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この漫画が凄い!と思ったので紹介です。
鳥トマトさんの『東京最低最悪最高!』

読みきり作品です。
下記のツイートのリプから
試し読みのリンクにも飛べます。

…東京最低最悪最高!?
このタイトルセンスからして素晴らしい。

そう、東京は最低の側面も
最悪の側面も、もちろん、
最高の側面もありますよね。
『都市の空気は自由にする』とは
ドイツのことわざですが、
自由には見えない労苦もともなう。

同様に、地方にも
最低で最悪で最高の側面もある、はず。

ただこの漫画は
東京の最低最悪最高な面を、
地方のそれと「合わせ鏡」にして
浮き立たせ、そのどうしようもない
実相を見事に描き出している
のです。

あくまでフィクションの漫画ですので、
ストーリーで取捨選択され、
コマ割りでトリミングされ、
誇張されている表現は、おおいにある。

漫画という表現は、本来
そういうものですから。

もともと漫画は「風刺画」から
発達していった歴史があります。
少々どぎつい場面も、ある。
その「切り取り」と「誇張」を
どのように見せて魅せていくか、が
作者の腕の見せどころでもある。


この漫画は例えて言えば、
「鮮烈な辛さの麻婆豆腐」でしょうか。

甘口のぼやけた味ではない。
刺さる。うっ、とのどにくる。
しかし薄っぺらではなく
奥深い味わいも残る。
だからこそじわじわとしびれるような
印象が残る、そんな作品…。

ネタバレは無粋なので避けますが、
簡単に言えば、
「地方から都会に出てきた女性の話」

私自身は地方の中でもかなり過疎地に
生まれたものですので、
このマンガに出てくる「地方」も
じゅうぶんに「都会」ではないか、
とは思ってしまうのですが、

街の雰囲気と、家庭の中の雰囲気は
また違うもの
です。

もちろん大都会東京においても、
この漫画で描かれるような
閉鎖的で封建的な家庭は
ありえる、とは思いますが、

地方のほうがより年齢層が高く、
人口密度が低く、
昔ながらの因習が残りやすい、
ということを考えてみると、
この漫画で描かれるような
家庭が多いであろうことは
容易に想像ができるのです。

このような想像を、するすると
読者に容易にさせていくこと。


それこそがこの漫画の鮮烈なスパイス、
語り手で描き手で料理人たる
鳥トマトさんの鬼才だと思います。

…ネタバレをできるだけ避けて
紹介を書きましたので、
記事の読者の皆様にはちょっと
ぼやけた味の麻婆豆腐のような
紹介記事になってしまいました。
すみません。

けっこう賛否両論が出そうな
漫画でもあります。
結婚観や性別によっても
印象がだいぶ違いそう。

私は地方と都会のどちらも
実際に住んできましたので、
実感として刺さる部分が多かった。
しかし、どちらかしか住んだことの
無い方にとっては、
ぴんとこない部分もあるかもしれません。

もしかしたら人によっては
心の底の痛いところを突かれてちょっと
ナーバスになるかもしれない…。
しかし痛いところを突いて風刺するのが
漫画の一断面とすれば、
じつにうまく、辛く、人の脳髄を
しびれさせるような漫画だ
と思われます。

水を用意して読んだほうがいいかも。

…だいぶ、内容が気になってきましたか?

気になった方は、鳥トマトさんの
ポスト(ツイート)からたどって、
実際の漫画を味わってみて下さい!

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