る「ヒンジャブ国」。豊かな石油を巡って戦が繰り広げられます。

【タイトル】
1話/自動車火砲隊の誕生 ⑮
2話/南へ、馬を載せて ⑯
3話/天へ黒き煙立ち上る  ⑰
4話/森の奥から見つめる目 ⑱
5話/語り部の預言 ⑲
6話/あてどなく南へ ⑳

【主な登場人物・神】
・火砲隊の兵、野木喜平
・火砲隊の自動車運転手、川村隆治
・ことのはを風に伝える神、ほのほつみ
・ほのほつみを運ぶ、不老不死の海亀
・ほのほつみを運ぶ、輝ける神宿る鳥
・ヒンジャブ国に伝わる、影絵劇の老人


第4場 ラボーレ島での持久戦、永久の樹と色鳥(13話、㉑~㉝)

場面は南の赤道直下にある「蛇神へびがみが護りし島々」。そのひとつの島、ラボーレ島であしかび国の兵たちは持久線を強いられます。

【タイトル】
1話/わたつみの竜 ㉑
2話/蛇神の護る島へ ㉒
3話/椰子の浜の約束㉓ 
4話/蛇神大島へ ㉔
5話/十字架の家 ㉕
6話/永久の色鳥 ㉖
7話/うるわしの島 ㉗
8話/原隊復帰の船で ㉘
9話/幻影-漂いながら ㉙
10話/永久の樹の種 ㉚
11話/ばかは死ななきゃ治らない ㉛
12話/天駆ける ㉜
13話/舟を待つ ㉝

【主な登場人物・神】
・火砲隊の兵、野木喜平
・喜平の幼なじみで歩兵隊の兵、中島金治
・火砲隊の兵、川村隆治
うるわしの島の看護婦、さえ
・ことのはを風に伝える神、ほのほつみ
・潮と風の導き手で船の護り神、姚光子(ヨウコウシ)
・ほのほつみを運ぶ、不老不死の海亀
・ほのほつみを運ぶ、永久の色鳥


第5場 帰還、喪われし小さき神(1話、通し㉞)

場面はふたたび、うしお巡る太洋、「ひろつ流れ海」に葦芽のごとく浮かぶ島国、「あしかび国」。長い間の戦は終わりました。

【タイトル】
1話/燕の子 ㉞

【主な登場人物・神】
野木喜平野木家のひとびと
・野木喜平の幼なじみ、中島金治の妻


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