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小さな会社が初めての採用活動で学んだこと|NEXTMEDIA採用活動振り返り

この note は、「創業 1 年の地方零細企業が、Webを使って初めての採用活動に取り組んだ話」について書きました。

ネクストメディアの坂上(さかうえ)です。

高知県で小さな会社を創業して、あっという間の 1 年が経ち、年明け早々から初めての採用活動をスタートしました。

※創業1年目の振り返りは、下記の note に書いたので興味を持ってくださった方は併せてご確認ください。

僕たちは、主にWebサイトや販促物、広告などを通じて、中小・ベンチャー企業の情報発信を支援しています。そのなかで、クライアント企業さんの採用活動をサポートすることも多いです。

会社員時代には、合同企業説明会などで会社説明プレゼンや、新入社員教育も経験させてもらいました。

ですので、採用活動において何をしたらいいのかはある程度イメージが付いていました。

それでも、自分たちで作った会社の採用活動は、分からないことだらけで試行錯誤しながら行いました。採用活動を通じて、自分の仕事観や事業、会社という存在について深く考えるきっかけになったと感じます。

考える領域がすごく広くて、頭の中がいっぱいになったよ…
(現在進行系かも)

今回も、自分の気づきを振り返る意味でも、note に書いておきたいと思います。何かひとつでも、採用活動に取り組む皆さんにとって参考になれば嬉しいです。

手が回らない!…じゃあ、人を採用しよう!?

ネクストメディア株式会社が、フルタイムで営業をスタートしたのは、2021 年 4 月です。

おかげさまで、2021 年末には仕事のオファーがいっぱいになり、新規のオファーに対してお待たせをしてしまう状況になってきていました。

「忙しくて手が回らない」=「人を採用しよう」というのは、現場からよく上がる声だと思います。

また、それに対して「人を雇う前に、まず現在の体制で工夫して効率化できないか」という視点も大事だと言われます。

A:採用活動と、B:業務効率化。

会社員時代は、当然のようにどちらにも取り組んでいたのですが、今回はちょっと違いました。

採用にも、業務効率化にも取り組みづらくなる心理的なバイアスがかかりました。

自分たちの採用活動においては、やり方がわからないというよりも、取り組むべき理由や「応募してもらえるんだろうか」という不安=自信のなさと向き合うことのほうが大きかったかもしれません。

業務効率化の壁:「阿吽の呼吸」にマニュアルは必要か

創業メンバーの二人は、お笑いコンビのボケとツッコミのような関係で、責任領域がかなり明確に分かれており、かつ二人揃って一つの業務を完結するスタイル。

それぞれ一人で複数の専門領域を抱えており、互いに業務を交換できない業務も多いため、互いの仕事の細かなところは把握できていなかったりしていました。

メンバーを増やすことを考えると、業務を体系化してドキュメントを整理し、マニュアルに落とし込む必要性があると、ふたりとも頭では理解しています。

でも、目の前の業務は「阿吽の呼吸」で進められるし、目の前の仕事は盛りだくさん立ち止まってマニュアル化する優先順位がどうしても上がらない。

そんな状況で、タスク管理ツールや業務確認のための日報やミーティングは、やり始めてはすぐに形骸化することを繰り返していました。

いっぽうでクライアントワークとしては、クライアント企業さんの業務フローの可視化や体系化を受託しているため、「やろうと思えばできるんだけど、いまは目の前の仕事をこなすのが優先だよねー」という意識が、業務効率化に着手する言い訳として働いていたと思います。

採用の壁:「吹いたら飛ぶような、何も整っていない零細企業に、人が来てくれるのか」

業務効率化の第一歩である、仕事の可視化やドキュメント化が進んでいない状況は、「こんな状況で新しい人が来ても、働きづらいのではないか」という不安や劣等感にもつながります。

創業 1 年で「何とか自分たちの給料が出せる…かも!?」というレベルの状況で、正直、高い水準の給料は設定できないですし、そもそも募集をかけても誰も来てくれないんじゃないか。

短期間に大量の採用を実現し、急速に拡大するスタートアップ企業や、歴史ある企業の採用状況や雇用条件を見ながら、正直、自分たちの職場に自信がなかったのだとも思います。

とはいえ、自分たちが掲げたビジョン、ミッションを実現するためには、創業時の人数ではすでに限界を迎えつつあり、どうしてもいまの ”ショボくて何も整っていない会社に、飛び込んでくれる変わった人"(失礼)を見つける必要があります。

