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桂小五郎青雲伝 ―炊煙と楠―    第十九章 撃剣は終わらず

『 小五郎伝 ― 萩の青雲 ―   第十九章 撃剣は終わらず 』 

                           火山 竜一 

第十九章   撃剣は終わらず 

 大次郎が謹慎してから四か月後の嘉永五年九月。
 二十歳を過ぎた小五郎は、ここのところ江戸のことばかり考えていた。江戸遊学の申請が却下されてから、小五郎はかえって江戸への思いが強まった。
 たまに行く明倫館の内藤先生の稽古場でも、小五郎は稽古に身が入らず江戸の話ばかりをしていた。
 仲間からは、桂と山縣は『江戸病』であると皮肉られた。
 秋になり紅葉が美しくなってきた。
 庭で弥之助が薪(まき)を束ねていた。

「桂さん」

 桂家の玄関で、小五郎を呼ぶ声がする。

「武か。上がれよ。弥之助、玄関」
「へえ」

 小五郎は座敷で仰向けのまま動けない。
 武之進が大小の刀を弥之助に渡して、座敷に入って来た。足もとに転がる鬼の面を、危うく踏みそうになった。
 座敷の畳に寝転がった小五郎の胸に、幼い勝三郎が馬乗りになっている。
 勝三郎は、嬉しそうに小五郎の頬を「成敗じゃ、成敗じゃ」と、小さな手で引っ叩(ひっぱた)いている。
 小五郎は大げさに手で、「堪忍、堪忍」と顔を覆うばかりだ。

「やってますねえ。勝殿、やっつけろ、やっつけろ」

 武之進は勝三郎を楽し気に応援して、小五郎の前に袴をはたいて勢いよく座った。
 武之進は、いつも勝三郎を『勝殿』と呼んでいる。 

「桂さん。江戸から練兵館の斎藤新太郎先生が来ているよ」

 武之進の声が上ずっている。
 小五郎の頬っぺたから子気味よい音が響く。

「武、助けてくれ。勝よ、手加減せんかい。俺は父上様だぞ」

 養子になった勝三郎を、小五郎はというと、いつも『勝』と呼んで可愛がっていた。
 武之進は背筋を伸ばした。
 相撲の行事のように扇子を真っすぐに突き出した。
 武之進が厳かに宣言した。

「勝殿の勝ちい。はい、お見事」

 勝三郎は立ち上がり「やった、やった、勝った」と座敷を走り回る。

「降参じゃ。まいりました」

 小五郎が頬をさすりながら起き上がった。

「勝、和田家に行っておいで。鬼の面を持ってお行き」

 勝三郎は鬼の面をつかみ「ハイ」と大きな返事をして、玄関の外に駆けていった。
 小五郎は、首を振った。

「武、助かったよ。それで、斎藤先生がどうしたって」

 斎藤新太郎は、江戸三大道場の一つ、斎藤弥九郎の神道無念流練兵館の若先生である。その強さは天下に鳴り響いている。すでに二回、諸国武者修行で萩に来ていた。
 武之進の話では、斎藤新太郎はすっかり萩が気に入り、今回で三度目の来訪であるという。武之進が新太郎の話をするときは、目の輝きが違う。

「斎藤先生はね、今回は明倫館で、一人一人丁寧に、稽古の相手をしてくださいます。強豪で知られた門人も、一緒に来ておられます」

 武之進の声が上ずっていく。

「しかも、若先生は政庁に『稽古が形に偏っている』と意見書を出して、江戸に見込みのある剣士を連れて行きたいと申し出たのです」

 小五郎には初耳だった。
 小五郎は真顔になり、眉間にしわを寄せて武之進の話に耳を傾けた。
 武之進は、身を乗り出した。

「藩も、『これは良い機会』と、遊学の許可を出すそうです。桂さん、五人ぐらいは行けるんですよ。江戸行きを誰にするのか、明倫館の先生方も迷っているらしいです」

 突然、小五郎は、庭で薪(まき)割(わり)を始めた弥之助に声をかけた。思わず顔がほころんだ。

「弥之助。ついに、江戸に行けるぞ。ようし」

 弥之助が振りかぶった斧(おの)をゆっくりと下ろして首を傾げた。
 武之進が溜息をついた。

「桂さん、稽古場の皆全員、江戸に行きたいんですよ。ここのところ、明倫館は大変な騒ぎなんです。今朝、仲間と江戸行で盛り上がっているうちに気が付いたんですよ。知らないのは桂さんだけだって」

