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えっ、あの常総学院が…!?

茨城県内において常総学院と言えば
泣く子も黙る野球の強豪!
全国区の知名度もあって
「あそこに負けたのならしょうがない…」
「甲子園に行って勝てるのは常総学院!」

と称される、屈指の名門です。

ご存知「木内マジック」の名で知られる
木内幸男さん(1931~2020)の
快進撃も県民の記憶に残っている。
元巨人軍の仁志選手も輩出した強豪。
「野球=強い=常総学院」の図式は
茨城球界の誰もが知るところ。

2023年7月現在、常総学院の
指揮を執るのは、島田直也監督です。

元プロ野球選手、1970年生まれ。
1987年には常総学院・木内監督の下で
甲子園に春・夏連続出場を果たして、
夏には決勝をPL学園と戦った準優勝投手!
日本ハム・大洋(横浜)・
ヤクルト・近鉄と四球団に所属し、
プロ野球コーチ、独立リーグの監督を経て
2020年から母校の監督を務めています。

「…今年の夏は、常総学院では?」

と見ている人も多かった。
私もその一人でした。

前哨戦である春の県大会で優勝!
続く春の関東大会でも、ベスト4!
しばらく甲子園から遠ざかっていましたが
「勝負強い常総学院」が戻ってきた…。

そんな中で行われた2023年7月20日、
茨城県地区予選の四回戦です。
ベスト16のチームが、ベスト8を賭けて
死力を尽くして戦った。その結果は。

茨城高校5-3常総学院…!

ニュースでは「常総学院敗れる!」
一報が流れ、Twitterでは
『茨城高校』がトレンド入りしました。

昨夏の覇者、明秀日立高!
150キロ右腕を擁する霞ケ浦高!
最近めきめきと力をつけた常磐大付属高!
木内監督の下、取手二高で優勝経験のある
小菅監督が率いる土浦日大高!

このような強豪と戦って敗れたのなら、
ここまでのニュースやトレンドには
ならなかったでしょう。

でも、茨城高校…?
えっと、どこですか、それ…?
公立? 私立?
そんな疑問が全国を駆け巡りました。

本記事では、見事
ジャイアントキリングを成し遂げた
「茨城高校」について紹介していきます。

いばらきこうこう、通称いばこう。
水戸市にある私立高校です。
中高一貫校のため、
「茨城中学校・高等学校」が正式名称。

水戸藩の藩校、弘道館の流れを汲む
名門の学校
で、元は男子校(現在は共学)!
国内屈指の歴史を持つ県内最古の私立高校。
入試偏差値は70、いわゆる「進学校」です。

…野球が強い、というイメージはなかった。
甲子園出場は無し。
いや、最近、まあまあ強い、という
評判はありましたよ。
トーナメント表でもDシードであり、
全くの弱小校というわけではない。
現に、昨秋の大会では
常総学院と戦って敗北はしましたが
3-1と善戦しております。

しかしAシードの常総学院に比べれば
「よくぞベスト16まで来た!」
「強敵と悔いなく全力で戦ってきて!」

そのようなムードだったのです。

…そんな中、茨城高校のバッテリー、
佐藤由宇投手と粕谷隆純捕手は、
密かに闘志を燃やしていたことでしょう。
絶対に勝ってやる。昨秋のリベンジ、と。

佐藤投手は、圧倒的強打の常総学院打線を、
わずか3点に抑えます。緩急が素晴らしい。
80キロ台のスローカーブと
130キロ台の速球を巧みに織り交ぜ、
相手打線を翻弄しました。
4エラーの味方の守備にも決して腐らずに、
冷静に、勝負を楽しみながら、投げ切った。
粕谷捕手のリードも、凄かった。

この二人のことは、大会冊子の中の
学校紹介文にこう書かれていました。

(ここから引用)

『左腕佐藤は、最速140キロの直球も
多彩な変化球もある。
捕手で主将の粕谷は、プロ野球史に残る
名監督・野村克也さんの
配球やリードについての本を読み、
配球を工夫している』

(引用終わり)

佐藤投手は水戸市、
粕谷捕手は日立市の公立中学校出身。
その二人が軸となり、
他県から進学してきた選手も多い強豪、
常総学院に見事勝利したのです。
55年ぶりのベスト8進出!

まさに「スラムダンク」の
山王工業戦に臨んだ湘北状態…。


2023年のWBC、大谷選手は
決勝のアメリカ戦の前にこう言いました。

(ここから引用)

『憧れてしまっては超えられない。
僕らは超えるために、
トップになるために来たので、
今日1日だけは憧れを捨てて、
勝つことだけを考えていきましょう』

(引用終わり)

茨城高校ナインはまさにその心意気で
戦ったのではないでしょうか?
誰もが知っている常総学院に対して、
憧れではなくて同じ高校生として
対等な気持ちで全力でぶつかっていった…。


その結果が、ジャイアントキリング。

戦う前からあきらめない。
あきらめたらそこで試合終了、ですよね。
相手がどんな強豪であっても、
まずは対等な気持ちを持つ。

そんな気持ちが大事…と痛感させられる、
球史に残るような一戦だった、と思います。

もちろん、常総学院ナインにとっては、
非常に悔いの残る一戦だったでしょう。
ですが、この悔しさこそが
次の舞台で光る糧となる。

何しろ、逸材揃いの名門校です。
彼らの人生、むしろこれから。
三年生は次の舞台に向けて準備する。
下級生は一足早く新チームを始動させる。
課題を克服して「強い常総学院」を
また見せてくれるのでは
、と思います。

最後に、まとめます。

本記事では、常総学院に勝利した
茨城高校について書いてみました。

ちなみに「球界の寝業師」と言われた
根本陸男さん
もこの茨城高校の
出身であることを付記しておきます。

一筋縄ではいかない茨城高校。
彼らの準々決勝の相手は
昨夏の覇者、明秀日立です。

残るベスト8は、
茨城・明秀日立・霞ケ浦・
土浦湖北・土浦日大・東洋大牛久・
常磐大付属・鹿島学園…。

準々決勝は7月22日。準決勝は7月24日。
決勝は7月26日の予定です。
この猛暑の中で、三連勝したチームだけが
夏の甲子園の舞台に立てます。

甲子園で優勝する1チーム以外は、
どこかで負ける。
それもまた残酷な事実。
どんなに強豪でも、1チーム以外は負ける。

「純白のたま きょうぞ飛ぶ」

すべての球児に、栄冠は輝いていきます。
ひいては彼らを支える
指導陣、保護者、応援団、ブラバン、
すべての人にも…。

読者の皆様も、ぜひ応援してみては
いかがでしょうか?

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