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500円映画劇場「エアポート2012」

またまたまたエアポート一族の登場ですが、今回はほんの少しだけどポイント高いです。

邦題は「エアポート2012」、原題は例によって「Air Collision」と「エアポート」の語はありませんが、いちおう「エア」が入っているから許す。ちなみに「Collision」は最近プロ野球で話題になったコリジョン・ルールと同じで「衝突」 つまり原題は「空中衝突」

そして、この映画にはエアポート(空港)はカケラも出てきません。これもいつものことですが。

めずらしいことに製作年は2012年で、邦題と一致しています。いやここは一族のオキテに反しているからマイナスポイントかな。アメリカでオリジナルビデオとして発売されたのが2012年3月で、日本ではおなじみアルバトロス社から同年10月に出ているからですね。まあまあえらいぞ、アルバトロス

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ポイントが高いのは、なんといっても飛行機が2機出てくること。しかも両方とも大型機。これ、意外にめずらしいんですよ。たいがいは単体の飛行機だし、複数共演の場合でもどちらかが小型機だったりするのが普通ですから。

しかも、その片方の主役がアメリカ大統領専用機のエアフォースワン。うん、これだけでも一族の中では格が高い(ように見えます)

人工衛星と同期して航空機の自動運航を行なうACATなるシステムが運用開始される。ところが、その要となる衛星が故障。システムがダウンして暴走し、地上の管制システムも不調となってしまう。そんな時によりによって飛行中だったエアフォースワンと、まったく同じ航路を民間の旅客機が進行中だった。このままでは正面衝突してしまう。だが両機とも無線連絡は不可能で、しかもエアフォースワンはACATの暴走で自動防衛システムが作動し、機能がすべてロックされていっさいの操作を受け付けない。乗員乗客も地上の人々もまったく為す術もないまま、衝突の時は刻々と迫る……

誉められるのはここまで。あとはいつものように500円映画らしさ全開です。

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まずツッコミたいのは人工衛星のくだり。

機能面から考えて静止衛星なんでしょうが、それが壊れるのはいいとして、衛星のカケラががんがん地上に落ちてきて被害続出ってのはいかがなものか。おまけにそのカケラを見た科学者が「ACAT衛星のものに違いない」とか断言できちゃうほど原形をとどめている。大気圏突入をナメ過ぎだよ。現在でも軌道周回中の人工衛星が次々と落下しているんだが、そのほとんどは大気圏で燃え尽きるのを知らなかった?

しかもそのカケラが、広大な地球の中でもよりによって、この事故を防ごうとする航空管制センターを直撃するって、どんだけの確率なんだよ。あまりにもすごいご都合主義

物語は二機の旅客機の人々と、衝突を避けようとじたばたする地上管制センターで展開する。センターで事故を担当する係官を演じるのはレジナルド・ヴェルジョンソンで、この人が主役。知らないって? 「ダイ・ハード」のパウエル巡査部長ですよ。

しかし、大統領の乗っているエアフォースワンが危機なのに、事態に対処するのがローカルな管制官と州軍だけなのはどうしたわけだ。ホワイトハウスやペンタゴンや危機管理省は何をやってるんだ? この手の映画では、嘘くさくも安っぽい政府上層部が出てくるものなんだが。

そういえば、エアフォースワン機内の人間も少なすぎるでしょう。二人のパイロットと大統領夫妻と娘、それに護衛官が二名と世話役の女性が一人。以上。

このへんのキャストの層の薄さが、映画の薄っぺら感につながっています。そう思って見ると、エアフォースワンの機内も、機内感が足りない。窓もろくにないせいか、そこらの建物内にしか見えません。この映画が安くなったのは、安っぽい出来栄えのCGのせいばかりじゃないんですよ。

だが、最大の欠点はそこじゃないです。

旅客機側は乗客数もあってそれなりの機内感がありますがね……彼らが席に着くと、ガタガタと盛大に貧乏ゆすりをしているのはなぜなんですか? いくらパニックだとはいえ、そんなにガタガタせんでも。

途中でやっとわかりました。

ああ、これは飛行機が揺れてるつもりなんだ!

もちろんスタジオのセットで撮影されるエアポート映画では、ホントに機を揺らすわけにはいかんので、だいたいカメラのブレと俳優の体術で表現するんですが、いやこの映画のそれはヘタクソすぎるんです。そう、カメラのほうをあんまり動かさないものだから、一同貧乏ゆすりにしか見えないんですよ。エアフォースワン側でも機内を移動する人たちは、酔っ払いの千鳥足にしか見えませんよ。

これはもう監督はじめスタッフ全員の技量不足ではないでしょうか。反省してほしいリズ・アダムズ監督も、ちゃんとした航空パニック映画を見て猛反省してください。

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そんなこんなで、やっぱり500円映画で、エアポート一族なのでした。

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