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徒然なるままに気後れ。 -第八回-

近況

毎週新ネタを披露しています。
そんなことをしているのは同期で僕だけです。
というのも自分のスタイルというか見せ方が定まっていないからです。
今日も、もがいてもがいて生きています。

あ、今回の大テーマは「刹那」です。


この間


「この間さ~」
娘の話は必ずこんな枕詞から始まる。

「この間」とはどれくらい前の話なのだろう。

時には半年前、また時にはほんの数時間前。

さすがに幅が広すぎないか?

「この間さ~」
学校でのこと、ピアノ教室でのこと、夢の中のお話。
彼女の話はバラエティに富んでいてわが娘ながら聞き入ってしまう。

「この間さ~」
今日も始まった。

ただ、今日は少し疲れている。
会社でのミスが重なり肩身の狭い思いだ。

彼女なりに僕を勇気づけようとしてくれているのかもしれないが
正直大きなお世話である。

酒を飲み、おつまみの枝豆をかじった所から記憶がない。

「この間さ~」
また今日も僕は同じ話を聞く

いつからだろう?娘が新しい話をしなくなったのは。

いつからだろう?娘のトーンが一定になったのは。

いつからだろう?娘が同じ動きしかしなくなったのは。

いつからだろう?娘の目に光がなくなったのは。

いつからだろう…

「この間さ~
私、お父さんに殺されちゃったんだよね」


君と発明家の少し寂しげな春


人類最大の発明は『愛』だ。

『愛』があるからこそ子孫が繁栄し人類は発展していく。

化学も力学も幾何学も…果てには心理学に至るまで。
全ての根幹には『愛』が埋まっている。

だが私たちの間に『愛』はない。
あるとすれば『自愛』だけだ。

『他愛』のない会話ですら私たちの間には存在しない。
なんて皮肉なジョークだろう。

この部屋には『愛』が産まれなかった小宇宙が存在している。

神を名乗る何者かも結局は我々と同じ人類だった。

それならば結局
人生とは霞がかった荒野を杖一本で歩くようなものではないか…

…カタカタカタッ

「今日はここまでにしておこう」

夕子はそう呟きベッドに突っ伏した。

明日からまた退屈な日々が始まる。

この電脳世界に広がる夢想の文章が
かろうじて夕子を生かしていた。

「楽しい時間は早く過ぎる…」か。

まるで相対性理論を唱えた彼のように
夕子はホンモノの世界へと旅立った。



フェルトと鹿毛


ふわりふわりふわ

ふわりふわりふわ

鹿毛が舞う 光とともに

もらゆもらゆもら

もらゆもらゆもら

フェルトが歌う 風のように

交わることのない二つの欠片

ふわりふわりふわ

ふわりふわりふわ

鹿毛が囁く 曲がり角で

もらゆもらゆもら

もらゆもらゆもら

フェルトが揺らめく 空の合図で

僕らがそれをくっつけた

汚れた手でくっつけた

僕らがそれを生みだした

イケナイおもちゃ生みだした

最後に見たのはまばゆい閃光

とてもきれいなはなび



タネアカシ

この間

アルコールって恐ろしいものです。
お酒で記憶を失くす瞬間って刹那だよね。
まぁ記憶失くすほど飲んだことないんでわかんないけど。

君と発明家の少し寂しげな春

創作をしている人って皆発明家であり、中二病だなって思って書き上げた。
春って環境が変わる季節だけど切なさも感じて…
でも夕子は…
ってこの感覚伝わるといいな
タネアカシとか言っといて全部は語らないスタイルなのだ。

フェルトと鹿毛

メロディーをつけたくなる
これはもう詩だよねもはや
ショートストーリーじゃないよこれ。
ルール違反やで。


次回未定


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