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DXは経営者が進めていくもの〜DXの進め方と注意点

ITコンサル×パートナーCFOのタナショーです。
このnoteでは経営者にITを身近に感じてもらうための記事や、IT活用のヒント、経営者へのお役に立ちそうな記事をお届けしていきます。

DXについての記事2部作、前回に続いて今回は後編となります。今回はDXを始めるための注意点を説明していきます。
前回の記事:DXなしに「モノ」から「コト」への変革はシンドい?〜DXの必要性〜

経営者のマインド〜社員任せでないDX実行の責任者

以前のITサービス導入時の注意点について書いた記事では、ITサービスを導入するときには、経営者はITサービスを導入するきっかけとなる経営戦略(=解決したいこと)を伝え、どのITサービスを導入するか・業務フローをどうするかを社員に考えさせ、結果をモニタリングするのが良いと記載しました。

では、DXも同じように経営者は方針だけ決め、やり方は社員に考えさせて、定時報告だけもらえばそれでよいのでしょうか?

DXについては、上記のやり方はおすすめできません。
なぜでしょうか?

これもまた「人」が理由となりますが、DXの実行はITサービス導入以上に、人や組織を大きく変革させてしまう内容になるので本能的に社員のモチベーションが低下してしまうからです。
例えばですが、実店舗での売上を主体としていた小売業の企業が、EC主体のネット通販に切り替えるためのDXプロジェクトを発足した場合、実店舗のスタッフはどういう気持ちになるでしょうか?
そのDXの効果やメリットがどれだけあったとしても、スタッフの頭の中では配置転換やリストラなど「これが実現してしまったら自分はどうなってしまうのだろう」という先行きの不安に苛まされてしまうことだと思います。

11.サービスとDXの違い


では、このような感情を持つ社員と共に、経営者はどんなマインドを持ってDXを実行していけばよいでしょうか?

①DXの最終責任者は経営者にある
DXで何を実現したいのか、それはいつまでに実行したいか、予算はいくらかなど。DXの大方針の決定と、実行の責任者は経営者にあります。もちろん、DXの内容全てを経営者が決める必要はありません。社内の担当や外部から調達した人材にDXの内容を検討させてもいいのですが、最終的な方針の決定やトップダウンの指示はDXの成功に不可欠なものとなります。

②自社のミッション、ビジョンと合致しているかを常に意識する
DXは人と組織のあり方をガラリと変えてしまうので、DXを実行した結果、今までの会社とはかけ離れた存在になってしまう可能性もあります。そこまで会社自体が変化して、なおかつ自分の業務も変わらざるを得ない社員にとって、果たしてその会社はDX実行後も残り続けたいと思ってくれる「居場所」たりえるのでしょうか?

答えを出すのは難しいのですが、一つの示唆としてやはりDXの目指すべき目標が自社のミッションとビジョンに合致しているかが重要なことだと思います。「自社のミッション・ビジョンを実現するためにDXを用いて自社を変化させていく」。そのストーリーを一番理解し、経営者自らDXの意義を社員に周知・説明していくことが、私はDXで一番重要なことだと思っています。いかに日頃から自社のミッション・ビジョンを社員に浸透させているか、社員もその意識を自覚して行動してもらっているか、これらの点もDX導入の理解を得られる手助けになるでしょう。

12.経営者のマインド


一番重要なところをお話したので、残りはサクサク行きます。

計画と組織作り

計画については、DXで実現したいことを領域ごとに分割したロードマップを作成すること。そしてそれを実行していくための組織作りについてです。

①ロードマップの作成
DXの方向性を決定し、自社のミッション・ビジョンとマッチしているかを確認した後、ロードマップを作成していきます。ロードマップは、四半期〜年度レベルでいつまでに何を実施していくかのDXプログラムを定義したスケジュール表です。
このロードマップ作成で気をつけたいところは、DXプログラムの全てを最後にまとめてリリースするのではなく、組織や機能ごとに実現したい領域を分割してこまめにリリースしていくことです。DXで活用するIT技術も日々進化していきます。その進化に合わせてロードマップも柔軟に変更できるように、DXしていく領域はある程度グループ分けし、適宜見直しをしていきましょう。
②DX専用の推進組織の設置
DXを実行するためにはやはり専用の推進組織、または特定の人物に専任してもらう形が望ましいです。DXは自社変革の一大プロジェクトなので、社内の人材にこだわらず各領域の専門家に参加してもらうのも有効です。
また、以下の点も重要です。
・DX推進組織は経営陣直轄の組織にするのが望ましい。
・DX推進組織については、自社組織を横断して働きかけができるような強い権限を移譲させること。

13.ロードマップと組織


DX実行(Drive)

DXを実行推進していくときのポイントです。
①小さく始めるスモールスタート
ロードマップ作成でもありました「領域を分割しこまめにリリースする」とほぼ同じ内容になります。DXで人と組織を変えるということは、すなわち新規事業を始めることに近いです。
ですので、DXもスモールスタートです。分割された領域の中でもさらに機能を最小限にするなど小さくスタートして、効果検証した上で徐々にリリース対象を拡大していく形が望ましいです。
②Saas製品の活用、サービス間の連携
DXだからと言って全て自社専用のシステム開発をしていく必要はありません。用途に応じて既存のSaasなどのITサービスを利用していくのも有効です。ITサービスなどの外部サービスを利用する際は、API連携などのデータ連携を重視し、業務間やITサービス間で取り扱うデータが滞りなく連携できるように注意しておいたほうがいいです。
 関連キーワード:API、マイクロサービス、アジャイル開発、POCなど

14.実行


まとめ

繰り返しになってしまいますが、DXは人と組織も、会社さえも変化させていく「変革」という意味を持つ以上、経営者が真剣に取り組まないと様々な面でデメリットを生み出すことになり、まさしく毒にも薬にもなる取り組みといえます。
「AIによって今後なくなる仕事」という言葉も流行ったようにITができることの幅が広がってきたので、ITは「どこまでをITが効率化し、残りのどこを人がやるのか」という役割分担の話だけでなく、「ITを使ってどうやって自社のサービスを生み出すのか」というビジネスの源泉のところにまでITは食い込んできています。
自社の方向性を決め、それを実現するためにITで何ができるのか考え、その手段としてDXを利用する。それらを考え、DXを進めていくにはやはり経営者にしかできないことだと思います。

最後は大まかなDX実行ステップのイメージとなります。

15.まとめ


いかがでしたでしょうか。結論としてDXは経営者が主体と書きましたが、経営者自身がITを深く知るのは大変なことです。今回の記事でそれらの理解に少しでも役立てられたら嬉しいです。

また、今回の記事で当初からnoteで書きたかったテーマは投稿できました。ですが、今後もどんどん経営者にとって役立つ記事を紹介していきますので楽しみにしていただければと思います!
次回からはもう少しライトな感じのDX活用事例を紹介していきます。読んでいただいてありがとうございました♪
タナショー

参考にさせていただいた情報
トレノケート「最新ITトレンド丸わかり 2020年版 〜DX時代のビジネス〜」
https://www.trainocate.co.jp/elearning/elearning_details.aspx?code=ENX0194G
斎藤昌義「図解 コレ1枚でわかる最新ITトレンド」
植野大輔「[連載]リアル企業をDXする!実践論者のためのDX思考」
https://dsm.digitalshiftwave.co.jp/n/n72f168c18bbe


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