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「夏の甲子園」の予選が各地で進んでいます。
いわゆる夏の大会「夏大」です。

8月に全国から予選優勝校が集まってくる
「全国大会」が開かれる、ということは、
その前の7月には代表チームを決める
「地区予選」が各地で行われている
ということ。

これが文字通り、アツい!

仮に「100チーム」参加しているなら、
1チームを除く「残りの99チーム」は
どこかで負ける。
勝ち残って甲子園に行けるのは
わずかに1チーム。他はすべて負ける。

春のセンバツなら例えば「関東大会」などで
準優勝、決勝で負けた、としても
甲子園に行けることがあります。
また「21世紀枠」で特別に
「センバツ」されることもある。
負け=甲子園に行けない、とは言い切れない。

しかし、夏は違います。

一回でも負ければ「終わり」。
勝ち続けるしか甲子園への道は拓けない!
しかも、3年生は負ければ引退。
その瞬間に1・2年の新チームになる。
夏大はそんな「踏ん切り」をつける大会。

ゆえに観る者の心を打つ勝負が多いのです。
それがたとえ甲子園の舞台ではなく、
地方の小さな球場であったとしても…。

前置きが長くなりました。
本記事では、2024年7月21日朝時点における
茨城県の地区予選の状況を報告します。

2024年は、県高野連に加盟している
102校のうち95校、88チームが参加。

…もうここで「?」かもしれませんが、
部員不足のため7校は予選に出られなかった。
また参加しているチームであっても、
部員不足のため「単独チーム」では出られず、
「連合チーム」を組んで、複数の高校で
1チームになるケースもある。ゆえに88チーム。

さて、トーナメント形式で
1校だけ優勝校を決める、となりますと、
「1試合で1チーム負けて減る」ので、
88チームなら87試合が必要
です。

トーナメントの場合は、
試合数は逆算して2の倍数になります。
決勝は2チームが戦う。
準決勝は4チームが戦う。
準々決勝は8チームが戦う。
16チーム、32チーム、64チーム…。
88チーム参加の場合、まず
64チームに絞る「1回戦」が行われる。

いわゆる「シード校」は2回戦から出場。
他のチームは抽選会によって
1回戦からと2回戦からに分かれます。

…これもなかなか怖いことです。
夏大のシード校は
秋や春の大会の実績で決められる。
逆にノーシードのチームは
「弱い」チームだ。
…とは、必ずしも言い切れない。

なぜなら、新戦力である1年生が加わり、
1・2・3年生のチームになるから。

春大には間に合わなかった1年生も、
夏大に出てくることがある。
当然、上級生たちも1年生に負けじと
レギュラー争い、切磋琢磨する。

シード校でないから弱いとは限らない。

ましてや、1回戦を勝ち上がった
球場の雰囲気に慣れたチームと、
2回戦で「夏の初戦」のシード校です。
緊張もしているでしょう。
意外とすぐ強豪校が負けたりもする…。

特に「勝って当然」的な雰囲気が出たり、
「今年こそチャンス!」とOB・OGや
父母会の強いプレッシャーがあったりすると、
意外なところでジャイアントキリング
起こるもの、なのです。

例えば2024年は、2回戦で早くも
「明秀日立」と「藤代」が戦いました。
どちらも近年、甲子園に出た強豪!
明秀日立の監督は金沢監督という名将で、
ジャイアンツの坂本勇人選手
青森県で育てた方。今は茨城にいる。
ドラゴンズで活躍中の細川成也選手も、
明秀日立の出身なのです。

この明秀日立が、
今回はシード権を取れなかったために
いきなり2回戦で藤代とぶつかった!

