「味読」という究極の読書法

「1年間で100冊読破しました」

「1冊3分で本を読んで、人生が変わりました」


そんな投稿をSNSやネットで見かける。
そのたびに「読む」と言う行為は人に
よって様々な意味を持つと
言うことがよくわかる。


読書に対する向き合い方は人それぞれだと思う。

読書法の本は巷に溢れかえっていて、
何が正しいのか自分に
合っているのかと言うのは
自分で正解を出すしかない。

筆者は週に1回、オンラインの
読書会に3年間参加してきた。
年間50冊以上の本をプレゼンし、
200冊以上の本のレビューを
インプットしてきた。

そこで今回は
今まで習慣的に読書をしてこなかった方、
何のために読書をするのか、
そういったことに目を向けてこなかった方
には参考になる読書の向き合い方を
紹介したい。

速読は本当に必要か。味読という向き合い方



冒頭の例ではないが、
本をたくさん読むことが目的化していて、
そのことで自己満足している人
がいるのではないか。
かつての私もそうだったから、
きっと若い人の中には多いの
ではないだろうか。


「コスパ」と言う言葉が
使われるようになって
から、「速読」や「瞬読」といった
言葉がもてはやされるよう
になっていると感じている。


情報や知識をインプットする。
このような目的であれば、速読は
大きな武器になるのかもしれない。
ビジネス書をたくさん読む人には
こういったスキルが魅力的に
映るのであろう。気持ちはわかる。


読書の目的は人それぞれだ。
自己研鑽、資格試験の勉強、
娯楽としての読書もあるだろう。


私は常に思っている。
読書を継続して、ポジティブな感情や
成長につながる実感を得ていたいと。

もちろんよりたくさんの方に出会いたいし、
大量のほうに触れることで
了承に出会える可能性は当然高くなる。

だが自分はコスパを重視した速読は苦手だ。

今目の前に出会っている
「成長につながる何か」と対話しながら
身に付けたいと思っているからだ。

いわば、「味読」するということ。

意味はゆっくり味わって、その文章と
対話しながら読むということになるだろうか。

とにかく味わって読む。
自分が良書だと思った本は、
このように向き合っている。

なぜ味わって読むのか。

理由はシンプルだ。

人は悲しいほど忘れる生き物と
いうことが関係している。

受験生の時代に、エビングハウスの
忘却曲線を学んで愕然とした。

100%覚えたとしても、20分経過すると
その約40%は忘れてしまう。

1日経過するとその約75%、1ヵ月経過すると約80%は忘れてしまう。




知識や技術だけでなく、
大切な人との思い出までも
忘れ去っていくものではないか。

まだ10代だった自分はこの理論を知り、
勝手に感傷的になったものだ。

ところが今はいちど読んだ本を
忘れてもいいと思っている。
それは味読の楽しみがあるからだ。

たとえば、
若い時に読んでいた小説。

当時は少し背伸びをしたつもりで
読んだ気になっていた。

ところが15年以上経って再読してみると、
物語が新鮮に見えるだけでなく、
15年前ではわからなかった場面や
作者の言葉選びの意図などがわかることが
ある。

不思議だ。
本に掲載されている文字は、
改訂版などを手に取らない限りは
絶対に変わらない。

しかし年月を経て読者は歳をとり、
その間にさまざまな考えや
価値観に触れ、変化している。

そのためか、はじめて読んだときの
印象とガラッと変わってしまうような本が
次々に現れることがある。

夏目漱石の「こころ」も国語の教科書で
出会った時は「ふーん、なるほどね」と
分かったつもりになっていたのが、今
改めて読み返してみると
「そうか、そうだったのか、
それでこの言葉を使っているのか」と
納得できたことがあった。


じっくり再び本と向き合う機会を
得ることで、学びの機会は十分に得られる。
それは速読を繰り返し、大量に
読書するよりも自分には幸せな
向き合い方だと思っている。


速読、多読も大いに結構だと思う。

ただ言えることは、読むことが目的に
なっての自己満足は避けたいと思う。

大学生のときに、背伸びし過ぎて難しい学術本を身銭を払って買っただけで満足してしまうようなことはしたくない。


味わって1冊の本を丁寧に読む、
もしくは時間をおいて再び手に取ってみる。
皆さんにも自分に大きな変化や
衝撃を与えた一冊がきっとあるだろう。


その本を最後に手に取ったのはいつですか。

本に書かれている文字は
一言一句変わっていません。

しかしあなたはきっと変わっているはず。
今向き合ってみると、
その活字達は別の大きな意味を
あなたにもたらすかもしれない。

最近本読んでないなぁ。

そう思う人は、ぜひ自分の部屋からその1冊を取り出してみることから始めることをお勧めしたい。

味読という読書法で人生をもっと味わい
深くしていこう。

味読に興味を持った方へ。
ぜひこちらの本がオススメです。


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