私たち、きっとちゃんと家族してた
男手一つで育ててきてくれたことに感謝をしなければいけない。誰がどう見ても道理であるその事実に、私も理屈では当然ながら納得している。ただ、素直になれていないからなのか、生かしてくれたこと以外でその人を肯定できる要素がないからなのかは分からないのだけれど、そういった類の言葉をかけたことも、かけられたこともなかった。
ヒューマンドラマでよくあるような山あり谷あり、雨降って地固まるような関係は、父と私との間には全くない。ただ残された二人が生きていくためにすべきことを、淡々とこなして