 弥之助が薪を足元に置いて、汗をぬぐった。ため息をついた。

「稽古場に、たまには行かないと、相手にされないのではありませぬか」

 いい捨てると、弥之助は、また斧を振りかぶって薪を割り始めた。力任せの一振りに、薪は両断された。
 小五郎は急いで着替えを始めた。

「前に稽古場に行ったのは、いつだっけ。まあ、いいや。俺の力を見せてやる。武、行くぞ」

 武之進も、刀掛けから打ち刀と脇差を取り上げて、帯に指を入れ腰に差した。

「桂さん。稽古場は久しぶりじゃないですか。いい汗を流して、江戸じゃあ」

 武之進の叫びに、小五郎も合わせた。

「おう、江戸じゃあ。いざ、出陣ぞ」

 だが、遅かった。
 稽古場に小五郎と武之進が着いた時には、すでに明倫館の剣術四家から江戸行きの五人が選ばれていた。
 それも、選ばれたのは、幼いころからの仲間ばかりであった。
 馬木門下は財満新三郎、平岡門下は佐久間卯吉、北川門下は林乙熊、内藤門下からは河野右衛門、永田健吉の二人である。
 小五郎は天を仰いだ。

――稽古場で最も江戸に行きたがっていたのは俺だ。先生も承知していたはずだ。

 小五郎は納得できなかった。稽古場で本気を出したことがない小五郎は、誰にも負ける気がしない。
 小五郎は帰り道、武之進と別れると、一人内藤作兵衛の自宅に向かった。
 平安古東の内藤家に着いた。小五郎が門をくぐって玄関に入ると、すぐに作兵衛が出てきた。

「やはり、来たか。上がれ」

 小五郎は座敷に通されて、作兵衛と対座した。

「小五郎。江戸に行けず不満かい」

 作兵衛から口を切った。落ちついた声だった。

「はい。五人が選ばれた理由を、知りとうございます」

 小五郎は、自分の力量を、江戸行きに選ばれた者たちと互角だと思っている。多くが幼友達だけに、小五郎の胸の底から口惜(くや)しさがこみ上げてきた。
 小五郎は、いつものように作兵衛に凝視されると息苦しくなってくる。

「納得がいかんか」

 作兵衛は小五郎に命じた。

「ならば、明日、巳の刻(午前十時頃)、東稽古場に来い。稽古場の真ん中で、用意をして、待っておれ」

 作兵衛の声は、有無をいわせぬ響きがあった。

「あの五人はな、昔の五人ではない。お前はあ奴らの本当の姿を知らん」

 小五郎は、これ以上、作兵衛に押して訊(き)くことはできなかった。
 明倫館の東稽古場は、中央の玄関に『他国修行者引請剣槍術場』と書かれた看板を掲げている。玄関の右側が槍術場で、左側が剣術場である。広さは剣術と槍術、どちらも三十三畳の板張りになっている。
 翌朝、小五郎は剣術場で、胴と垂れをつけて一人正座していた。着けていないのは、面と小手だけだった。
 小五郎はいつも稽古で使っている刺し子の単衣と綿袴で待っていた。
 外でにぎやかな声が聞こえて、稽古着姿の明倫館四家の門弟たちが、礼をして次々と稽古場に入ってきた。
 門弟たちは小五郎を目にすると、遠巻きにして座っていく。防具も竹刀も持っていない。
 小五郎は悟った。

――見取り稽古だ。

 小声で話しながら、冷たい目線を小五郎に向けている。
 武之進が、小五郎の脇に走り寄った。小五郎に耳打ちした。

「桂さん。江戸行きの五人と立ち合いだって」
「やはりな、心得た」

 小五郎は、作兵衛の命令に何かあるとは思っていた。
 稽古場の壁際から、門弟の一人が武之進を手招きしている。

「武之進、こっちに来い」

 仕方なく、武之進は門弟たちの中に戻って行った。
 小五郎は稽古場のまん中に、ただ一人である。周囲の板壁に沿って座る門弟たちのひそひそ声が、小五郎を包み込んでいく。

「あいつは、先生に逆らったらしい」
「内藤先生も、ご立腹であろう。小五郎は、われらをなめている」
「水でも、ぶっかけてやれ。痛めつけるしかねえな」

 小五郎には、武之進以外に味方はいなかった。
 内藤作兵衛が一礼をして、稽古場に入ってきた。
 江戸行きに選ばれた五人が、稽古場の入り口で一礼して続いてくる。竹刀と面をもって、すでに胴を付け準備はできている。
 五人は小五郎の横に着座した。小五郎を見ようとはしない。
 馬来、北川、平岡の各先生も、稽古場に姿を現した。
 最後に、真黒に日焼けした屈強な男が、頭を下げて稽古場に足を踏み入れた。
 斎藤新太郎である。
 江戸練兵館の門人も、次々と稽古場に入ってきた。
 練兵館屈指の使い手である久保無二三、大野藩無念流指南役の内山介輔、伊勢津藩の杉田勝之進と佐久間孫之進、藤井定三郎といった面々である。
 練兵館の門人たちは、明倫館の四先生に挨拶をすると、馴染みの明倫館の門弟たちに会釈をしている。脇差と羽織袴の正装であった。皆、全国の強豪を相手にしてきた剣客ばかりである。
 稽古場の雰囲気は一変した。 
 萩しか知らない明倫館の門弟たちは、憧れと羨望とで落ち着かない。門弟たちは、江戸練兵館の剣客に親し気に挨拶ができただけで、互いに顔を見合わせては喜びあっている。
 面長で鋭い目をした斎藤新太郎が、ゆったりと内藤作兵衛に近づき声をかけた。
 小五郎に低い声が聞こえた。

