新旧習合・異世界習合 ~日本史六つの変化~
先日「三つの変化の波」の記事を書きました。
(本記事下部のリンクからぜひ!)
世界史的なとても大きな出来事、
圧倒的な変化の波…です。
それを日本史に当てはめてみた時に、
どんなことが見えるのか?
日本史には「時代区分」があります。
三つの波を当てはめていくと、こうなる。
…しかしなにぶん極東の島国です。
革命の本場から遠い。時差がある。
「革命」が日本にまで到達するのは
だいぶ後です。
また、この三つだけでなく、
「日本ならではの変化」もあります。
なにしろ、古代に天下を握った天皇家が
変わらずにトップに立ってきた国。
こんなに長い伝統を持つ国は他にない。
「革命」という、根こそぎ社会が変わる
強烈な逆転現象はなかなか見られなかった。
せいぜい「改革」でしょうか?
波、ではなく、風、という感じ…。
本記事では日本史の時代区分を活かして、
六つの変化、改革について書きました。
一つずつ、概観を見ていきましょう。
◆農業改革
縄文時代は、基本、狩猟・採集です。
ここに「稲作」が伝来。
弥生時代には稲作・水田・米が広がった。
日本人の名字には「田」がつく名字が
非常に多いですよね!
また、水田風景を見て、
「自然が豊かだ」と感じることも多い。
…ただ、縄文時代の人から見れば、
水田風景は自然でもなんでもない。
むしろ人工的な風景に映るでしょう。
世界的な「農業革命」が列島に浸透して、
農業が生活のスタンダードになった…。
余剰の食糧が生まれ、むら・くにが生まれる。
権力者が生まれ、分業が進む。
戦い合う。覇権を握ったのは
ヤマト政権、ひいては天皇家です。
ゆえに天皇家・朝廷の儀式の中には、
「新嘗祭」など稲作にまつわるものも多い。
◆仏教改革
農業は土地に縛られる面がありますので、
数多くの権力者が各地方に分布した。
これをまとめようとしたのが、
蘇我氏や聖徳太子(厩戸皇子)たち。
崇仏派です。
『憲法十七条』には、こうある。
「三宝を篤く敬え。三宝とは仏・法・僧なり」
仏教による統治を志向しました。
ひいては奈良時代になると、聖武天皇が
各地に国分寺・国分尼寺をつくらせたり、
大仏をつくったりして仏教をさらに広めた。
現在、日本各地に「お寺」があります。
お寺が一つもない町は、あまりない。
旧来の神社と新興のお寺、
「神仏習合」と相まって、
仏教が日本の風土に根付いていきます。
◆武家改革
平安時代は「貴族」の時代でした。
彼らを守っていたのが「武士」です。
ザ・ガードマン。貴人にさぶらう者たち…。
この武士たちが
貴族を上回るほどの力を持っていく。
「力が物を言う世界」!
それが院政~平家~鎌倉幕府の変革。
「一所懸命」という言葉があります。
一つの土地を守るのに命を懸ける。
武士の生き甲斐、その土台は土地。
ゆえに土地を保証する
幕府や将軍に忠誠を誓う。御恩と奉公。
戦う一族、それが武家の世界です。
ついには「戦国時代」に突入する…。
◆幕藩改革
その各地に割拠していた武家たちを
なぎ倒していったのが織田信長です。
「異世界」の鉄砲・キリスト教を使って、
今までとは異なる価値観を取り入れ、
実力でまとめあげていく。
それを継いだのが豊臣秀吉。
しかし、その後の徳川家康はどうか?
幕府が支配しつつも、
各地の政治は各藩に任せることにする。
実力で別の藩の土地を奪うことを禁ずる。
幕府は貿易を独占、キリスト教を弾圧。
この江戸時代が約260年以上も続く…。
現在の日本の各都市、各農村、
そしてものの考え方は、
この幕藩体制の枠組みの中で
醸成されていったところが多いのです。
◆産業改革
その江戸時代の秩序・経済が、徐々に
「産業」の力で崩れていきました。
幕末に「異世界」欧米の技術や思想が流入。
明治に「近代化」に邁進します。
牛肉やパンを食べる。鉄道がつながる。
学校がつくられ、国語(統一語)が教えられる。
富国強兵、殖産興業、天皇主権の憲法…。
一個人、一地域のレベルではなくなります。
「総力戦」の時代もあった。
「戦艦大和」までつくった。
その際のキーワードは『滅私奉公』です。
…敗戦後、多くの戦士たちは
「企業」へと滅私奉公しました。
高度経済成長。二十四時間戦う企業戦士。
いざ鎌倉、ならぬ、いざ出社。
サラリーマンの夫と専業主婦。核家族…。
そんな社会がスタンダードになる。
◆情報改革
この昭和時代の秩序・経済が、徐々に
「情報」の力で崩れていきます。
昭和末期に「異世界」のコンピュータが
普及して、個人が情報手段を手にする。
情報の一方通行のマスコミは衰退。
双方向の交流ができるSNSが主体になる。
学校は個性重視。企業もテレワーク重視。
ソロでの活動が容易になる。
個性、多様性は尊重されるべきものとなり、
性別に関係なく活躍できる道が開いていく…。
不適切な表現や行動がNGになる反面、
炎上や誹謗中傷も増えています。
情報格差の問題もある。
国や企業を越えた「個人分権・合従連衡」が
現在進行中です。
最後にまとめます。
世界史の「三つの革命の波」を踏まえて
日本史の「六つの変化の風」について
本記事で書いてみました。
その考えで行けば、令和に似ているのは
古墳、奈良、室町、江戸(初期)、大正。
改革の後、徐々に定着していった時代…。
ただ、難しいのは全面的な変化ではなく、
少しずつ変わっていく点です。
人の心も体も、すぐには変われない。
旧時代の精神が残っている。
地域差、個人差も大きい。
旧時代の土壌は地層として重なります。
水田を愛でつつも、どこかで
狩猟、ハンターの血が騒いでいる…。
(ジブリ映画の『もののけ姫』は
まさに縄文VS弥生ですね)
新しければいいというものでもない。
昔のスタイルには良い点もある。
「適切に」活かしたい。
ドラマ『不適切にもほどがある!』が
ヒットしたのもその理由から。
米だけでなく、肉や魚や野菜も必要。
オンライン一辺倒だけではダメで、
オフラインとの組み合わせが大事。
神仏習合ならぬ「新旧習合」です。
違う地域との「異世界習合」も大事…。
読者の皆様はいかがでしょう?
いかに「ギャップ」「格差」を乗り越えて
違う世代、違う土地生まれの人たちと、
コラボをしていきますか?
※デジタルデバイド(情報格差)はこちら↓
※『文明化、近代化、DX化 ~三つの変化の波~』↓
※『神仏習合』についてはこちらも↓
※芥川龍之介が書いた
「日本の造り変える力」はこちら↓
『微笑と昼夜と造り変える力』
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