月額8万円
その数字を目にした時、私はとっさに0歳児の保育料の最高額がそのくらいだったな、と思った。
大好きな森絵都さんの「風に舞い上がるビニールシート」という作品がある。
第135回直木賞受賞作なので読んでいる人もいるかもしれない。
短編集の1つに、犬のボランティアのために水商売のバイトをする話があり、その一節に「犬は私にとっての牛丼なんです」というセリフがある。
あまり詳しく言うとネタバレになるが、「犬は私にとって牛丼」というセリフが、「私にとって月に8万円と言えば保育料」という感覚に繋がった。
厳密にはちょっと使い方が違うのだけど、誰か分かってくれる人はいるのだろうか。
乳がんが分かってからいろいろな検査を総合病院でしている。
毎回、びっくりするくらいお金がかかる。
とりあえずはクレジットカード払いで先延ばしにしているが、じわじわと負担がのしかかってきている。
で、冒頭の8万円。
厳密には
80,100円+(総医療費-267,000円)×1%
なんだけど、面倒なので約8万円とする。
これを超えると健康保険の高額療養費制度で払い戻しが受けられる。
8万円を超えた分は払わなくていいというありがたい制度だけど、8万円までは払わなくてはいけない。
保育士の給料で月に8万まで払えって。。。
キャリアを給料に反映する園を選んだこと(そうではない園にいたこともあったが見切りをつけた)、働いている自治体が保育士への補助をわりと出してくれること、交通費や家賃補助も計上されていることで額面上は、日本全国の保育士の平均以上をいただいていると思われる。
だけど、急に8万円出せと言われて出せるほどの余裕は全くない。
というか仮に高かったとしても急に月額8万円ってかなり負担じゃないか???
病気になるってつくづく怖い。
でも、保育園に通う0歳児を持つ家庭だと、この8万円を毎月負担しているご家庭があるんだよなぁと思う。(実際には収入に応じて保育料が決まるので8万円を負担しているのは私よりもずっとずっとずーっと高額年収のご家庭のはず)
地域にもよるけど、0歳児を保育園で預かるには本当は月40万円くらいかかる。
上記は2019年の記事だけど、2021年の東京都江東区のサイトでも39万円かかることが分かる。
だから保育事業は福祉の分野なのであり、株式会社が参入しづらいし、参入した株式会社の園で保育士の給料が全然上がらないのも、当然のことだったりする。
実費40万から見ると8万円って安いように錯覚するけど、だからと言って、保育料を上げればいいという問題でもない。
医療費だって3割負担で8万円なので実際は27万円弱の費用がかかっている。
保育料以外にも子育てにはお金がかかるのだから、家庭の負担は増やしてほしくない。
私の高額療養費の払い戻し分は他の人の保険料(と税金)で賄われるわけで、長い目で見るとその保険料を納める労働者が減っていくというのはどうなのか。
保険料に限らず、年金制度などでも将来の労働者を増やしておくことが大事だと思うんだけどなぁ。。。
財源がいくらあっても足りないのは分かるけど。
月額8万円という金額を切り口にいろいろなことを考えた。
私の場合、現状、どうしているのかと言えば、自分で入っていた掛け捨て医療保険の「がん診断一時金」がまとまって入金されたので、それで対応している。
それから、上限の8万円を超える月が3回を超えると上限が4万円台に下がる。
みなさん、保険は入れる時に入った方がいいですよー。
もう私はしばらく見直せないので。
おしまい