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ステージへの想い

本日は息子さんの音楽発表会。
自分の子がいる学年しか参観はできないので、行事じたいは簡素でシンプル。

それでも学校行事とは何かといつもより感じるものが多々ある。

息子さん、去年は練習の態度が素晴らしいと先生から褒められていた。
緊張しやすい質でおまけに体調不良気味だった本番は後半、辛くて涙を流して歌っていたのだけれど、立派にやり遂げていた。

紺色のニットベストと白のポロシャツというコーディネートで爽やかな高校生のような出で立ちだった去年。
今年も、同じスタイルがいいと、同じ格好で登校していった。
親バカさん炸裂だけれど、昨年の可愛らしさから少し、大人びた感じになっていて驚いた。子どもの成長ははやい。

今年は順調かといえばそうではなく、風邪を引いて1週間、学校を休んでしまい、ほぼ練習に参加できていないという状況。
うまく歌えるのかさぞ心配だったことだろう。

幸い、歌う曲は「パプリカ」
息子さんの幼稚園時代にヒットして馴染みのあるもの。

息子さんはおそらく聴覚優位の学習スタイルの人なので、歌詞はすんなり覚えてしまうので、本人が思っているより実はよくできている。のだけれど緊張するものは緊張してしまう。
わたしもあがり症なのでよくわかる。
たくさん、練習しておきたいのだ。
とにかく始まってしまうまで不安しかない。

そんな状況でも今年は泣かなかった。
どこかで泣いて帰ってくるかと思っていたけれど、お風呂で歌の練習をしていた。
泣かずに、不安な気持ちを言葉にしていた。
これもまた成長。

彼にとってはうまくパフォーマンスがしたいという一心なのかもしれないけれど、
参加をする。頑張ってみる。
という選択をできたことが何より素晴らしいと思う。

少しでもよい状態の自分を見てもらいたい。

志が高くて素晴らしい。

ここまですんなりこれてるわけではない。
行き渋る息子を教室まで連れて行くのは正直、気が重い。
無理させずに、欠席でもいいのかもしれないけれど
それはわたしの決めることではない。
やらせることもわたしが決めることではないけれど…
まぁ、悩んだってしょうがない。

わたしは彼が歌う姿を見てみたい。

それだけだ。
また、親の勝手な理屈を持ち出して頑張らせてしまっている。という罪悪感もありながら、ステージへと向う息子さんを見つめる。

ふと、お風呂で練習中に

「パプリカ」って米津玄師の実体験がもとになってるらしよ。でも、歌詞をよく聞いてると怖い感じがするんだよ。

と呟く息子さんを思い出す。

その時、息子さんの歌う歌詞をゆっくり噛み締めてみてわたしなりの感想を伝えてみた。

米津さんの体験じたいはわからないけれど
きっと、すごく大切な人、友達なのか家族なのか、とにかくそんな大事な人への気持ちを歌ってるんだと思うよ。
きっと亡くなってしまって、会えないけれど、忘れないでいるよっていう気持ち、一緒に過ごした時間を大切にしているよっていう気持ちを歌にしたのではと話したところ

なるほど、そうなのか。
そんなふうに感じてもいいんだ。
と納得したのか、怖くなくなったのか、また練習をはじめた息子さん。

歌詞に込められた本当の意味はわたしにもわからない。
ただ、感じたままを伝えてみたけれど
本番では
息子さんの中で感じた怖さや寂しさ的なものをうまく表現しながら歌っていたような気がする。

最後に空へ向けて挙げた1本の指先。

いつか、この時間をふと思い出して、そっと包んで挙げられるような気持ちを持った人になれていたら素敵だなぁと思った。

大切な想いは優しくて切ない。

体育館を後にする息子さん。
クリップを繋いで作った武器(ただ鎖状に長く繋いだクリップ)なるものを手に持っていた。
人を傷つけるためではなく自分を守るために作っていたようで、数日前から学校に持って行きたがっていた理由がようやくわかりました。

自分の不安を自分なりに受け止めて、安心できるように工夫をした息子さん。

発表会後は持っているクリップ130個をお友達と一緒に全部繋いで持ち帰ってきた息子さん。
蛇みたいでしょ♪とご機嫌だったけれど、
なんだろうクリップ一つ一つが彼の中の想いのような気がして涙が出そうになった。

全部、繋いで1つにする。

うん、息子さんらしい。







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