「あの者が、桂小五郎ですか」

 新太郎は細面のわりに首が太い。肩幅もあった。新太郎は目を細めて小五郎を見ている。
 小五郎は新太郎を一瞬見たが、目が合うとすぐに正面の神前に向いた。
 作兵衛の声が、いつもより大きく聞こえる。

「選抜に特に迷ったのが、あの者です。父と母を失うなど色々ありましてな。以来、浮わついた稽古で困ったものです。桂は、わが明倫館では『眠りの小五郎』と呼ばれておりまして、なんとか目を覚ましてやろうと思うております」

 新太郎は、後ろに控える練兵館の門人に振り返った。

「内藤先生も見極めきれぬ困り者だそうだ。お前たちも、心当たりがあろう」

 門人たちが、どっと笑った。癖のある面々である。
 小五郎は背中に汗をじっとりとかいていた。稽古場の真ん中で、恥をかかされているような気がしてきた。
 全員で神前に礼をする。
 作兵衛は小五郎の前に進み、稽古場の中央に立った。作兵衛が周囲の門弟を見回した。

「江戸行きの五人を決めたあと、桂が、わしの所に選に漏れた理由を聞きに来た。ほかに尋ねに来た者はいない。桂はなぜ外れたのか訳を知りたいという。よって、桂と江戸行きの五人とで立ち合いをする。皆は、本日は見取り稽古とする。心してそれぞれの精進の成果を目に焼き付けろ。明日からの稽古の励みとせよ」

 作兵衛は五人を見た。

「お前たちが桂より劣っておれば、江戸行きを外す。桂と入れ替える。心せよ」

 場内がどよめいた。
 五人は思わず顔を見合わせた。
 作兵衛は厳しい視線を向けて、小五郎と五人に命じた。

「目先の一本ではない。勝ち負けではない。江戸に行きたければ、今までの稽古のすべてをぶつけよ。とことんやれ。お前たちにはできるはずだ。わしが『やめ』と命ずるまで、打ち合え」

 普段もの静かな作兵衛の一言に、まず乙熊が面をつけ始めた。
 小五郎も面をかぶった。袴の左右の股立(ももだち)を取って帯に挟んだ。

「林乙熊。出よ」

 乙熊も股立ちを取った。
 乙熊は相撲では誰にも負けぬ。小五郎より二回りも大きい体つきである。子供の頃から小五郎とは、取っ組み合いをしてきた。
 正面に立つ乙熊は、いつもの親友ではなかった。
 小五郎が稽古場に出たときは、今まで掛り稽古や打ち込み稽古をしても、比較的息も切らずに続けられた。勝負がかからない稽古で、体力を計算する狡猾さがあった。
 そんな小五郎を作兵衛は許してくれなかった。激しい声が飛んできたことがよくあった。
 今日は別だ。
 時間無制限の経験したことがない立ち合いである。
 小五郎と乙熊は、座礼をして立ち上がり、向き合った。

「はじめ」

 作兵衛の鋭い一声に、乙熊は激しく気合を発して小五郎に突進してくる。
 乙熊に駆け引きはない。小細工もない。乙熊は小五郎との間合いを一気につぶした。
 鍔迫り合い(つばぜりあい)どころか、体当たりで小五郎を突き飛ばした。
 小五郎は、壁際の門弟たちの中に転がった。小五郎の頭上で、喚声が上がった。

「どうした。不甲斐ないぞ。やり返せ」

 小五郎は立ち上がると乙熊に向いた。
 小五郎も真っ向からぶつかっていく。
 小五郎は何度も乙熊に弾き飛ばされて、床板に叩きつけられた。門弟たちの輪が、そのたびに崩れた。
 乙熊は止まらない。
 門弟の間を突進しては、小五郎を羽目板に押し付けて、蠅(はえ)のように押し潰そうとした。
 乙熊の強力に、小五郎は壁に挟まれたまま、両足が浮き始める。
 乙熊は、小五郎を押し付けながら吠えた。