結果は4対3で藤代が勝ちましたが、
薄氷の勝利でした。
藤代はヒットで本塁に突っ込まれ、
外野からの好返球で危うく
アウトにしたのが2回もあった。
もし、その2点が入っていれば、
明秀日立が5点、結果は逆になったでしょう。

他にも、3回戦では
「水戸一」と「守谷」が戦った。
公立高同士の対決です。
今年の水戸一は強くて、
Aシードという一番いいシードだった。
対する守谷はノーシード。
Aシードにはかなわないと思われた。

それが、ジャイアントキリングです。
守谷が勝ち、水戸一の夏が終わった。

水戸一は「学生野球の父」と呼ばれた
飛田穂洲という方の母校でもあります。
飛田さんは「一球入魂」という言葉を
世に出した方でもあるんですけど、
相手の守谷が込めた「魂」が
少しだけ上回った、と言える。

…さて、ここまでで一番の
ジャイアントキリングと言えば、
何といっても「常総学院」の敗退です。
7月20日、4回戦で姿を消す…。

全国的にも有名な常総学院。
以前には故木内監督の「木内マジック」
ダルビッシュ選手を攻略したこともある。
木内監督はお亡くなりになりましたが、
その教え子でプロ野球でも活躍した
島田直也監督が今の常総の監督。

今年の常総学院は、大本命だったんですよ。
秋の大会、春の大会、いずれも優勝。
春の関東大会でも準優勝!
当然ながら堂々のAシードでした。

その常総と四回戦で相対したのが
「常磐大学附属高校」です。
略して「常磐(ときわ)」。
この常磐も、決して弱い高校ではない。
近年では地区予選で準優勝もしています。
しかし甲子園への出場経験は、ない。

「さすがに常総学院には勝てないだろ?」

そんな下馬評を見事に打ち破って、
3対1で常磐が勝った!
私はこの結果を見て、のけぞりました。
まさかまさか、あの「最強」常総が
4回戦で姿を消すとは…!?

ただ、常総学院も平成28年以降、
8年ほど夏の甲子園から遠ざかっています。
(春のセンバツは出ましたが)
最近の夏の予選の優勝校を見てみましょう。

◆平成28年:常総学院
◆平成29年:土浦日大
◆平成30年:土浦日大
◆令和元年:霞ケ浦
◆令和2年:(コロナ禍で中止)
◆令和3年:鹿島学園
◆令和4年:明秀日立
◆令和5年:土浦日大

ちなみに最近よく優勝している
土浦日大の監督は小菅監督で、
この方も木内マジックで育った方です。
昨年の甲子園では、ベスト4まで進んでいる。

茨城県の球界は、群雄割拠。
ずっとどこかが強いというわけではなく、
戦力が分散しやすいんです。
ゆえに、甲子園への道はかなり険しい…。

ということで、混沌としてきた夏の大会。
7月21日には4回戦の残り4試合。
23日準々決勝、25日準決勝、27日に決勝。
そこで優勝校が決まる。
すでに70を超えるチームが去った。
残りのアツい戦いの結果や、いかに…?!

最後に、まとめます。

本記事では7月21日朝現在の
茨城県の地区予選の状況を書きました。

さて、皆様の地域では、
どんな予選が行われていますか?
どこが勝ち残っていますか?

もしよろしければ、LinkedInで
「こちらの予選はこんな状況です」という
ご報告コメントをいただければ嬉しいです!

※県予選開幕の際に書いた記事はこちら。
開幕時には88チームいたのに、
今では70チーム以上が姿を消した、
となるといささか感慨深いです↓
『夏の甲子園県予選2024開幕の雑感』

※昨年2023年にも、
私は常総学院が負けた際に
記事を書いていました。
やはり、茨城において常総が負けることは
かなりの衝撃なのです。
『ジャイアントキリング茨城』↓

※野球の応援には欠かせない
「ブラバン」についてはこちら↓
『野球の応援、ブラバンと甲子園』

※昨年2023年の土浦日大と
千葉の専大松戸との戦いはこちら↓
『ビッグブリッヂの死闘 ~土浦日大VS専大松戸~』

※昨年2023年の「抽選会」についてはこちら↓
『想いがヤグラに、抽選会』

※2021年に初めて夏の甲子園に出た
鹿島学園についてはこちら↓

『鹿島学園、負けた後』

『鹿島が喰えん』

合わせてぜひどうぞ!

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