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比較基準で、デザインは世界をつくる

「デザインはどのように世界をつくるのか」と言う問いかけの本。
私が一読して出した答えは、比較基準を作ることでデザインは世界をつくるということ。

良いデザインってなんだろう。
逆に、悪いデザインってなんだろう。

デザイナー・ノンデザイナー関わらず、デザインの考え方を深めたい方におすすめの本です。


要約

このデザイン、違和感を感じる?

・ノートルダム大聖堂の火災の話
エラーコードがあったが警備員が理解していなかったのか?火災報知機のシステムが原因だったのか?

ドアの開ける、閉めるのドアノブ
なぜ押すなのに取っ手がついている?

デザイナーが掲げる疑問

デザイナーは、文脈を十分理解できるよう、どのプロジェクトでも2つの疑問を掲げる
1. 何を改善しようとしているのか
2. 誰のためにそれを改善しようとしているのか

どんな問題を解決しようとしているのか、誰のために問題を解決しようとしているのかを明確にするまでは、アイディアの良し悪しを判断すべきではない

デザイナーの役割

・デザイナーはデザインの定義について度々議論をしている
・プロのデザイナーと一般の人々の大きな違いの一つは、意思決定にどれだけの熟慮を重ねるかにある。ほとんどの人はなるべく手間をかけずに仕事をこなしたいと思っている。
・一方、よいデザイナーは、クライアントのためにも、多くの場合は自分自身のためにも、質や思慮付加さに高いハードルを設定する
→高い質を成し遂げる唯一の道は、たくさんのアイディアを探り、善悪の基準を定義するリストを使ってアイディアどうしを比べ、意思決定を行うことを知っているから。だから、デザイナーは質問魔として悪名高い。

デザインに対する人々の誤解ースティーブ・ジョブズの言葉から

人々はデザインをうわべの問題だと思っている。道具箱を手渡され、見た目をよくしてくれ!と頼まれるのがデザイナーだと。しかし、私たちの考えるデザインはそうではない。どう見えるか、どう感じられるかではなく、どう機能するかの問題なのだ。

どう機能するかを考える、ということは、それが何のためのものなのか、誰かの人生全体においてどういう役割を果たすのか、世界に対してトータルでどんな影響を及ぼすのかを、総合的に考慮することにほかならない。


私の学び

私はすぐアイディアの良し悪しを判断してしまいがちです。

どんな問題を解決しようとしているのか、誰のために問題を解決しようとしているのかを明確にするまでは、アイディアの良し悪しを判断すべきではない

という文中の表現にぎくっとしました。

ターゲットや、デザインをする目的をきちんと定めて評価基準をつくり、その上での議論が必要だと学んだのです。

過去に自分の考えがいかにバイアスがかかっているのかをテーマにnote書きました。

デザインの言語化はなぜ大事か

「高い質を成し遂げる唯一の道は、たくさんのアイディアを探り、善悪の基準を定義するリストを使ってアイディアどうしを比べ、意思決定を行うことを知っているから。だから、デザイナーは質問魔として悪名高い。」

比較基準をつくるため。そうでないと、どんどん判断基準がずれたり、組織にとって都合のよい解釈に落ち着いてしまうから。

例えば、Sakinoさんのnoteでは「読まれやすい記事」について考察されていますが、「読まれやすい」とは何か?について文章の構造を解析し、ご自身の欠点を洗い出したところが印象的です。

Sakinoさんが「良い」と思った事例を踏まえながら比較対象を記載し、「読みやすい記事」のデザインについて考えられているのです。とても勉強になります。


シンプル is best?

多機能でも顧客が満足している事例もあります。
しかし、例えば一段階押すボタンが増えることによる意味はあるでしょうか?減らすことを考えてみませんか?

「シンプルな事例は、それだけそのデザイナーが顧客のニーズについてじっくり考え、顧客の手を煩わせない形でニーズを満たしている証拠だから。
しかし量を重視する人間の脳と、より高い価値を求める人間の欲求のせいで、私たちは複雑さにこそ価値があると考えてしまう」

合わせて読みたい参考書籍

今回紹介した書籍の中に、参考文献として下記2冊が挙げられていました。
ほかにも紹介されていましたが、私が次に読みたい本として紹介します。


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