「江戸に行きたいのは、お前だけじゃねえよ。譲るわけにはいかねえんだよお」

 乙熊の息が激しく乱れている。

「やめい。もどれ」

 二人は中央に戻された。
 小五郎の体力は一気に消耗していく。稽古不足が露呈していた。
 乙熊の師である北川先生は居合だ。乙熊は小五郎と離れていては、不利だと思っているらしい。
 乙熊は怒声をあげながら、ひたすら胸をぶつけてくる。
 小五郎は、こんな乙熊を見たことがなかった。乙熊が初めて本来の桁(けた)外(はず)れな力を解放したと思った。凄まじい膂力(りょりょく)だった。
 門弟たちは驚くとともに、乙熊を恐れた。

「怖いなあ。乙熊が目を覚ましちまった」

 乙熊の突進の度に、門弟たちの認識が一変していく。

「乙熊とは、やりたくねえなあ。奴は危ねえよ。命がいくつあっても、足りねえや」

 小五郎は床板に転がりながら、幼いころの乙熊を思いだす。あの取っ組み合いは遊びだった。乙熊は、いつも友を怪我させないように手加減をしていた。これが乙熊の優しさだった。

――先生たちは、乙熊の本当の力を見抜いていたんだ。

 武之進が脇で叫んだ。

「桂さん、折れるな。立って」

 武之進の声が、声援に掻(か)き消えた。

「やっちまえ。潰(つぶ)せ、潰せ」

 門弟たちは、乙熊をけしかける。
 小五郎はすごい疲労感の中で、まだ四人控えているのかと思う。時間が途方もなく長く感じた。
 とはいえ、小五郎の体は倒されながらも、乙熊の圧力に慣れていく。
 体当たりは読み切りやすい。小五郎は、乙熊の拍子と方向と速度と圧力を計算していく。

――見えたぞ。

 乙熊の突進に小五郎は無謀にも体をぶつけた。激突する刹那、小五郎は身をかわした。
 乙熊は外されて、門弟の中に飛び込んだ。乙熊が立ち上がり、さらに小五郎を追い駆ける。
 小五郎は、そんな乙熊を右に左にかわした。
 乙熊の体当たりは空を切る。乙熊の怒声のような気合が、稽古場に響き続けた。

「やめい」

 乙熊の優勢のうちに、立ち合いは終わった。
 乙熊の息は乱れに乱れていた。肩で息をしている。
 小五郎はというと、一度面を外して汗をぬぐうだけだった。叩きつけられた肩と腰に傷みがあったが気にはならない。今のところは。

「次、佐久間卯吉」

 小五郎に休みはない。
 算術得意の卯吉は、新陰流の平岡先生に鍛えられてきた。
 小五郎は、小柄な卯吉が、よく一人で走っているのを見かけたことがあった。
 卯吉は海岸を走り、町の通りを走り、川べりを走る。いつも、卯吉は刀でなく木刀を差している。
 左手で腰の木刀を押さえ、右手は帯をつかむ。少し腰を落として、上体を正面に向けたまま、ネズミのように小走りで駆け抜ける。
 一大事でもないのに侍が走るなどとは、行き交う誰もが、何事かと振り返った。
 小五郎は、明倫館では誰も思い付かないような稽古法だと思っている。

「はじめ」

 卯吉が、小五郎の小手、面、胴と続けざまに打ち込んでくる。
 小五郎には、卯吉の連打の一つ一つが、手打ちのように軽く感じられた。
 卯吉の連打には途切れがなかった。
 小五郎は防戦一方となる。
 卯吉は藍染めの袴を翻しては打ち込み続ける。
 小五郎は、打たれながら、卯吉の工夫が分かってきた。 
 卯吉の高速連打は、相手に息する間を与えない。けっして時の隙間(すきま)を作らない卯吉の技だった。非力な者が、必死に考えぬいた策であろう。

――卯吉、いいではないか。

 小五郎は頭を振って、卯吉の剣先を、足でさばき剣でさばき、右に左に外してはいなしていく。とはいえ、小五郎には攻める機会はつかめない。
 悲痛な武之進の声が聞こえた。

