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「認定特定創業支援等事業」令和4年度_自治体別実績ランキング

(1)はじめに

起業のピラミッド階層によると、"潜在起業層"は1,500万人
起業数を増やすためには、起業へ関心のある、"潜在起業層"を"起業準備層"へ引き上がる取組みが重要です。
そこで、「認定特定創業支援等事業」が役に立ちます。

起業のピラミッド階層

今回は、中小企業庁より、令和4年度の「創業支援等事業計画の支援実績」が公表されましたので、その統計データをまとめます。
認定特定創業支援等事業の概要やメリットを理解したい方は、以下の記事をまずご理解ください(時短したい方は、「(2)認定特定創業支援等事業のポイント」をご覧ください)。

(2)認定特定創業支援等事業のポイント

■「認定特定創業支援等事業」による支援を受け、要件を満たした創業者(予定者含む)は、起業時・起業後に、以下のメリットを受けることができます(その他、公庫融資時の条件優遇などのメリットがある)。

① 登録免許税の減税
・株式会社の最低税額15万円の場合は7.5万円に軽減
・合同会社の最低税額6万円の場合は3万円に軽減
② 小規模事業者持続化補助金(創業枠)の活用
・50万円(通常枠)の補助金額が、200万円に増額

■「認定特定創業支援等事業」による要件を満たすためには、
通常、以下、①②いずれかの申込みを行い、受講/相談する必要があります。

① 起業家塾
・全10回程の起業関連講義の受講
② 経営相談
・1ヶ月以上にわたる4回以上の経営相談

(3)特定創業支援等事業_分析の前提

実際に、中小企業庁が公表している、『産業競争力強化法に基づく創業支援等事業計画による支援実績(令和4年度))』を基に、各自治体の支援実績の分析を実施しました。

以下は、読み進める際の定義です。

■支援対象者数:特定創業支援事業の受講・相談者
■創業者数:特定創業支援事業を通じて、実際に起業した者
■実際起業率:創業者数 ÷ 支援対象者数

(4)特定創業支援等事業_支援対象者数(トップは、豊橋市)

支援対象者数TOP10ランキング。トップは、豊橋市
前年は福岡市がトップ(3,728件)で豊橋市が2位(3,303件)でしたが、今年は逆転!(僅差)

支援対象者数

(5)特定創業支援等事業_創業者数(トップは、さいたま市)

次に、創業者数TOP10ランキング。トップは、さいたま市
前年は浜松市がトップ(464件)でさいたま市が3位(397件)でしたが、今年は逆転

創業者数

(6)特定創業支援等事業_実際起業率

「起業セミナー」や「経営相談」を受けた後、実際に起業まで至った割合を「実際起業率」と定義して分析を行ったところ、実際起業率の全国平均は20.8%(前年度は20.1%)という結果平均で、5人に1人が実際に起業に至っているということが分かります。

以下の起業ピラミッド階層のステップアップ率(例:起業準備層(250万人)➡新規起業層(20万人)のステップアップ率は、約8%)と比較すると、この20.8%の起業率は高い数値で、一定の成果のある制度と言えます。

起業のピラミッド階層

実際起業率TOP10は以下の通り(ただし、「特定創業支援事業_創業者数(目標)」30者以上の自治体に限定)。
自治体により大きな開きがあります。特殊な事情により実際起業率が高い自治体もあると思いますが、上位にランクインする自治体の取組みを検証することで、より効果的な起業支援策を提供できるきっかけとなり得ます

実際起業率(上位10自治体)

また、実際起業率下位TOP10は以下の通り(ただし、「特定創業支援事業 創業者数(目標)」30者以上の自治体に限定)。
リード(支援対象者)は多く獲得できているので、それを成果(起業)へ結び付ける施策にも力を入れることで、更なる効果が見込めます

実際起業率(下位10自治体)

(7)都道府県別人口当たり支援対象者率(トップは、島根県)

次に、都道府県別人口当たり支援対象者率ランキング。
各自治体の規模の優位性を排除する観点から、自治体の人口比で、支援対象者の割合を算出しました。
トップは、島根県

人口当たり支援対象者率

(8)都道府県別人口当たり起業率(トップは、岡山県)

次に、都道府県別人口当たり起業率ランキング。
各自治体の規模の優位性を排除する観点から、自治体の人口比で、特定創業支援等事業を通じて起業に至った割合を算出しました。
トップは、岡山県

人口当たり実際起業率

(9)とりあえずの第一歩

潜在起業家にとって、「起業」といっても、何から始めたらいいか分からない方が大半でしょう。そんな方は、"とりあえず"、創業予定の自治体HPを確認して、認定特定創業支援等事業へ応募してみましょう。

【起業塾 or 経営相談 どちらがいい?】
■起業に対して、まだ漠然とした考えを持っている方(起業のイロハを学びたい方)➡「創業塾」を選択するとよい
■起業に対して、ある程度事業の方向性が見えている方(起業準備に取り掛かっている方)➡「経営相談」を選択するとよい

例えば、認定特定創業支援等事業の起業塾に参加すると、無料または数千円で、以下が手に入ります。

・起業について学べる
・起業家友達ができる
・実際に起業した際の、各種特典がもらえる

繰り返しますが、ぼんやりとでも起業を目指す方は、まずは、"とりあえず"第一歩を進むことが重要です。行動が、次なるチャンスをもたらします!

(10)おわりに

今回は、「認定特定創業支援等事業」に関する、自治体別実績データ分析を行いました。

◉本書「一人起業の歩き方」では、認定創業支援等事業(起業塾)の内容や、制度としての将来性等も意見していますので、興味がある方はご覧ください。

起業の成否は、創業者の意思や力量によるところが大きいことはもちろんですが、起業しやすい環境であるかも重要な要素の1つです。

「特定創業支援等事業」を積極的に行っている自治体は、そうでない自治体に比べ、「起業しやすい環境」と言えるのではないかと考えます。

国や各自治体側でより詳細なデータ収集・分析を行い、起業に直結するセミナーの充実、先進的な取組や実際起業家を多く輩出している自治体の成功モデルを横展開していくなど、日本全体として起業数向上に繋がる施策を検討、実施していく必要があると考えます。

あなたのお住まいの地域やふるさとは、ランキングに入っていましたか?

ぜひ、みなさまの、起業準備のご参考にされてください。

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