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ほっかいどう暮らし163 石焼ピビンバ

うちのご近所の飲み友達にゆういちさん(40代後半)という人がいます。

ゆういちさんには一人娘がいるのですが、とても人懐っこい子でご近所のみなさんから「アンちゃん」と呼ばれて可愛がられています。

うちとゆういちさんとはもう何年も家族ぐるみの付き合いをしているので、僕もうちの妻もアンちゃんが小さい頃から実の娘のように接してきました。

そのアンちゃんも今では高校生。

最近は部活も忙しいようで、顔を見る機会もずいぶん減りました。

さて、先日の平日の朝

ちょっとお腹の調子が悪く、出社の時間を遅らせてトイレにこもっているところへゆういちさんから

「ひよっとして、今家にいる?」

と電話がきました。

「どうした?」と聞いたら、「娘からバスに乗り遅れたって連絡がきた。悪いんだけど

ゆういちさんは仕事で遠方にいるので戻れないとのこと...。

高校は職場へ行く途中にありますし、まぁアンちゃんの為ならと急いでゆういちさんの家に向かいました。

「すみませ~ん」と恥ずかしそうに助手席に乗り込んできた制服姿のアンちゃんは、ちょっと大人びて見えました。

小さい頃から知っているとはいえ、女子高生と合う話題など持ち合わせていない僕としては「当たり障りのない話」に考えを巡らせ

「きっと今日はいい事あるさ」

なんて何気なく言ったら

「たとえば?」

と返される。

んんっ?たとえば???

そこで僕

「ん~、いい事と言っても女子高生のアンちゃんとおじさんとでは違うと思うから...アンちゃんの『いい事』ってどんなこと?」

と聞いてしまった後、「最近のスイーツやファッションの話なんかをされても、ついていけないなぁ」と思っていたら

はっ?ビビンバ?!

「あ〜、高校生になっても変らないなぁ」なんて考えながら、無事時間までに学校へ送り届けました。

そんなことがあった週末の夜。

ゆういちさんと、同じくご近所の飲み友達のコーイチさん(50代初め)と僕の3人でお酒を飲みながら「学校へ送った話」になり

僕 「アンちゃんはビビンバを食べたいそうだよ。休みの日にでも連れて行ってあげるといいよ」

と、ゆういちさんに言ったら

いやいや、あなたの娘でしょうっ!!

そして

ゆういちさん 「だってビビンバって焼肉屋で食べるやつでしょ。娘と2人で焼肉屋っていうのも...」

と言う。そこで僕

「札幌には、おいしいビビンバを食べられる韓国料理の専門店がけっこうあるみたいだよ」

と教えてあげたら

そんな訳で、明日下見を兼ねて『カジュアルでおいしいビビンバが食べられるお店』を探しに札幌へ行く事になりました。

翌日の朝、ゆういちさんの運転で出発。

1時間半ほどで札幌に入り、伺いましたのは

酒のマルミ」さん...ってビビンバじゃないのかいっ!!

「酒のマルミ」さんは、全国の銘酒が取り揃えられていて

試飲や日本酒の量り売りもある、お酒好きには堪らない酒屋さんです。

おじさん達はじっくりと時間をかけて吟味し、気に入ったお酒を2本ほど購入していました。

お店を出た後、車に戻って

だからっ!ビビンバだってっ!!

「あぁ、そうだった」と言って、そこから札幌駅前に移動。

駅近くの立体駐車場に車を駐めて、目指すはステラプレイス6階飲食店街。僕が昨夜調べたところでは『いい感じ』の韓国料理店があるらしい。

ところがおじさん達、ステラプレイスを通り越して隣の「エスタ」の建物に入って行く。

「こらっ!どこへ行く?!」

と僕が言ったら

ゆういちさん 「エスタの2階のお酒売り場」

コーイチさん 「ここのお酒売り場は見ておかないと」

そこで

「また酒かっ!!」

と強く抗議をしたら

おじさん達 「だってまだ昼前だよ

...。

エスタ2階のお酒売り場でしばらく高いウィスキーやワインで目の保養をした後、やっとステラプレイスの飲食店街へ。

伺いましたのは

コリアンキッチン シジャン 札幌ステラプレイス店 さん

白と赤を基調とした明るい店内で、若い女性のお客さんが多い感じ。

お昼時で満席だった為、15分ほどお店の前で待ちました。その間にショーウィンドウを観察

一番人気は「シジャン石焼ピビンバ」らしい。

牛カルビやプルコギの乗ったピビンバも美味しそう。

ラッポギってなんだ?ラーメン?

なんて言い合っているところに名前を呼ばれて店内へ。

カウンター席に案内され、僕は「ジジャン石焼ピビンバ」を、おじさん達は石焼ピビンバとミニ冷麺のセットを注文しました。

こういうお店は不慣れな為、他のお客さんが何をどんな風に食べているのか気になったのですが、オヤジ3人でジロジロと眺めていたら間違いなく怪しまれると思い

ガラにもなくオスマシしていました...。

そこへジュージューと音をたてて、やってまいりました

シジャン石焼ピビンバ

なかなかお店でビビンバを食べる機会がないので、念のためどうやって食べるかメニューで確認

「伝統の味を愛でるように混ぜて」と書いてあるので、大事に大事に混ぜてみる

途中で卵も入れてみる

キムチの赤と卵の黄色、う〜むおいしそう

混ぜている間にもどんどん底の方が焦げてきて、香ばしくいい香りが漂います

まずは一口...熱いっ!でもうまいっ!!

あまり辛味は強くなく、味噌のコク深く甘い味わいと色々な食感が楽しい

あぁ、焦げたところがまたうまいっ!食がすすむっ!!

ごちそうさまでした。お店の雰囲気も含め、女性のお客さんが多い理由がわかる気がします。でもオヤジも十分楽しめました。

その後は

ゆういちさん 「最初はおしゃれで入りづらい感じだったけど、いい店だったな。今度はクッパやラッポギも食べてみたいよ」

コーイチさん 「俺はチャミスルにヤンニョムチキンかな。チヂミもいいな。また食べに来ようぜ」

僕 「じゃあ、今度はアンちゃんも一緒に連れて来よう。きっと喜ぶよ」

なんて話をしながら家に帰りました。

それから数日後の土曜日の朝。

けっこう雪が積もったので雪かきをしようと外に出たら、家の前で部活に出かけるアンちゃんに出くわしました。

そこで

僕 「札幌でおいしいビビンバのお店を見つけたよ。今度お父さんとおじさん達と一緒に食べに行こう」

と言ったら。

えっ?ええっ??

「大丈夫です」ってなにっっっ?!

おしまい

つまり『お断り』されたんですね(笑)






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