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お遊戯会-白雪姫の小人セブン。それが彼の初めての役。

子どもは時々、不思議なことを言うものだ。
大人からすれば支離滅裂で、よくよくその子を観察してこちら側が話をまとめないとなんのことやらさっぱり分からなく、
適当にあしらってしまってから、実は大事なお知らせだったなんてこともあるので、「聴く」ことを意識して接しないと痛い目にあう。と思っている。

なんて大げさなことなのかもしれないけれど、
その不思議な世界観は面白い発見でもあり、楽しかったりもする。
そう、わが子からの情報は聞き漏らしてはいけないのだ。

息子さんはおしゃべりで、心の声が漏れてしまうタイプだけれど、こちらから質問すると、途端に固くなってしまうので、ご機嫌なときにノリノリで話してくれるのを待つ時が多い。

お遊戯会の練習が始まったころにわたしが入手した情報は
白雪姫をやる。
役は小人セブン。
そして
「僕だけセブンっていうんだよ。」と謎の言葉を残す。

セリフが「セブン」なのかと聞けば
「何も話さないよ。踊るんだよ」との返答。
では、小人の名前がワンからセブンまでかと聞けば
「違うよ。僕だけセブン。あとは普通に小人なの」とのこと。

こんなやり取りで、おそらく、歌や音楽にあわせて踊る音楽劇な感じで、息子の役は小人セブン。

その後はしばらく練習が始まったかと聞くと「まだ」としか教えてくれない。
そのうち、『森のくまさん』をよく歌うようになり、もしかして、歌も歌うのかと聞けば、「歌うかもしれないし、歌わないかもしれない」と分からずじまい。
白雪姫の全貌はさっぱり分からないまま、『森のくまさん』はめきめき上達。
そのうち、幼稚園からのお知らせで、衣装に関してのお手紙が来て、息子の役は確かに小人セブンとなっていた。
その後、体調を崩し、予行練習当日は欠席となってしまったので、ますますわたしは気がかりに。

というのも、息子はこれまでの行事では覚えてきたダンスを家で練習するタイプだったのだけれど今回は全く踊らない。白雪姫の話さえしない。聞いたら話したくないと教えてくれない。

これはやりたくない合図なのか、それとも、練習が日常の中の一部で気にもしてないのか…
今回ばかりは全くわからない。

そんな感じでとうとう本番4日前。
幼稚園行きたくないと言い出したり、やたらとくっついてきたり、
あぁ、やっぱり何かしら思うところがあるのねとなったので、
もう一度、日程を確認。
当日は見に行くから、何があっても大丈夫と伝える。

「大丈夫」って魔法の言葉のような気がする。

納得できたのか、安心したのか、少々、泣き虫モードにはなるものの無事に当日を迎える。

こうして振り返ってみると、現在、来年の就学にむけバタバタもしているので、わたし自身は、それほどこのお遊戯会へ向けて緊張してなかったと言う事実もあり、もしかしたら、それが息子の緊張を高めなかったのではないかとふと、思う。
この気持ちが写ってしまう件についてはもう少し考えてみたいので今回はお遊戯会。

朝起きて家を出るまでは何もなかった。
しかし、駐車場へ向かう途中。
「やっぱり、緊張してきた」と呟いた息子さん。
「いつも通り、小人になりきってやればいいんだよ。お母さんもいるから大丈夫」と伝えたところ
「でもね、ほんとに小さくはなれないんだよ。気分だけだからね」となんとも彼らしい一言。これならおそらく大丈夫だろう。
気負わず幼稚園へ。

クラスごとの見学だったので息子のクラスの発表まで時間潰しなのだけれど、この時間がわたしの緊張を高めるのだ。案の定、駐車場の場所を間違えたり、公民館のトイレに駆け込んだりと直前までバタバタ。

なんとか席に着き、カメラを準備して、登場を待つ。
ホールに入場する息子さん。
わたしを探すも見つけられず、幕の端から顔を出して探す。
手を振ったら見つけたのか、ひょいと幕の中へ引っ込みスタンバイ。
園長先生のお話が始まると
ほとんど鳴らないわたしの携帯電話が鳴ると言う奇蹟が起きてしまう。
慌てて電源を切りました。反省。

ここまでくるとわたしの緊張は開き直りと化し、静かに幕が上がるのを待つのみな心境となる。そう、わたしの緊張は消えていったのです。

音楽劇が始まった。
音楽と台詞に合わせて子どもたちが踊っている。
幼稚園のホールに設置されているステージは大きくはないので舞台袖も見えてしまう。
赤い頭巾を被った息子さん。
いつも不思議なのだが、幼稚園では衣装をちゃんと身に付けられるのだ。
普段はほんとに寒くない限り靴下を履かず、サンダルなのに、ごわごわした素材は着られないのに、我慢しているのだ。そんな姿にも感動するし、何よりしっかり待っている。
彼にはせっかち気質があり、微妙に他の人より早くが基本。
しかし、小人セブンは常に小人の7番目。タイミングを待たなければいけないのだ。
登場前の姿を見て、そんなことを思い付いてしまい、いささか心配に。

しかし、わたしの予想は外れた。

彼は小人セブンを見事なまでに演じきっていた。

運動会ごっこでも感じたのだけれど、彼は緊張しながらも実に回りをよく見て、自ら行うべきことを率先してやっているのだ。自分だけ頑張るではなく、白雪姫を成功させようと取り組んでいるのだ。
隣の小人さんと合わせるように踊ってみたり、白雪姫が話す場面では白雪姫姫の方へ顔を向けたり、リンゴの置き場が違ったのか、そっと移動してみたり、退場の際も、他の子を促していたり等々、彼にはもしかしてプロデューサー的視点があるのではと親ばかなわたしは感心してしまったのだ。

確かに行事が続くと気分の浮き沈みが多くなったり落ち着かなかったりとなかなか手がかかるのだけれど、いつもなんとか乗り越えてしまう。
本人はきっとなんとなく疲れる。嫌だ。ぐらいなのだろうけれど、わたし自身が敏感ゆえに少々、過保護になってしまう傾向があるので、申し訳ないが、いつも結局はやってみなければわからないという出たとこ勝負になってしまう。
おそらくわたしの方が緊張しているのかもしれない。
うまくやって欲しいとか、よくみられたいとかいう想いはないけれど、なんとも落ち着かない気分になってしまう。

素直に一生懸命やっている子どもたちの姿が尊いのだ。
こんな風にまっすぐに何かに打ち込むことって、いつから出来なくなるのだろう。
果たして自分は…等々、いろいろと浮かんでくるのでなんとも複雑なのだ。

そんなわたしの想いなどお構いなしに
我が子は1つ1つ自分のペースでやっている。

なんでも小人役も自分で立候補したらしい。

緊張してしまうから
不安になってしまうから
落ち着かなくなってしまうから
などなど
わたしの心配事はきりがない。
けど、それはわたしの問題。

緊張したというならそれを受け止めて
不安だというのならそれを受け止めて
落ち着かなければ
とりあえず、気分転換してもらって
あとはなるようになる。
ぐらいに見守っていけばいいのかもしれない。

小人が主役に見えるほど、可愛く演じた小人セブン。
君はやっぱりスターだ!!

感動をありがとう。








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