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京都でパン屋さんを巡った話

【京都でパン屋さん巡りをしてきたことを自慢しているだけの雑文】

「京都パン巡りをしたい」

 名古屋在住の友人からそんな要望が届いたのは、3月下旬のことであった。曰く、テレビで特集が組まれていたらしい。京都がパンの激戦区だということを、私はそのとき初めて知った。
 半分に切って分けたらいろんな種類が食べられるし、その分たくさんのお店を回ることができる。キッチンばさみとジップロックは必須だねと盛り上がった。

 暖かくなったらぜひ実行しよう、と約束してから1ヶ月半。
 5月初旬の土曜日。最高気温28℃、快晴。
 私、大阪在住。友人、名古屋在住。
 現地集合現地解散、京都初夏のパン祭り、開幕である。

 お店の選定を友人に丸投げしたところ、ピンだらけのGoogleMapが送られてきた。さすが、おいしいものの追求に妥協のない友人である。
 烏丸御池で集合し、丸太町方面へ寄りながら鴨川へ向かうようなルートを行くことになった。途中で寄りたい雑貨屋さんもたくさんあるという。完璧すぎる計画でわくわくする。

 1軒めはベーグル中心のお店であった。ベーグルといえば冷凍保存ができることでお馴染みである。多めに買っても保存できるのを良いことに、友人は目を輝かせてトングを握っていた。のっけから気持ちの良い買いっぷりである。せっかくだからと、分け合うパンは「保存がしにくそうなもの」を選ぶことにした。今回は、カスタードとクリームチーズのパンをチョイスする。
 2軒めではシナモンロール、3軒めではカレーパンを買った。

 地図を見ると、近くに公園があるらしい。そこでお昼にしようと決めた。
 途中で更に目的外のパン屋さんを見つけ、せっかくなので寄り道する。カリカリの姿に心惹かれ、ベーコンエピを追加購入した。

 土曜日のお昼前とあって、公園は親子連れで賑わっていた。木陰のベンチに運良く空きを見つけ、いそいそとピクニックの準備をする。
 パンを半分に切るべく、キッチンばさみを取り出して準備万端。友人も、可愛い柄の紙ナプキンを取り出して準備万端である。

 ふと、私は彼女に尋ねた。
「あれ? キッチンばさみ持ってきてる?」
「萌葱が持ってくると思って!」
「いや持ち物の筆頭に挙げてたやんキッチンばさみ」
「代わりに可愛いナプキンとウエットティッシュたくさん持ってきた!」
「紙モノ全振りか!」
 いつ会っても愉快な友人である。

カスタードクリームチーズ(Flip up!)
焼きカレーパン(BOULANGERIE Mori Mori)
シナモンロール(しろはとベーカリー)
ベーコンエピ(BOULANGERIE FRIANDISE)

 無印良品のキッチンばさみはまことに良い仕事をしてくれた。ベーコンエピの切りやすさときたら快感ですらあった。

 後半は、鴨川方面を目指して移動である。
 夷川えびすがわ通りを西から東へ進む。あとで知ったのだが、「インテリア通り」として有名な場所らしい。家具や雑貨の店が並び、あちこち覗いていたところまったく前へ進めず楽しい誤算であった。

 途中、お肉屋さんを発見して足を止めた。
「お肉屋さんってコロッケ揚げてたりするよね……」
「行こう!」
 牛肉コロッケ80円。即決である。
 コロッケが揚がるのを待っている間、友人がお向かいの八百屋に消えていったと思ったら、ブドウを1房買って戻ってきた。パンのお供にしようという。発想が天才のそれである。

牛肉コロッケ(京のおにくやさん 叶屋)

 更に寺町通りを北へ。
 途中でコーヒーショップのようなお店があったので覗いてみたところ、スパイスや自然食品のお店であった。ヴィーガンジェラートの文字につられ、オープンテラスで休憩。外で心地良くアイスを食べる。この時期だけの贅沢である。

黒糖ときなこのヴィーガンジェラート(Zero Waste Kyoto)

 余談だが、私たち2人は揃って雨女である。こんなに晴れるなんて珍しいこともあるものだと話していたら、友人は頭痛が治ったばかり、私も病み上がりであることが判明して爆笑した。どうやら我々は、健康を差し出さないと快晴が得られない民らしい。

 少し西へ逸れて5軒めのパン屋さんである。パン屋さんの朝は早い。昼下がりともなれば、そろそろ完売が見えてきそうな頃合いだった。残り福とばかりに、ブルーチーズとくるみのパンを購入する。

 次いで、河原町丸太町交差点へ。ここはパン屋さんの激戦区らしく、有名店が3つもひしめいていた。6軒めでカスクートとカレーパンを、7軒めでチョコバナナベーグルを買う。8軒めではパンが数えるほどしか残っておらず、なんとか明太子ベーグルを確保した。

 荷物が多くなってきたところでパン屋さん巡りは終了。鴨川公園で2度めの宴会と洒落こむことにした。
 快晴の鴨川で、またも木陰のベンチを確保する。まったくもって、運が良い。
 友人が買ってくれたブドウがワイン代わりである。

ブルーチーズとくるみのチャバッタ(dough)
カスクートパリ(hinami)
焼きカレーパン(hinami)
チョコバナナベーグル(KAMOGAWA BAKERY)
明太子ベーグル(RABBIT BAGELS)

 その後は河原町通りを南下しつつ、アンティーク雑貨や古道具、インテリアのお店を覗く。家具などそうそう簡単に買い換えられるものではないが、いろんなものを見て目の保養をするのは良いことだ。友人はぽってりとしたワイングラスをお迎えしてほくほくしていた。

 せっかくなので1杯飲んで締めよう、ということで、最後は焼き鳥屋さんへ。あれだけ食べてもまだまだおいしく食べられてしまうのは、やはりしっかり歩いたからだろうか。

ねぎま(京のじどり屋 晃)

 焼き鳥を食べながら、次はどこへ行こうかと相談する。夏の京都といえば川床に行きたい、はもが食べたい、といったかと思えば、今回のパン巡りに味をしめ、次は神戸のパン屋さんを巡ろう、といってみたり。

 パン巡り、振り返ってみたら実に良かった。カフェなどのイートインと違って食べる量を調整しやすいので、その分たくさんのお店を回れる。また、ひとつのパンを2人で分けるのも簡単だ。ケーキだとここまで巧くはいかない。ドーナツや焼き菓子も悪くないが、巡れるほど店舗が密集しているとも限らない。また気候も天気も良かったので、ピクニック気分が味わえたのも良かった。

 やはり次は神戸パン巡りか。
 友人からLINEで送られてきた大量の神戸パン情報を眺めながら、昨日のベーグルをリベイクする日曜日である。

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