「環境は整っていない、給料や福利厚生は低水準、そんな会社に来てくれる人はいるのだろうか?」

そんな疑問が頭をよぎり、「採用活動やっても成果が出なくてさらに凹むんじゃないか」と怖くなります。

また、僕たちの仕事はクライアント企業の事業を伸ばすために、短期間にクライアントの事業構造を把握し、課題解決や目標達成のための施策を実行に移すことが求められるため、誰でも明日からできる仕事でもないと考えています。

何もかも整っていない、時間が不足している、仕事が溢れている…という状況を言い訳にせず、新メンバーには何とかして一日も早く戦力になってもらう必要があり、そのための支援活動も必須でしょう。

「いまあるもの」と「ないという事実」を伝えるしかない

もし、現状の僕たちのチームに入ってくれる人がいるとしたら、それはどんな人だろう?

その人は、どんなことを仕事や職場に求めていて、いまどこにいて、何を考えているんだろう?

どうやったら、僕たちは、その人に出会うことができるのか・・・。
接点を持つことができるとしたら、それはどんなチャネルなのか・・・。

気づけば、お昼休みにランチを食べながら話す内容は、すべて「まだ見ぬ次の一人」のことになっていまいした。

「僕たちの強みも弱点も分かった上で、前向きにサポートしてくれる人」
「現状を受け入れて、いっしょに作ってくれる人」

「そんな人に来てもらいたいし、そんな人じゃないと来てくれないよね」

「カッコつけずに、ありのままで勝負するしかないよね」

これは、僕たちが支援しているクライアント企業さんにもいつも言っていることでもあり、実際に、マーケティング支援のお仕事において、「ありのままを伝える」という考え方で成果を出してきたことを思い出しました。

「自分たちができる方法で、まずやってみるか…!」

そうして、次の日からランチミーティングは採用施策に関するディスカッションに変わっていきました。

年末年始が、知ってもらうチャンス

「現状をわかった上で、受け入れてサポートしてくれる人」と出会うには、まず「現状」を言語化して、相手がアクセスできる場所にコンテンツとして設置しておかなくてはいけません。

そして、相手が求めているタイミングで、そのコンテンツにアクセスしてもらう必要があります。

人口比率的に、高知県でマーケティングや Web デザイン、広告に関わっている人は多くない。県外にいるけど U ターンしたいと考えている人も含めて、自分たちを知ってもらうには、帰省のタイミングを逃したくない。

そんなことを考え、年末年始までにできる限りの準備をして、採用ページを作ろうと決めました。


就職は、スイッチングコストが高い買い物だから「説明しすぎ」ってことはない

ネクストメディアのチームサイト(企業サイト)は、文章量が多めです。
まだまだ認知度も低く、アクセス数も少ないです。

それでも、創業から 1 年で忙しいと感じるくらいのお問い合わせをいただいてたりします。

解析ツールで分析をすると、かなり隅々までコンテンツを読んでくださった上で、問い合わせてくださるお客さまが多いです。

長い文章を読み込んでくださる理由。

それは、自社事業や商品のマーケティングやプロモーションを任せるパートナーを探している会社が真剣だから、と考えています。

マーケティングパートナーは、一度選ぶと成果を出すために一定期間付き合うことになるため、思いつきではなく、真剣に検討した上で、実力はもちろん、社風や担当者の人柄、コミュニケーションスタイルなども加味して選ぼうとするはずです。

「丁寧に説明してくれると思った」「助けてくれそうだと思った」というお問い合わせをいただくのは、とても嬉しいです。

「就職」も真剣に考えている方からすれば、同時に 2 つ 3 つと購入できない買い物。しかも、一度購入(入社)すると、スイッチする時間も精神面の負担も大きいため、慎重に選ぼうとするはずです。

思えば、自分が会社を選ぶときもそうでした。

できるだけ、僕たちの現状が伝わるコンテンツをつくらなくては…。

休みの日を使って、自分たちの会社や仕事について、できる限り実態が伝わるように言語化する作業を進めて、①会社案内スライド、②採用ページ、③募集要項(ジョブディスクリプション)を作りました。

採用ページ公開! そして…

クライアント企業さんの採用コンテンツをつくる要領で、自分たちが言いたいことを、できる限り求職者目線で表現しようと取り組みました。

自分たちの仕事や会社というのは、どうしても第三者視点で見ることが難しく、知人に声をかけて見てもらったりもしましたが、全く逆の意見もあったりで、最後は創業メンバー二人の直感を信じて決めました。