「桂さん。手を出せ。止まるな。動け。回れ。足だよ、足」

 連打する卯吉の息は乱れない。
 小五郎には、自身の激しい息づかいだけが聞こてくる。
 小五郎は、卯吉が江戸行きに選ばれた訳が分かってきた。日頃の一人稽古の成果が、乱れぬ呼吸にあらわれている。
 一瞬、小五郎は、乙熊のように体当たりをした。
 卯吉は軽く飛ばされて、小五郎との間合いが開いた。
 小五郎は体の右後方に竹刀を下げて、車の構えを取った。背後に竹刀を隠して、左側全部をを無防備にもさらした。こんな打ち合いの場では、あまり使うことのない構えだった。
 卯吉の動きが止まった。大きく戸惑っている。
 門弟たちはどよめいた。
 不安を払うように、卯吉が打ち込みを再開した。
 小五郎は構えを変えずに、足捌(あしさばき)き体捌きで卯吉の竹刀をかわした。
 小五郎は大胆にも踏み込んで、卯吉の左横面を打った。はじめての一撃だった。
 卯吉はすかさず反撃する。
 小五郎は卯吉の動きの拍子を見切り、次々と合わせ技を繰り出した。
 卯吉は小五郎に打たれても、さらに速く、休みなく打ち返す。作兵衛に止められてたまるかと、打ち込みの回転をどこまでも高めていく。
 竹刀の軽さを利用しなければ、ここまで高速の連打はできないであろう。
 卯吉は打ち込みながら、奇声を発した。
 小五郎は卯吉の家が低禄のために、借金がかさんでいることを知っている。卯吉にとって、藩費で遊学させてもらえるのは今しかない。
 小五郎と武之進が江戸行きを願い出て却下されたとき、卯吉は「俺はとっくに諦めてるよ」と悲しそうに笑っていた。早く奉公をして、両親を楽にさせたいともいっていた。
 卯吉が気合をかけた刹那、喉に小五郎の突きが刺さった。
 卯吉は上体を崩しても、構わずに前進する。
 またしても小五郎の突きが卯吉の喉を捉えた。卯吉は大きくのけぞった。 

「まだだ、まだだ」

 卯吉は叫びながら、さらに踏み込んで休みなく打ち続ける。
 小五郎が出した三度目の渾身の突きに、卯吉は膝をついた。卯吉は喉を押さえて、激しく咳き込んだ。
 小五郎は、とっさに卯吉を助け起こそうとした。
 卯吉は小五郎の手を振り払って作兵衛に振り返った。

「先生、行きます。行かせてください」

 痛めた喉のために、卯吉の声はしゃがれて細かった。
 卯吉は立ち上がると、小五郎に飛びかかるように打ち込みを再開した。面の奥で卯吉の顔は青ざめていく。
 小五郎は受け流しながら、卯吉に声をかけた。

「卯吉、もう、やめろ。喉をつぶす気か」
「うるさい。喉の一つや二つ、くれてやる」

 卯吉は、小五郎に、なおも向かっていく。
 小五郎は鋭く気合を発し喉を突く。
 稽古場から悲鳴が起こった。
 作兵衛の声。

「やめい」

 小五郎の竹刀の切っ先は、卯吉の喉元で止まった。
 卯吉は小五郎に打ちかかる。

「やめんかい」

 作兵衛の一声に、卯吉は崩れるように片膝をついた。そまま蹲(うずくま)った。
 稽古場は、しんとして声もない。門弟の何人かが、卯吉に走り寄って面を外した。
 真っ青な卯吉の顔が、死人のようだった。
 あのおとなしい卯吉がと、皆は覗き込んだ。
 卯吉は喉を押さえて、うめき声を発して転がった。
 門弟たちは卯吉の両脇を抱えると、引き摺(ず)って行く。
 小五郎が駆け寄った。

「喉は、喉は大丈夫か」

 卯吉が面の奥から、小五郎を凄まじい形相で見上げた。声は出なかった。息が奇妙な音を出して漏れた。
 作兵衛が右衛門を見た。

「次、河野右衛門、出よ」
「おす」

 右衛門は気合が入りすぎて妙な雄叫びをあげた。
 曲者の右衛門が小五郎の前に出た。右衛門の顔は赤らんでいる。
 小五郎の耳に、武之進の声が飛びこんだ。

「桂さん、気をつけて」

 小五郎にとって、右衛門ほど稽古相手として嫌な奴はいない。右衛門は実戦で勝てばいいと、いつも予想もつかない仕掛けをしてくる。
 右衛門との稽古は、稽古場では皆嫌がった。
 右衛門は小五郎と同じ内藤門下であるが、相手を怪我させて作兵衛に何度も叱られてきた。右衛門はいつも悪びれず、けっして謝ることもない。

「真剣なら、お前は死んでいる」

 右衛門は嘯(うそぶ)くだけだった。

「はじめ」

 右衛門が打ちこんでくる。面と見せかけて竹刀を翻す。小五郎はなんと足を打たれた。
 小五郎はよろめいた。
 右衛門が肩を当ててくる。小五郎の足首は、右衛門の右足で払われた。
 右衛門は体を意図的に小五郎に預ける。小五郎は右衛門ともつれ合ったまま、門弟の中に倒れ込んだ。
 小五郎が床に転がる刹那、右衛門の肘が小五郎の顔面を襲った。小五郎の面が肘に弾かれ、床にぶつかった。作兵衛の見えない角度であった。
 右衛門は面の奥で、不敵な笑みを浮かべた。
 場内は不穏な雰囲気になった。
 小五郎は頭を振りながら立ち上がった。
 小五郎は右衛門に押されながら、今度は右衛門に右足の甲を踏み付けられた。小五郎の右足は板張りの床に釘付けになり、小五郎は仰向けにひっくり返った。
 小五郎は頭をしたたかに打ち、一瞬意識が飛んだ。
 門弟たちがざわめいた。

