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AIとドローンによる重機の遠隔操作で「自動操縦のプラットフォーマー」へ!〜DX事例4_株式会社大林組〜

ITコンサル×パートナーCFOのタナショーです。
このnoteでは経営者にITを身近に感じてもらうための記事や、IT活用のヒント、経営者へのお役に立ちそうな記事をお届けしていきます。

今回は最新の事例となります。DXの事例第4弾はゼネコンの中でも大手5社の一角を占め、東京のランドマークとしてタナショーも大好きな「東京スカイツリー」施工を担当した「株式会社大林組」のAI・ドローンを活用した重機の自動操縦技術のDXについてです。

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ダム建設現場で取り組む「無人工事」。工事の自動化を目指す取り組み

三重県伊賀市にある上野盆地にて、計画から50年、完成が待ち望まれている川上ダムがあります。浸水被害の対策と取水水源の確保という目的のため、2017年に工事が着工し、早期の完成が望まれているダムです。大林組はこの川上ダムの2023年竣工を目指して、「自動化」をキーワードに下記の大きな取り組みを行っています。
①タワークレーンの自動操縦
コンクリートや重量物を運搬するタワークレーンですが、川上ダムの建設においては25トンの荷重を吊り上げられる国内最大級の機械を用いています。そのため、可動範囲を見極めた慎重な操作が必要となり、微細な風向きや風速の読み違いをするだけでもクレーンの転倒を引き起こし、大事故になりかねません。
今回、このタワークレーン操作について、AIを利用した自動操縦技術を導入しています。荷重や風によるクレーンの揺れをAI検知し、クレーンの加減速のタイミングを自動調整します。

②ドローンによる地形データの作成、進捗状況の確認
大林組では、設計図や工事図面については3DCADの発展系である「BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング」にて完全データ化した設計を行っていますが、実地の測量や障害物把握のためにドローンを使っています。ドローンの空撮により、設計図データとの差異状況を把握して建築作業に活用したり、建設の進捗状況の把握までできるようになりました。

③様々な建機の自動操縦化
タワークレーン以外にもパワーショベルなど、ダム建設には様々な重機が登場しますが、これら重機についても自動で操縦できる装置を後付けすることで、遠隔操縦が可能になりました。後付けというところがポイントであり、運転席の操作レバーやフットペダルの上から取り付けるタイプのため、様々なメーカーや建設機械に対応することが可能となり汎用性が高いです。

01.活用事例

大林組は超超大企業になりますので、川上ダム建設においてIT技術を駆使した様々な取り組みがあります。上記のようにざっとまとめていますが、これらにより危険作業における自動化(無人化)による作業員の安全の確保進捗状況、品質状況をリアルタイムでモニタリングしながらもスピーディな建設作業を両立していることが最大の特徴となります。


大林組の経営戦略とDXの関連性について

今回の取り組みと、大林組の経営戦略との関係性についてみていきましょう。

トップメッセージにて、大林組グループとして「最高水準の技術力と生産性を備えたリーディングカンパニー+多様な収益源を創りながら進化する企業グループ」を目指す将来像としており、その実現方法として「BIM・CIM、さらにはIoT・AI・ロボティクスを活用した次世代生産システムの構築」。次世代生産システム構築の加速化に向けて「ロボティクス生産本部」を設置しています。

トップメッセージにある通り、最初に取り上げた「自動化」技術の取り組みにより生産性を上げるための「技術」を蓄える一方、「人材」についても注力しています。女性社員含めた多様な人材の確保や、積極的な働き改革にも取り組んでおり、その一貫として提携業務を自動化するRPAなどで「誰でもできる作業」についての自動化も実現をしています。

02.将来像


まとめ

いかがでしたでしょうか。今回の大林組は巨大な資本を持つ大企業であり、DX取組みも多岐に渡り、かつ非常に高度な技術がたくさんありますので、なかなか敷居が高い事例だったかもしれません。

03.まとめ

ただ、タナショーもこのDX事例記事を作成しはじめてから思うのですが、こういう他社のDX事例を見ていくと、新規のビジネスモデルを説明されたかのような「そういう手法もあるのか」「自分の業種だったらこんなやり方で応用できるのはないか」「これは売れる」とワクワクしてきたりします(笑)。

最新のIT技術を活用することで新しい価値を見つけること。それをいかに自社のビジネスに活用していくのか。そのヒントは他社のDX事例を見ていくことで得られるのではないかと思います。そんなわけで、引き続きDX事例を紹介していこうと思いますので、次回も楽しみにしていただければと思います。

タナショー


参考にさせていただいた情報
株式会社大林組
https://www.obayashi.co.jp
株式会社大林組「2019年9月期決算説明会」
https://www.obayashi.co.jp/company/upload/img/Obayashi_Panel_J.pdf
代表取締役社長 蓮輪賢治氏 トップメッセージ
https://www.obayashi.co.jp/company/message_02.html
日経新聞「(DXTREND大林組、全建機を無人化へ」有料会員限定
https://www.nikkei.com/nkd/company/article/?DisplayType=1&ng=DGKKZO63652580Z00C20A9TJ1000&scode=1802&ba=1


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