年末休業前に公開したかったのですが、間に合わず、採用ページを公開したのは 1 月 3 日。

自分たちの会社が、給料やオシャレなオフィスなどの物質的な価値の魅力で勝負することは難しいので、「いっしょに同じ目標を追いたいと思えるか?」「単純にいっしょに働きたいと思えるか?」「この仕事をこの職場でやる意義が見いだせるか?」「互いに支え合って、成果を上げ成長したいと思えるか?」で判断してもらうしかありません。

採用ページには、ちょっと青臭いかなとも感じつつ素直な気持ちをメッセージとして言葉にして、取り組んでいる仕事、課題などを記載しました。

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また、まずは気軽にお会いして話ができたらと考え、スタートアップ企業を真似して「カジュアル面談」を設定してみました。

結果、ありがたいことに 2 週間ほどの短期間で、複数の応募がありました。

採用のゴールは、入社ではない

ネクストメディアが提供するサービスは、「組織の情報発信」と「Webの活用」が重なる領域で求められるものすべて、と定義しています。

これは、Web 制作会社と広告代理店で働いた経験から、課題解決方法を特定の手段に限定すると、自分たちが売りたいものを売ろうとする心理が働いてしまうことを学んだからです。

中小・ベンチャーの現場に、本当に必要な施策を考え、現実に実装するには、手段を絞り過ぎず、目標から逆算して必要な施策をゼロから考えたほうがいいと考えています。

この考えから、クライアント企業の課題が見つかると、未経験領域も含めて課題解決の手段を探索し、既存のノウハウと組み合わせて提供するスタイルが生まれました。

クライアントごとに異なる課題を個別に追いかける。それを複数経験していくと後から、共通項が括り出せることがあります。

「こういう事象が出ているときは、営業構造と組織体制について確認すればいい」「一番最初に取り組むべきは、売れている要因を特定すること」などなど、複数のクライアント課題に活かせる知見を括りだし、それを標準化・定型化して、他のプロジェクトに展開するやり方を取っています。

従って、いっしょに働いてくれる新メンバーには、経験やスキルを持つ即戦力の人以上に、必要な知識・スキルをスピーディに学習し身につける素養=「学習エンジン」が求められます。

また、経営者さんや事業責任者さんの状況や課題感に寄り添って、ビジョン→戦略→施策→体制→仕組みの落とし込みや、施策実行結果を戦略などの上流フェーズにフィードバックする姿勢や視点がある人が必要になってきます。

入社がゴールではなく、入った後にどんな働きをしていただくか

クライアントの状況や要望が、今ある知識や経験を超えたものであったときに、足りない知見を補いつつ、どうやって成果を生み出していくかを考え、現実に実装することができるか。

最初から、思うような成果を出せなかったとしても、既存メンバーの力を借りながら、あるいは既存メンバーをサポートすることで間接的に成果に貢献できるか。

経験を積みながら、足りない知識を学習し、貢献領域を広げて、個人としても成長実感を持っていただけるか。

一人の自立した社会人として「誰かの役に立てる人」となり、チームに貢献し、クライアントと共に成果を上げ、評価を得て、ステージを上がっていけるか。

新メンバーは合流してくれた後、どんな仕事をしていくのか。

彼 / 彼女たちは、日々どんな体験をし、どんな気持ちで働き、自分の仕事や職場をどのように考えるようになるのか。

そこまで見えていないと、採用するのは無責任だと思うようになりました。

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小さい会社だからこそ、真剣にカルチャーフィットに向き合う

僕たちも相手を見ますが、相手も僕たちを見ることを考えると、認識のギャップがないほうが互いに幸せそうです。スイッチングコストが高い買い物ですし、何しろ、小さな会社は一人の影響力が大きいです。100人 + 1人よりも2人 + 1人のほうが新しく入った人の影響はとても大きい。

そう考えて、問い合わせ時のマッチング調整(問い合わせてくれる人を選ぶ)→カジュアル面談→書類面接→一次面接→二次面接→入社後オンボーディングを、時間の許す限り、設計をすることに挑戦しました。