「おい、見たか。あんなことをして、いいのかよ」

 鍔迫(つばぜ)り合いで、右衛門の膝が何度も小五郎の腿(もも)を蹴ってくる。右衛門は小五郎を押しながら、不敵にも挑発してくる。

「刃(やいば)の下じゃ、生きるか死ぬかだ。小五郎、甘いんだよ。江戸の稽古は命がけだぜ」

 作兵衛が顔をしかめた。目が厳しくなっていく。
 武之進が小五郎の背後から叫んだ。

「右衛門、恥を知れ」

 同じような声が、あちこちから噴出(ふきだ)した。
 場内が変わり始めた。

「卑怯だ。汚ねえぞ」

 右衛門を責める声が、次々と小五郎の耳に飛び込む。
 右衛門が小五郎との押し合いで、又しても足払いをかけてきた。小五郎は簡単に、すとんと尻もちをついた。
 小五郎は思わず笑ってしまった。
 面白そうな技だと右衛門を見上げた。

――いい拍子(ひょうし)だぜ。右衛門らしいじゃないか。

 立ち上がる小五郎に、右衛門が体をつけ巧みに右に左に入れ替える。そのたびに、小五郎は右衛門の竹刀の柄頭で、面のこめかみを打たれた。
 鈍い音が響いた。
 稽古場の門弟たちが騒然となった。

「やり返せ、小五郎」

 小五郎は首を大きく振って、わざと大袈裟によろめいた。
 右衛門は間合いを取ると、止(とど)めとばかり思い切り竹刀を振りかぶった。
 小五郎は弥之助の教えを思いだす。

『攻めようと思った時が、危のうござる』

 上段から打ち込んでくる右衛門の喉を、小五郎は屈んだ姿勢から突き上げた。仰け反る右衛門。
 小五郎はさらに脇に身をひるがえして、右衛門の小手を強打した。小五郎は右衛門の竹刀を一気に巻き取り、天上に舞いあげた。

「やったあ」

 場内が沸き立った。
 武之進が思わず拍手して、作兵衛に睨まれた。
 竹刀を失った右衛門は、構わず小五郎の腰にとびかかった。
 小五郎は横にかわしながら、右衛門の左脇に右腕を押し込み、右腰に右衛門を乗せて投げつけた。
 稽古場が喝采を上げた。
 小五郎は仁王立ちで、床に転がる右衛門を見下ろした。

「さあ、来いよ、右衛門」

 ひっくり返った右衛門は反転すると、小五郎の足に抱きつこうとした。

「俺は死んでねえ、勝負はまだだ」

 小五郎は思い切り横に飛び退いた。

「やめい、もどれ」

 作兵衛に、二人は中央に戻された。
 小五郎は竹刀を拾って、右衛門に差し出した。右衛門の必死の工夫を肌で感じていた。

「強くなったなあ。右衛門」

 右衛門は竹刀をひったくった。

「余計なお世話だ」
「はじめ」

 二人は稽古場の中央で、構えなおした。
 今度は、右衛門は奇策を使わず、小五郎と互角の攻防を仕掛けてくる。

――右衛門はわかっている。先生を怒らせたら江戸行きは終わりだと。

 小五郎と右衛門は、真っ向から打ち合って、互いにその本来の力量を発揮した。基本に忠実な技の攻防を展開した。
 右衛門は先ほどとは、別人のようであった。
 どれほど、打ち合っただろうか。小五郎には時間が止まっているように感じた。
 作兵衛は二人の攻防を見極めて止めた。

「やめい」

 互いに離れた。
 右衛門は、門弟の前で面を外した。小五郎を押し切ることができなかった悔しさに、唇を噛んだ。
 小五郎も面を脱いで、さらに汗をぬぐった。汗が目に入りそうだった。
 武之進が門弟の間から身を乗り出した。

「桂さん、怪我はないか」

 小五郎は肩で息をしながら振り返った。心配ないと、軽く頷いた。
 作兵衛は次の相手を促した。
 小五郎は急いで面をつける。
 出てきたのは、永田健吉である。
 礼をして構えた。
 幼いころから、健吉はおとなしかった。いるのかいないのか、わからない。でもいつも一緒だった。
 健吉は人の話を聞くが、めったに自分からは話さない。
 小五郎にとって、そんな健吉など、稽古相手としては眼中になかった。
 いつも、大柄な小五郎が、稽古場の真ん中でにぎやかに気合を発して打ち合っている。
 健吉はというと、隅で黙々と基本稽古を繰り返していた。稽古の後で、小五郎は健吉のことを思い出すことはなかった。
 だが、今はどうだろう。
 小五郎は目前の健吉の構えを見て驚いた。実に大きく見えた。

