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”ジャストインタイム”なモビリティサービスでヒト中心な社会を創り出そう!!〜DX事例30_トヨタ自動車株式会社〜

ITコンサル×パートナーCFOのタナショーです。

このnoteではDX事例やIT活用事例の紹介を通して、経営者の方がITを身近に感じたり面白いと思ってもらえることで、企業の成長に役立つ情報をお届けしていきます。

本日は日本最大手の自動車メーカー。香川照之が編集中を演じる「トヨタイムズ」のCMを見かける人も多いでしょう。トヨタ自動車株式会社の自動運転に関するDXです。


未来のモビリティサービスを先駆けるEV車「e-Palette」

トヨタに関するDXも様々ですが、今回はこのEV車に絞って紹介していきます。
トヨタはAutono-MaaS専用のEVとして「e-Palette」を開発しています。Autono-MaaSとは、「Maasとしてのサービス提供が可能な自動運転車」の意味で使われており、e-Paletteは「システムが主体的に監視する自動運転」である自動運転レベル4に相当するとのことです。

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国土交通省「自動運転のレベル分けについて」より抜粋

「e-Palette」は下記のような特徴があります。

①まるで電車のような精密な運行管理システムによるモビリティサービス
トヨタといえば「ジャストインタイム」という言葉が有名ですが、この「必要なときに、必要なサービスやモノが、時間通りに提供される」をe-Paletteは体現しています。

e-Paletteをバスのように人を移動するサービスとして利用する場合、e-Paletteは搭載されたカメラやセンサを駆使して、定められたコースを自動運転にて巡回します。安全な運転や、人の乗り降り対応を自動で実施するのはもちろんのことですが、それに加えて停留所の人数を把握しています。停留所で待つ人数が多すぎる場合は、巡回するe-Paletteの数を自動で増やす調整が可能です。また、巡回しているe-Palette同士の距離間隔を制御することにより、乗客が「e-Paletteを長時間待たない」「車内が混雑しない」などの快適な移動を実現することができます。

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トヨタ自動車株式会社「実用化に向け進化したe-Paletteを公開」より抜粋


②異常時も自動検知し、車庫へ回送。運行状況も可視化
e-Paletteの社内には各種センサが搭載されており、異常を自動検知することが可能です。異常時には自動で車庫へ改装し、代替車を即座に出動させることも自動化できています。

これらの運行状況は、コントロールセンターにて稼働状況を確認することができます。e-TAPと名付けられたこのシステムは、今までは運転手が車両を運転・監視するという「1人が1台を管理」する形態から、「1人で複数の車両を管理」できるようになり、スタッフの省力化も実現できています。


③人やモノを運ぶのではなく、人にモノを届ける
自動運転できるということは、人の作業では難しい「24時間、いつでもどこでもモノを運ぶ」ということが可能です。コンセプト段階で実用化はまだのようですが、e-Paletteは人を運ぶだけでなく、アパレルショップや移動式宅配ロッカーとしての運用も可能です。

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You Tube「詳細サービスモック(アパレルショップ、移動式宅配ロッカー)」より抜粋

上記画像は動画なのですが、動画内にはスマホを使ってe-Paletteを呼び出すシーンもあって驚きです。「お店に出向く」のではなく、「お店を呼び出す」使い方ができるe-Paletteはまさに「人にモノを届ける」サービスです。


DXと経営戦略の関連性について

トヨタがDX。今回のキーワードである自動運転を重要視していることは、2020年に構想を発表した「Woven City」を見れば明らかでしょう。

トヨタは自動運転などの新しい技術やサービスを検証するための大規模実証実験として、東富士にコネクティッドシティ「Woven City」の建設を進めており、e-Paletteは「Woven City」の”主力モビリティ”として導入される予定です。

e-Paletteのような移動車だけではなく、室内用のロボットや、カーボンニュートラルな建物。太陽光発電などのクリーンエネルギーを用いて、持続可能な都市を作ろうとしています。

トヨタのミッションに「可動性を社会の可能性に変える。」とあります。「可動性=移動の量と質」と定義し、この可動性を増やすことにより人や企業、コミュニティのできることを増やす。そして、地球と持続可能な共生を実現するために、トヨタは挑戦を続けています。

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トヨタイムズ「今、明かされるWoven Cityの原点 トップが悩み、たどり着いたこと」より抜粋


まとめ

いかがでしたでしょうか?
自動車業界は、「CASE」という名称での技術革新が進んでいます。今回は主に「コネクティッド」「自動化」「電動化」という観点でお伝えをしました。

Connected:コネクティッド
Autonomous/Automated:自動化
Shared:シェアリング
Electric:電動化

トヨタイムズもそうなのですが、トヨタは自社が取り組んでいることを積極的に広報しているなと強く感じました。You Tubeの動画もそうなのですが、社長のトップメッセージもボリュームが凄いです。決算のタイミングや重要なイベント等で、豊田章男氏が喋ったスピーチを記事としてまとめており、社長の想いをきちんと従業員に伝えたい、という印象を受けました。

DXは、経営者が「DXにかける想い」を従業員に伝えるのが何より重要だとタナショーは思います。「なぜDXを実施するのか」、それはIT技術や高額なコストを投資してでも”叶えたいビジョン”があるからやるのです。そんな強い想いを持っていただくことがDXの成功の秘訣なのかもしれませんね。
次回の記事も楽しみにしていただければと思います。
タナショー


参考にさせて頂いた情報
トヨタ自動車株式会社HP
https://global.toyota/jp/
トヨタ自動車株式会社「Annual Report 2019」2019年3月期
https://global.toyota/pages/global_toyota/ir/library/annual/2019_001_annual_jp.pdf
トヨタ自動車株式会社「実用化に向け進化したe-Paletteを公開」
https://global.toyota/jp/newsroom/corporate/34527255.html
トヨタイムズ
https://toyotatimes.jp
TOYOTA MOVEN CITY
https://www.woven-city.global/jpn
YAHOOニュース「何がスゴい? トヨタ、進化した「e-Palette」公開! 2021年オリンピックで実走行へ」
https://news.yahoo.co.jp/articles/8968fc611ae9ed5a5c16140e3a55e8509ce09126?page=1
国土交通省「自動運転のレベル分けについて」
https://www.mlit.go.jp/common/001226541.pdf
自動運転LAB「トヨタ自動運転車e-Palette、移動式の店舗や宅配ロッカー構想!」
https://jidounten-lab.com/u_e-palette-future-toyota

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