まずは何のために会社をつくり、何のために仕事をするか。改めてまだ見ぬメンバーに向けて伝えるドキュメントをつくりました。

そして、自分のやっている仕事を、「職能」として括りだし、さらにその職能を遂行するために必要な「姿勢」「スキル」「知識」に括りだす。

このプロセスの中で、様々な問いが浮かんできました。

- クライアントの成果を上げるためには、どういう力が必要なのか。
- なぜ、その職能がチームの中に必要で、他の職能とどのような連携が必要なのか。
- 連携をするためには、どんな考え方や姿勢を持っておく必要があるのか。
- そして、スキルだけでなく、必要な考え方や姿勢は、どうやって身につけられるのか。

この問いを繰り返す中で、自分たちのサービス、クライアントにとっての価値、どんな会社であるべきかについても、解像度が高まっていくのを感じました。まだ見ぬメンバーに伝えたいことも明確になってきました。

カジュアル面談で学んだこと

ありがたいことに何人かの方が、カジュアル面談に申し込んでくださいました。

カジュアル面談をやっている高知県の事例が思い浮かばなかったので、スタートアップ各社の先行事例を勉強させていただき、「カジュアル面談を、面接の場にしない」というルールを定め、そのルールを意識して、応募者の方と話をしました。

結論としては、自分たちの職場や仕事の価値を、より立体的に捉えることができるようになったと思います。

僕たちの業態や仕事内容が、応募者の方にどこまで理解してもらえているか。ミッション、ビジョンに共感くださった人は、どんな経験や背景を持っている方なのかを知ることができました。

また、応募時点での経験やスキルが少なくても、チームの一員としての貢献意欲が高く、短期でキャッチアップして戦力になってくださるかどうか?を判断したいと考え、カルチャーフィット(ミッション、ビジョン、バリューへの共感+体現できるかどうか)を重視する方針で面接を組み立てました。

成果はともかく、方針としてカルチャーフィットを重視する正しさも、カジュアル面談を通じて感じることができました。

カジュアル面談と並行して、行動指針である 7 つのバリューは、さらに具体的な「Do(推奨される行動)」と「Don't(推奨されない行動)」として表現したドキュメントになり、選考過程でも活用するようになりました。

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カジュアル面談では、僕たちの現状や価値観を伝えました。
そこから選考に応募くださった方には、書類選考で価値観のギャップがないか確認する課題を設定しました。

一次面接は、応募者の方がどんな価値観や生き方、働き方をしてきて、どんな思想、姿勢、視点を持っている方なのかを知る機会として設定。

二次面接は、チーム内の課題・問題点をオープンにして、どうしたら解決できるか、応募者の方が入社したらどんな貢献ができるかをディスカッションするようにしました。

内定。ここからスタート

小さな会社の初めての採用活動は、なんとかかんとか、最初のマイルストーンである「内定者を出す」ところにまで辿り着くことができました。

これは、スタート地点だと思っています。

僕たちは、阿吽の呼吸のボケとツッコミであった「お笑いコンビ」から、一つの曲を異なる楽器で鳴らす「ロックバンド」のようなチームに変化を遂げたいと考えています。

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でもこの新曲は、まだサビだけが決まっているだけ。
イントロ部分も決まっておらず、どうするか考えている段階です。

僕は段取りが上手にできるタイプではなく、何をやるにも、最初は難しいことばかりです。地方で小さい会社を起業するのも、なかなかのハードシングスだなーと毎日のように感じます笑。

片時もいろんな課題が頭から離れないし、休みは取れないし、やるべきことが多岐にわたって身体と思考が千切れそうになります。

不十分なこと、できていないことばかりで情けなくなったり、申し訳なくなったりの日々です。

でも同時に、「なんて面白いんだろう!」とも感じています。

そう思わせてくれる仲間が、周りにいるからかもしれません。

新しいチャレンジが、世界を知るための扉をまた一つ開けてくれて、まだまだ世界は知らないことばかりで、知れば知るほど面白いって、教えてくれるからなのかもしれません。

コロナ禍はまだ終わらず、世界情勢を伝えるニュースは明るいものばかりではありません。

でも、やりたいことを見つけて、チャレンジする。
一人ではできないから、仲間を求めて声を上げる。
立てた旗に人が集まり、やがてチームになる。
チームでいっしょに、泣きながら笑いながら、つまづきながらも前進する。

その楽しさは、きっと変わらず、僕たちの隣にあり続けてくれる。
世界中の小さなチームに、「頑張ろう」と言いたい。

誰だって最初は、小さな一歩から。

小さなチームのチャレンジが、その小さな一歩が世界を広げてくれると感じているから。

僕たちも、頑張ります!

気に入っていただけたら、サポートいただけると嬉しいです! コミュニティ活動や学習に使いたいと思います。