毒親とは戦争後遺症 世代間連鎖を断ち切るために
「安心の神経」という言葉を聞きました。ご自身もHSPであり国家資格キャリアコンサルタントである皆川公美子さんが腹側迷走神経複合体をさして言う造語です。皆川さんは今まで5000人を超えるHSPの相談に乗った経験から、20歳までに安心の神経を育むと、働きだしてからつまずきにくいことを実感したそうです。皆川さんのFB投稿はこちら
私はちょうどその反対側を生きてきたからこれが本当だとわかります。
小学生の頃、しょっちゅうお腹を下す、言葉遣いが乱暴に変わる、など様々な兆候が現れましたが、親は登校が当たり前という態度でした。「学校に通わないとまともな大人にならない」は父の口癖でした。しかし、無理に通ったからまともに働けなくなったのです。
「安心の神経」が育まれないまま無理に登校を続け、誰でも知ってる大学を出るほど成績は良かったのですが、卒業する時は息も絶え絶え、就活からフェイドアウトしました。20代半ばからカウンセリング通い、回復に長~い時間がかかりました。今も自律神経を整えるセラピーを継続中です。いくら神経に可塑性があると言っても、早くに手当するに越したことはありません。
神経状態は「協働調整」と言って親の神経状態が子どもに移るというのは、私自身の育ち方を振り返るとすごく良くわかります。私は金切り声を上げて泣き叫ぶような子でした。母の自律神経が過緊張・過覚醒と虚脱を繰り返していたことが関係しているようです。母は1946年(昭和21年)生まれ、戦後の混乱期です。母方の祖母は、食料の確保から文字通り命がけで子育てをしたと思われます。寛ぐなどと言う贅沢とは無縁の極限状態。その神経状態は母に受け継がれ、それがまた私に移ったのでしょう。3代続く戦争後遺症とも言えます。幼子には過酷すぎる状態で、私が悲鳴を上げるのも無理ないことです。ちなみに悲鳴を上げると誰も構わず放っておかれました。下の子もいて手に負えなかったのでしょうけど、絶望感は身体に刻み込まれて後々まで尾を引きました。
親が「自分の身体と心の繋がり」を見直す
言うは易く行うは難しですね。でもこれなしに子どもと繋がる方法はないと思います。ただし、できる親とできない親がいます。多分できない親が8割いや9割かな。私は毒親育ちなのでどうしても見る目がシビアになります笑。私の親は残念、自分の身体と心の繋がりを見直すことはできません。ちなみに、親がその大切なプロセスなしに、どこかで習ったコミュニケーションのやり方などを使うと、子どもにはひどく白々しく映ります。私の親が見直しをできないと決めつけるのはもう一つ理由があります。戦後を生き延びた神経状態に固く閉じ込められていて、解除するのがほぼ不可能だからです。
ここでいうおじいちゃんおばあちゃん世代がちょうど私の両親です。父は昭和15年(1941年)生まれ母は同21年(1946年)生まれで、戦後の混乱期を生きた人たちです。生き残りにかけたエネルギーは相当だったでしょう。その時セットされた神経の状態は強固であり、ちょっとやそっとの働きかけでは変わらないはずです。そもそも本人たちに変える理由がありません。物のない時代に物質的繁栄を目指して必死に働いてきた、それが全てです。
私の訴えに対して父が「一生懸命だった」以上お終い。それはそうだけどね・・・。親にどんな事情があろうとも、子どもすなわち私が「親のせい」で壊れたのは事実です。親は諦めてよその話が通じる人たちと生きていきます。
大学の仲間が就職して「普通の人生」を歩んでいるのを横目にカウンセリング、スピリチュアル、代替療法などに通う日々でした。生産性のない時間、履歴書に空白が増える、などと思っていましたが、上の世代に与えられなかった安心の神経を得るために必要なプロセスだったようです。知らず知らずのうちに「世間様」「ご迷惑」「和を乱さない」3点セットをそこそこ手放すことができました。(まだ残っているので清掃中)
話を不登校に戻すと、現実の問題は「みんな一緒」の学校以外に教育の機会が全然ないことです。義務教育の教育機会を確保する法律もあるのですが。これが実施されるだけでだいぶ違います。学習意欲はあるけど地域の公立小中学校に合わない子どもはごまんといるはずで、その子たちに多様な就学機会を国家が責任をもって整備すべきです。ニュースを見ればわかりますが、お金はあるところにはありますよね。
大学卒業後ぱっとしない人生でそんな自分を卑下しましたが、案外あれで意義のある「仕事」をしたのかもしれません。おかげさまで、家庭教師として独特の存在感を放っているようです。過酷な育ち方をした私にはよそのお子様とこういう形で関われるのはとても嬉しいし慰めでもあります。
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普段は数学の家庭教師です。お仕事ブログ
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