――これは……構えの威圧感は、内藤先生の門下では、一番かもしれぬ。俺としたことが、迂闊(うかつ)だ。

 健吉は小五郎が気づかぬうちに、長足の進歩を遂げていた。
 小五郎と健吉は、稽古場の中央をゆっくりと回った。健吉の足の捌きは、床板の上をすべるようであった。
 稽古場は静まりかえって音もない。
 健吉は青眼に構えたまま、一向に攻めてこない。
 小五郎は健吉の意図を悟った。小五郎の呼吸が落ち着くのを待っている。小五郎は呼吸を鎮めて、足の捌(さば)きを整える。
 小五郎が面の中で、にっと笑った。

――健吉、待たせたな。

 小五郎の呼吸が落ち着くと、健吉が気合を発して小手を一撃してきた。
 次の健吉の面は強烈だ。全身の重みが一点に集中している。打突刹那の膝の抜きがうまい。
 小五郎は、頭がぐらつき、腕がしびれた。
 小五郎は健吉の技に兆(きざ)しを感じて、相打ちを狙い始めた。
 健吉の面には面を、小手には小手を。胴すらも合わせていく。小五郎には、他に互角に渡り合う術(すべ)がなかった。
 鏡に映したように、同じ技を繰り出した。
 心身をすり減らした小五郎が、高速の磨きぬかれた健吉の技に合わせていく。
 稽古場は感嘆の声で満たされた。
 門弟たちが、小五郎に声援を送り始める。
 皆が、「健吉、やるなあ」と認めては、相打ちの小五郎に「行け、行け」とけしかける。
 一撃、一撃に、健吉の江戸への思いが込められている。
 同じ技を、お返しする小五郎は、健吉の精進を技で讃(たた)える。

「ほう」

 斎藤新太郎が、腕を組み、身を乗り出している。

「これは、江戸の稽古場でも、めったに見られんぞ。いいではないか」

 面の中で、健吉が小五郎に囁(ささや)いた。

「小五郎、やっと本気になったな。待っていたんじゃ、この時を」

 健吉は嬉しそうだった。

「俺はな、お前を超えることだけ、考えてきたんじゃ」

 健吉の白い歯が、面の奥に見えた。
 小五郎は初めて健吉と真剣に打ち合った。健吉が打ち込んでくると、小五郎は健吉が「剣で生きるぞ」と一声しているように思った。
 ついに健吉の渾身(こんしん)の一撃に、小五郎は膝をついた。
 作兵衛の声が響いた。

「やめい」

 二人は離れて礼をした。
 健吉が小五郎に駆け寄った。健吉は小五郎を抱えて立ち上がらせると、背中を小さく叩いた。

「小五郎、あと一人だぞ。耐えよ」

 小五郎の面が、健吉に何度も頷いた。小五郎は己の稽古不足を恥じた。
 健吉は小走りにもどって、小五郎と作兵衛に、もう一度礼をして引き下がった。

「あと一人、あと一人」

 稽古場の騒ぎは、お祭りのようになった。作兵衛も止めはしない。

「財満新三郎、出よ」
「はい」

 新三郎が面をつけて、竹刀を掴み、静かに前に進んだ。

「はじめい」

 新三郎が礼をしてから自然に構えた。
 小五郎より歳上のせいか、新三郎は幼いころから落ち着いていた。今の新三郎は、どこか師範代のような風格があった。
 小五郎は、新三郎が柔術の投げや崩しを、工夫していたのを思いだした。
 そんな新三郎に、始めて小五郎から仕掛けた。もう疲労は限界を超えている。
 打ち込む刹那、小五郎は新三郎の姿を見失った。
 見回すと横から強烈な面を受けて、小五郎は膝から崩れた。床まで切り落とすような面であった。今まで対戦した者とは、明らかに違う。
 小五郎は混乱した。
 仕掛ける小五郎の竹刀は、何度も空を切った。剣先に新三郎の姿はなかった。
 今度は鍔(つば)迫(せ)り合いだ。
 小五郎が押しても、新三郎の手ごたえがない。影を相手にしているようだ。小五郎には新三郎の姿が見えても、力が見えなかった。
 新三郎の足の運びは、迅速を極めていた。
 小五郎は腰に重さを感じて崩れた。複雑な方向の重みが走り、合わせられず腰の力が抜けた。
 小五郎は立ち上がると、今までの対戦相手四人の動きを再現した。
 乙熊のように突進しては、新三郎にひっくり返された。卯吉のように連打しても、かわされる。右衛門のように意表をつこうとしても、先をとられる。健吉のように一撃に全身の重さをかけても、あっさりと返された。
 今までの四人の動きでは通用しない。
 小五郎は、今度は得意の突き一本で向かった。
 目前で、新三郎が一瞬沈んだ。
 地の底から小五郎の後頭部に衝撃が走った。
 小五郎は吹っ飛ばされた。門弟たちが叫んでいる渦の中で、板壁にぶつかり倒れこんだ。
 何か奥深い技を、新三郎はつかみはじめている。明らかに小五郎より上であった。
 小五郎は力が抜けて、壁の前に大の字になった。

