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散歩のついでに富士山に登った人はいない

美しすぎるワインドアップ。

これが、私の中での
この選手の代名詞だろうか。

能見篤史投手。41歳。

プロ野球の選手はエリート中の
エリート中のエリートだ。

プロに入るには、
毎年開かれるドラフト会議という場
で指名されることが最初の条件である。

2020年度の会議では、指名され、
プロへの道が開かれたのはわずか123人。
昨年の東京大学の合格者数
が約3,000名だから、
いかに狭き門ということが、
お分かり頂けるだろう。

すごい、すごすぎる。
プロ野球選手というだけで、
無条件でリスペクトを私は
覚えてしまう。

能見投手の昨シーズン最終登板と
なった、11月の甲子園球場。
若返りを図るチームの方針により、
阪神タイガースのユニフォームを
着てのラストマウンド。

最速149キロのストレートで観衆を魅了した。

そして今シーズンからは
オリックス・バファローズで
コーチ兼任でプレーすることになった。

ある程度プロ野球で
キャリアを重ねた選手は、
自分自身で現役の幕引きを
選択する時期が来る。

そのうえでよくこの2つの
考え方に分かれて
メディアで取り上げられることが多い。

①自分のあるべきパフォーマンスが出せなくなった時点で、潔く引退する。

②年齢による衰えに最後まであらがいながら、 ボロボロになるまでプレーする。

どちらが正しいということではない。
その選手の流儀があらわれる。

この問いに関しての能見投手の答えは、
どのような形であれ、納得してやめたい
というものだった。

昨シーズンのラストマウンドでは、
しっかり健在であることをアピール
していることから、
まだ①とも②とも判断する
タイミングではまだまだ
ないのかもしれない。

「納得する」という言葉の重み

この「納得する」とはどういうことか。

どうしても人それぞれの主観と
いうことになる。

たとえば、
大きなプロジェクトが一区切りしたとき。
転職したとき。

「これで良かった」と納得して、
次に進むためには何がポイント
となるのか。

能見投手はあるインタビューで
こう述べている。

一番はしっかり準備するということ。しっかり自分を追い込んで、そしてシーズンを迎える。
それが一番、自分で納得すること
だと思います。
その上で結果が出なければ、
出た結果に納得するしかないと思うんですよ。

                     週刊ベースボール 
2021年1月25日号
(ベースボール・マガジン社)より

普段の生活や仕事においても、
「納得する」ことはその先の
ストレスやモチベーションに
大きく影響する


自分は何のために、
この仕事をしているのか。

この作業は誰に役立っているのか。

いま出ている結果や評価を、
心の底から受け入れられるのか。

これを決定する大きな要素が
準備であると、このインタビューで
改めて認識させられた。

散歩のついでに富士山に登った人はいない。

これも準備の重要性を
わかりやすく表現した言葉であろう。

富士山は気軽に日帰りで
登山することはありえない。
時間も、服装も、持ち物も
入念な準備が必要だ。

毎朝、ベストパフォーマンスで
在宅勤務を開始するための準備。

重要な取引先へのプレゼンの準備。

大切な人と出かけるための旅行の準備。

毎日のやるべきことを
果たした上で、納得して
その結果を受け入れる。
それが豊かに生きる上での
一つの知恵だと思う。

目標を決めて、逆算して淡々と準備という
やるべきことをやる。
その上で出た結果を受け入れる。


ここに能見投手の
プロの生き様を垣間見た気がした。

日常でも、自分のあるべき姿を描いて、
やるべきことをやる。
そのうえで、自分がコントロール
できない部分も含めて向き合う。

これが「納得する」ということなんだろう。

もうすぐプロ野球が開幕する。
いまは最高のパフォーマンスを発揮すべく、多くの選手が準備を進めていることだろう。

能見選手をはじめ、
しっかり準備を進めた選手が
「納得して」シーズンを終えられるよう
精一杯応援したい。


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