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夏の熱気と湿度が感じられるようになると、
各都道府県で、ある抽選会が行われます。

夏の全国高校野球選手権大会、
いわゆる「夏の甲子園」大会の地区予選
そのトーナメント表を決める抽選会です。

本記事では、そのあたりのお話を…。

2022年、八月六日開幕の甲子園大会。
逆に言えばそれまでには
各都道府県の代表校を決定しておく
必要がありますよね。

となると、六月中~下旬には
抽選会を行っておいて、
七月上~下旬にかけて
地区予選を行うところが多い。
さすがにギリギリに決まってすぐ甲子園だと
特にピッチャーの負担が大きいので…。

ただし、沖縄では例年、
この抽選会が全国に先駆けて、
早く行われています。

なぜでしょうか?

それは、以前、「一地区一代表制」と言って
たとえ県予選を勝ち抜いても
隣接する他の県の代表などと戦って勝たないと
甲子園に行けない、という時期があったから。

特に沖縄の場合は、離島なので、県予選の後に、
南九州まで船で渡って試合をしなければいけない。
沖縄県単独で甲子園に出られるようになったのは
1974年のこと。
ましてや、1972年の日本復帰までは、
入国手続きなどが必要でした。

そんなこんなで時間がかかる、ということで、
沖縄では六月中旬には早くも
地区予選が開幕するようになったのです

(他の都道府県では七月上旬開幕が多い)。
それが今でも習慣として続いている。

さて、抽選会の組み合わせは、
それこそ各校にとって死活問題です。

強豪校ばかりの「死のゾーン」に入ると
夏の甲子園への道は、狭まります。
逆に、そこまで強豪校がいなければ
戦力を温存しながら戦うことができる。

特に一回戦負け、二回戦負けが
多い発展途上のチーム、高校では、

「何とか一回くらいは勝ちたい…!!」
「今年こそは…!!」


という願いがあるもの。
そんな時に限って、一回戦や二回戦から
優勝候補と当たってしまうと
思わず天を仰ぎたくなるものです。

ですが、一発勝負、負けたら終わりの
トーナメント制、いくら優勝候補でも
そのプレッシャーは半端ありません。
ジャイアントキリングは、起こり得る。

ぜひ、球児の皆様には
またその関係者、保護者の方には
最後の一球、ワンプレイまで頑張ってほしい。
そう思っています。

地区予選の抽選会を経て出来上がった
トーナメント表、いわゆる「ヤグラ」には、
各チームの想いが詰まっている、
とも言えるのです。

…そんな高校野球、夏の甲子園大会ですが、
「指導者」の方々にとっても、
格別の想いがあるもの。

手塩にかけて育ててきた三年生にとっては、
負けたら終わり、即引退の大会です。
ましてや2020年、2021年は
コロナ禍で十分力を発揮できないまま
卒業していった先輩たちがいます。
その先輩方の分まで…!と
気合を入れていることでしょう。
その選手たちを率いる指導者の想いや、
いかばかりか。

また、一年・二年にとっても、
次の新チームを見据えてどこまで
活躍ができるのか、大事な大会になります。

選手たちは三年間限定ではありますが、
指導者の方にとっては、
「ああ、今年も巡ってきたか…」という
感慨深い季節行事。
そこに向かって、その方たちは
どのような気持ちで臨んでいくのか?


実際に野球部の監督やコーチにならないと
その気持ちはわからないのでしょうか…?

いやいや、今の時代は
優れた漫画がありましてね。
その高校野球の指導者の気持ちを
垣間見て、追体験することができる。

ひぐちアサさんの『おおきく振りかぶって』
略称『おお振り』という漫画は、
選手や保護者などの心理にも踏み込んだ
野球漫画の名作の一つなのですが、

この漫画の35巻は、
各校の野球部の指導者たちに
主人公の高校の野球部員たちが
「自主的に」見学に行き、その想いに触れる、
という内容になっています。

全国優勝するようなチームの指導者は?
それに対抗する公立校の指導者は?
いわゆる「野球エリートコース」に
乗れなかった選手が集まる高校では?

他の高校の指導者の想い、自分たちへの指導とは
また異なったスタイルに触れ、
その経験がまた彼らを育てていく…という
かなり味わい深い巻なのです。
もしよろしければ、ぜひ↓

最後に、まとめます。

この時期、全国各地で抽選会が行われ、
いよいよ夏の甲子園の地区予選が開幕します。

全国優勝する一チームを除いて、
他のチームは全部、どこかで敗れます。
その涙を元に、また新しいチームが
始動していく、という季節。

もちろん暑さ対策、コロナ対策をはじめ、
様々な課題、問題を抱えた
夏の甲子園大会ではありますが、

選手だけでなく、保護者、指導者、関係者、
そういった方々への想いや心理にまで
踏み込んで想像しながら見る時、

当事者たちだけでなく、
それを見守る他の人たちにとっても、
自分自身が活動していくためのヒントが
ごろごろと転がっている…。

そんな大会ではないか、と思うのです。

ぜひ、読者の皆様のお近くの球場で
開催されていましたら、
ちょっと足を運んでみる、のも
良いのではないでしょうか?

読者の皆様の出身校での、
高校野球の思い出はありますか?

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