「やめ」

 小五郎がようやく立ち上がり、中央にもどって礼をする。
 面の奥の新三郎は、いつもの優しい顔に戻っていた。

「小五郎、凄い奴だなあ」
「それは、お前の方だ」

 新三郎が下がって、小五郎は元の位置にもどり、小手と面と胴を取った。
 爽快な風が頬をなでた。
 小五郎は深く息をつき、ようやく終わったと思った。
 すると、内藤作兵衛の声が、稽古場に響き渡った。

「桂に、真剣を持たせよ」

 門弟たちが戸惑って、顔を見合わせた。
 一人の門弟が作兵衛に命ぜられて、刀を取りに走った。小五郎は、右手に抜きはらった大刀を持たされた。
 小五郎の前に、作兵衛は悠然と手ぶらで立った。
 小五郎は疲れきっていたため脱力し、右手に握った刀を垂らしたままの無構えであった。

「わしを切れ」

 作兵衛の顔は、能面のようだった。
 小五郎は、作兵衛の顔を見ているうちに悟った。

――無刀取りだ。

 鳥肌が小五郎の頬に走る。
 刀が右手にずしりと重かった。
 小五郎が、家族が亡くなり悲嘆のどん底にあった時のこと、久しぶりに明倫館の稽古場に入った。
 作兵衛が稽古場の隅で、小五郎を手招きした。
 小五郎は叱られると思って走り寄ると、作兵衛は意外なことを口にした。

「小五郎、よいか、一人稽古をせよ。月光の下でこそ、己が見える。さすれば、無刀取りの秘技を教えよう」

 この時の作兵衛の言葉は、小五郎にはまったく意味が分からなかった。
 今、小五郎は作兵衛の真意を理解した。

――内藤先生も、和田家の二階に上がって来た吉田先生と、同じ思いだったんだ。でなければ、稽古を休み続けた俺に無刀取りの伝授など口にするはずがない。

 門弟の多くが、半ば立ち上がって、止めようとした。

「小五郎。やめろ。やめるんだ。相手は先生だぞ。殺す気か」

 作兵衛の静かな声が、小五郎を促した。

「こい、小五郎」

 小五郎は作兵衛の目を見つめた。

――いきます。これでいいんですね、先生。

 小五郎は、ぼんやりと構えて、ゆるやかに刀を上段に振りかぶった。無心であった。これ以上ないほど、柔らかく構えた。
 刀の重さが腹で感じられた。
 作兵衛は両手を胸の前に上げて、掌を小五郎に向けた。作兵衛の指先が、小五郎の気配を感じて微妙な動きをしている。両手が綿雲に触れるように、繊細にゆらめいている。
 本来の無刀取りの決まった型とは、まったく異質な構えであった。
 おそらく実戦の無限な変化に対応する、作兵衛独自の工夫であろう。
 小五郎には、作兵衛の精妙な掌と指の動きは、体の奥から伸びた触角のように見えた。師範にしては細い指先が、小五郎の技の兆しを繊細にとらえようとしている。
 小五郎は夢現(ゆめうつつ)のままに踏み込み、刀を袈裟(けさ)に振り下ろした。
 稽古場に悲鳴が上がった。
 作兵衛は小五郎の懐(ふところ)に飛びこみ、反転して膝を落とした。小五郎は背中から床に叩きつけられ、太刀を奪われた。
 小五郎は薄れゆく意識の中で、立ち上がって離れていく作兵衛を見た。
 最後の力を振り絞る。
 小五郎は首を上げて、作兵衛の背中に叫んだ。

「先生」

 作兵衛は足を止めた。振り返らない。

「ありがとうございました」

 小五郎は作兵衛の背中に一声すると力尽きた。
 稽古場は声もなく静まりかえった。
 端で一人だけ拍手する者がいた。乾いた音が稽古場に響いた。
 斎藤新太郎である。
 新太郎が大きく頷きながら、脇を通り過ぎる作兵衛に声をかけている。

「いやあ、よいものを見せていただいた」

 作兵衛は立ち止まった。

「未熟な技をお見せして、お恥ずかしい限りです」

 作兵衛は新太郎に頭を下げると、神前に一礼して振り返りもせずに出て行った。
 小五郎の意識は遠くなる。
 江戸は見えなくなった。

  

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