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退職

 ドトール通いが習慣化してるこの頃、いつもはアイスコーヒーMだけを頼んで2,3時間滞在するのだが、今日はご褒美でチーズケーキをつけた。(何のご褒美だか)


「疲れた〜、やっと休みだ〜」
「たまには環境を変えて気分転換したら?」
体力ゲージも気力もない声を聞いた母親は僕を労ってくれた。
「もう自分の世界入ります」
何も考えたくない僕からはそんな言葉しか出なかった。
10分間布団でくたばってから、ノートと東野圭吾のマスカレードゲームをカバンに入れバイクでドトールへ。

 金曜日は一週間の仕事が終わり、休み(オフモード)に切り替わる日である。
仕事の事は一切考えない。やりたいことをやる、好きな事ができる時間、自由時間なのだ。
やりたくもない仕事をきちんとこなし、そのご褒美で土日とゆう時間を手に入れる。
独身サラリーマンの特権である。
部屋の片付けをし、ジムに行って汗を流し、食べたいものをネットで検索して料理をする、本屋で読みたい本を買って読む、全巻セットのマンガを購入し、一気読み。
映画館の最後部席でポップコーンとコーラをほおばりながら、優雅に映画鑑賞…。
最低限の貯蓄もして、何かあったときの為に備える。
そんな生活を送ってきた私は先週6/2㈭に、
会社の社長に退職願いを申し出た。
(実際には退職願いの書類を書いてはいないが)小さい会社だからそんなこと問題ではない。
まさか自分でもその日に会社を辞めさせて下さいなんて言うとも思っていなかった。

 その日、私のクライアントから会社に電話がかかってきて、社長から呼び出しがあった。
社長「お客さんから電話があったんだけど、契約を解除したいって言われたけど、担当の人には伝えたって言ってて。聞いてないんですか?って言われたよ、そんなことあったの?」
「いや、言われてません。」
専務「でも、お客さんがそうゆう風に言ってるんだからそうなんじゃないの?」
「はい…すいません」
社長「でも、お客さんの方から会社に契約を解除してください、今まで本当にお世話になりましたってご丁寧に言ってきてくれるくらいだから、このお客さんちゃんとしてる人だと思うよ」
課長「前にも言ったけどお客さんとの信頼ってたった一回の小さいことでも崩れちゃうもんなんだよ」
専務「お前ちゃんとお客さんと会話してるのか」
「はい…」
社長「とにかく私が明日行って謝ってくるよ」
「すいませんでした」
数分後…私は社長にお話があるんですが少しお時間よろしいでしょうか。と言った。

 思い返して見れば痛烈に覚えているものだ。
 会社の上司とゆうのは言わなければいけない立場なのである。自分が社長であれば、会社の顧客が従業員のせいで失うとなれば怒るのもわかる気がする。
しかし、今までも幾度となくこういった説教を茶番と思いながらも聞いているフリをしてきた私だがあのときはここにいたくないって強く思ったのだ。
 この会社に入社してから僕の生活も大分変わった。
生活の安定、家族との関係性も良くなった、食について幅が広がった(食品の会社です)
、クレジットカードの返済も終わった、貯蓄もできた、彼女もできた(実は同僚、これは会社には秘密にしてる)
心から感謝している。
しかし、辞めたいのだ。
これも本音なのである。

 私は自分の意見を言葉で主張するのは苦手であるが、もしやり直せるなら…
「なんで味方してくれないんですか?!」
くらい言いたかった。
「味方してよ!」「味方してくれないと辛いですよ!」「わぁー!(泣)」
まぁ、今更のことではあるが、心では頭の中ではこんな感じだったわけである。
そうです、こどもなのです。

 せめて、笑いに変える能力があればと頭では思うが、いざとなると「はい、すいません」しか出ないのが私である。
まぁこんな自分でも年を重ねるごとに愛おしく思うものだ。

 さぁマスカレードゲームを読んで現実逃避しよう。本を読む時、マンガを読む時は何もかも忘れられる至福の時である。
コーヒーと本は私の味方だ。


最後まで読んで頂きありがとうございました。


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