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介護福祉事業所の人事労務戦略室 ~次世代リーダーを育てる 連載第31回 「人事考課・評価制度④=モデル人材の具体化」

こんにちは。ラボ事務局の杉田です。
今週もラボ代表及川による「介護新聞」連載企画(第31回)をお届けしてまいります。
第31回のテーマは「人事考課・評価制度④=モデル人材の具体化」です。

31回目となる今日の連載では、これまでの「人事考課・評価制度」の流れをさらに具体化していきます。
ビジネスマンとして、単に給与や評価の制度を知るだけでは不十分。大事なのは「どのような人材を求め、どのように育て、評価するか」、すなわち「モデル人材の具体化」です。
このテーマを理解し、取り入れることで、組織が目指す方向性や人材像が明確になります。
具体的なモデル人材の設定は、組織の未来を描く大切なステップ。それでは、この興味深いテーマを一緒に探求していきましょう。

介護福祉事業所の人事労務戦略室 ~次世代リーダーを育てる
連載第31回「人事考課・評価制度④=モデル人材の具体化」

 評価制度の組み立ては理想とするモデル人材像を具体化してくことです。事業所の採用する人材や雇用形態によって、パターン化が必要か検討しましょう。
 大卒採用、高卒採用、キャリア採用、時短勤務、通常勤務等求める人材像が異なればモデル人材を複数持つことも選択肢の1つです。ただし、モデル人材のパターン化でキャリアが閉ざされる、といったイメージを職員に与えるのであればおすすめしません。

 モデル人材を決める上で、成長人材だけでなく停滞人材像の想定も重要です。成長のピークは何歳か、それ以降も同じ成果を出せるのか。停滞気味の職員は退職していくのか、または在籍し続けるのか。そこまで考えると、等級基準の上限値が見えてきます
 停滞人材は退職しても仕方ない、とするのであれば降給ルールが決めやすくなります。モデル人材をもとに、各等級の職員が担う役割を設定します。
 例えば、マネジャー職のレベルを3段階(見習い・一人前・ベテラン)とします。各段階の理想とするマネジャーが担う成果、マネジメント領域をどの程度満たすべきかを決めていきます。

 等級基準を職種別でも用意するかを検討しましょう。各職種のモデル人材をより具体的に決められるので、職員の成長意欲を刺激する等級制度ができます。一方、職種の異なる部署への異動時には等級が下がりやすくなり、部署異動を拒む職員が増える可能性があります。さらに、等級基準が多いほど運用が困難となる傾向にありますので、慎重に決めましょう。

 給与をさまざまな角度で分析し人事課題に仮説を立てます。例えば、労働分配率が低いと利益貢献しない行為も評価して昇給させていると想定されます。年齢別平均給与を比較すると、若手が給与の伸び悩みを感じモチベーションが下がっている可能性があるかもしれません。
 「若手職員が退職しないよう給与水準を高める報酬制度に変える」よりも、「入社3年目の正職員が月給25万円もらえる報酬制度に変える」と、改善策をより具体化し定量目標を盛り込みましょう

 給与水準を決めるにあたって大卒採用の社員を想定した場合、どの等級に何歳までに上がってほしいかを決めます。
 次に、各等級の月収または年収を決めます。業界業種平均、職種平均、求める生活水準、最低賃金など複数の基準をもとに検討しましょう。年収は月収に支払い実績のある賞与額を加算すると想定しやすくなります。

 停滞人材への給与水準についても解説します。さまざまな考え方があると思いますが、筆者は一律に全員平等という組織づくりは、維持できないと考える立場です。
 停滞人材は退職しても仕方ないとするなら、給与水準は下降ぎみに設定します。残ってほしいなら給与水準は据え置き、または非常に緩やかに下降するよう設定します。

 新卒採用の社員を想定した給与水準をもとに、各採用方法、雇用形態の社員の給与水準を決めます時短社員の給与水準は各等級の基準となっている職務、役割をどこまで満たせるかを考えると決めやすいです。中途社員は個別対応でどの給与水準を適用するか確定する、というルールを決めていれば運用できます。

 作成したモデル年収をもとに、賃金テーブルを作成します。等級の中に号俸(ごうほう)という細かい段階を設け、基本給・職能給の金額を当てはめていくやり方もありますし、号俸にこだわらず等級内での昇給幅を事業所で決定するやり方などさまざまなやり方があります。
 号俸制を導入する場合は、号俸数を増やすほど毎年少しずつ昇給できるため、在籍期間の長い働く社員に報いることができます減らすほど成長著しい社員が昇給するため、短期間で成果を出す社員に報いることができます

 賞与についても考察します。初めて人事評価制度を導入する場合は賞与の方が検討しやすいかもしれません。
 いずれにしても万能な評価制度はありません。自分の事業所で活躍してほしい、活躍の仕方を自分たちで決めるオーダーメイドの対応が求められます。

介護新聞9/8付「介護福祉事業所の人事労務戦略室―次世代リーダーを育てる!!」
http://wwu.phoenix-c.or.jp/~medim/kaigo/2023/202309kaigo/kaigo20230908.html

今週もご訪問いただきありがとうございました!
また次回、第32回の記事でお会いしましょう!

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