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お別れの時期によく言う言葉「それが仕事なんです」

「それが仕事なんです」

3月になると保護者によく言う言葉。

年度末になり、卒園や進級を前に、保護者の方とこの1年で成長したことを振り返ることがある。

「保育園に通わせたからできるようになりました」とか、
「先生に教えてもらったからできるようになりました」
と言われると、冒頭の
「それが仕事なんです」
が登場する。

でも、実はちょっと違う。
すぐに登場するわけではない。


子どもには自分自身で成長する力がある。

やりたいという子どもの気持ちに寄り添って、子どもがやれるように環境を整えているのが、私たち保育士の仕事。

時間がなかったり、余裕がなかったり、家庭ではじっくり取り組むことが難しいことも、保育園ではできる。

例えば、自分で排泄できるように幼児用のトイレがあるし、着替えがしやすいようにちょうどいい高さのベンチがある。
靴と靴下が向きを揃えて置いてあったら、自分で履いてみようかなという気持ちもわきやすい。

ワンオペではないので床に食べこぼしてもゆとりを持って拭ける。
もしくは、食べこぼしたままでも着替えたり昼寝したりするスペースが別に確保されていて、後で拭けるようになっている。

ボタンでつながるフェルトの電車をつなげたい!という気持ちから、ボタンができるようになり、ボタンの服が一人で着られるようになる。
ただ渡すだけでは初めはできないので、どこを持つか、どこを見るかを知らせている。
習得のコツややり方は知らせるけど、やってみようと思うかどうか、やるかどうかは子どもが決めること。



子どもの成長のための物的環境や人的環境を整えているのが保育園というだけで、成長の主語は子どもという話をすると、

「そんな細かいことまで考えてもらってるんですね」
「先生たち、さすがですね」
と感心される。


いや、だから、それが仕事なんですよ。


でも、保育士だって子どもと一緒でほめられたらうれしい。
素直に「ありがとうございます」と言う。

目には見えなくても、やっていることはいっぱいある。
それを知ってもらえると嬉しくて、ニコニコしている。
今はマスクの下だけど。


マスクなしで子どもにも保護者にも笑顔を見せられる日が早くくるといいなと願う。





保育士の仕事って、意外と知られていない部分が多いよね、子どもの成長は保育園のおかげではなくてその子自身のものだよ、というお話。







おしまい












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