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いまの僕が読み返すべき一冊 〜『サラバ!』西加奈子〜
#書く習慣1ヶ月チャレンジ 15日目。
今日のテーマは・・・『誰かにオススメしたい本・雑誌・アニメ・ドラマ』。
『サラバ!』西加奈子
累計百万部突破!第152回直木賞受賞作
僕はこの世界に左足から登場した――。
圷歩は、父の海外赴任先であるイランの病院で生を受けた。その後、父母、そして問題児の姉とともに、イラン革命のために帰国を余儀なくされた歩は、大阪での新生活を始める。幼稚園、小学校で周囲にすぐに溶け込めた歩と違って姉は「ご神木」と呼ばれ、孤立を深めていった。
そんな折り、父の新たな赴任先がエジプトに決まる。メイド付きの豪華なマンション住まい。初めてのピラミッド。日本人学校に通うことになった歩は、ある日、ヤコブというエジプト人の少年と出会うことになる。
主人公の男の子(圷歩:あくつあゆむ)がこの世に生を受けた瞬間から物語は始まります。
気が触れた姉や常識の無い母に振り回されながらも、一見順風満帆に主人公は成長していきます。
でも、身体と心のバランスがちぐはぐなまま。
自分はあの人よりも幸せだ。
自分はあの人よりも常識的であの人は非常識で間違っている。
あの人のせいで自分の人生が狂ってしまった。
よほどの聖人でもない限り、このような負の感情を他人に向けたことは誰しも一度はあるでしょう。
僕はめちゃくちゃあります。
自分の人生は自分が決めているのに。
自分の「芯」が有りさえすれば、自分とあの人を比べることも憎むこともないはず。
芯を持つということは何かを信じて生きるということでもあって。
信じるものは何でも良い。
自分でも親でも恋人でも親友、形のあるものでも。
宗教のように形無いものでも。
主人公の人生が傾きはじめたとき、彼は何を信じることでその傾きを持ち直そうとするのか。
一人称で綴られるこの長編小説はプロット無しで書き始めたとか。。。
読むまでは、いくらプロの作家さんとは言え、少々無謀な書き方だなと思いましたが、主人公が生まれた場所(イランのテヘラン)や育った都市(大阪やエジプト)が西加奈子さん自身と同じであること。
主人公が現在の西さんと同い年(37歳)になるまでの物語であるということ。
自身の歩んできた環境や価値観、倫理観、宗教観などはこの物語の中に自然とにじみ出てくるのでしょう。
プロットが無くても構成はあらかじめ決まっていたかのように存在していたのかもしれません。
まるで、私小説を読んでいるかのような独特な疾走感を感じながら当時読了しましたが、それも納得がいきます。
常に陰りがありながらも、どこかおかしみのある文章と登場人物たちの言動は、西加奈子節が炸裂。
大傑作です。
直木賞受賞作なのでかなり有名な作品ですが、まだ体験されてない方はぜひ。
Written by Hitoshi Katayama.
All illustrations are designed
by Hitoshi Katayama
using AI image generation programs.
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いしかわゆきさんの『書く習慣〜自分と人生が変わるいちばん大切な文章力〜』を読んで、 #書く習慣1ヶ月チャレンジ に挑戦中です!
いしかわさんが用意してくれた30個のテーマ。
16日目の次回は・・・
『あなたの1番大切な人』です。
おたのしみに!
※Amazonのアソシエイトとして、かたやまひとしは適格販売により収入を得ています。
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