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採用面接をアップデートする

ユーザー体験を設計する前にUXデザイナーは様々な形で情報収集を行います。
その中でも「ユーザーインタビュー」では短時間で最大限の効果を出すためあらかじめ質問を用意し、聞き方を工夫したりと様々なテクニックを用いて相手の心理に迫ります。

そこで採用面接を一種のユーザーインタビューと捉えてみました。自分を良く見せようとする対象者の誇張を見抜き、本質を理解するヒントを得るためにできることを考えます。

1.質問を用意する

当たり前と思うかもしれませんが、採用活動は現場の社員が片手間で行なっていることも多く、本業が忙しい時には履歴書を事前に見ることもままなりません。どんなに忙しくても5分前には履歴書を一通り読み、聞きたいことをメモしておきましょう。

実際に質問するときも、Yes,Noで答えられる聞き方ではすぐに会話が終わってしまいます。
「XXXが得意なんですか」「はい、得意です」ではなくて
「XXXが得意になったきっかけはなんでしたか」「じつは・・・」
のように一言で終わらず、回答を限定しないオープンな質問を心がけます。

「XXXで苦労したのはどんなところですか」
「XXXについて具体的に教えてください」
「XXXはどんなところが面白いんでしょうか」

2.座り方を変える

面接でよく見かける対面型の配置は、ユーザーインタビューではベストとは言えません。相手の視界の正面に入らないようL字に座ってみましょう。


また相手とのラポールの形成(信頼関係の構築)が大切です。面接側が上の立場にあるなどとは考えずに「あなたの味方です」というスタンスの方が様々な話を伺えます。時には会社の愚痴や自分の就職/転職時の話も交えても良いでしょう。

3.履歴書の画面共有

履歴書や職務経歴書は対象者の自分史です。生きてきたその年表には様々なエピソードがあるはずです。こうした年表を一緒に見ながら話を伺うと、本人も忘れていたような話が聞けることがあります。

そうした貴重な触媒をお互いに見ながら話せるよう、ディスプレイを用意しましょう。文字が小さいなら拡大表示か次のアイディアを利用します。

4.他の資料を用意する

履歴書は情報を抜け漏れなく書いてもらうためのフォーマットです、前述のようなインタビューに用いる素材ではありません。例えば芸能人の人生を振り返るコーナーでよく使われるこういった幸福度グラフを描いてもらいましょう。

これは過去の体験に感情の起伏などを併記してもらい、その理由を聞く手法です。なぜそこで幸福度が高まった(低くなった)のかを説明してもらいます。

こういったゲストの話をうまく聞き出す手法はテレビではお馴染みです。BS日テレの人気番組「おぎやはぎの愛車遍歴」の一場面では

最大でボード3枚、ゲストの「愛車遍歴」「仕事遍歴」「愛車遍歴ハイライト」を掲載し、皆で見ながらトークを進行しています。(台本はもちろんあるのでしょうが。)

5.お礼を言う

ユーザーインタビューの対象者はある種サービス開発の協力者です。採用面接も仲間集めの一環で行うインタビューだとすれば悪い印象を持ってもらうのは避けるべきです。対象者自身も採用側を観察しています。

事前に準備し、きちんと話を聞く姿勢を見せるだけでも印象は良くなります。履歴書すら読んでおらず面接時に読んでいるのをみると、正直受ける方も嫌な気分になりますね。

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ユーザーインタビューも採用面接もお互いに限られた時間の中で共感し理解を深める点では同じです。

こうしたテクニックを利用して話を聞くことで、はじめは見えなかった特徴に気づき、お互いのミスマッチも減るかもしれません。ユーザーインタビューについてきちんと学びたい方はこの辺りの書籍がおすすめです。


それでは

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