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ここ数日「映画」「歴史と地理」「地域別」で
私は「インド関連の記事」を投稿してみました。

その「灼熱のインドシリーズ」(←いま命名)の
まとめとして、本記事では
「未来のインド」について考えてみます。
色々な検索で出てきた記事をまとめる形で
書きましたので、ぜひ、皆様もご検索を…。

まずは、明るい要素からいきましょうか。

インドは「人口」が増え続けていますよね。
中国を抜き、約14億人もの人口を抱える。
これが、さらに増えていく!
いわゆる「人口ボーナス期」に入っている。

すでに人口が減り続けている日本、
少子化政策で人口減少に転じた中国とは
対照的で、年齢構成も若い!
四十代が真ん中で高齢者が多い日本、
三十代が真ん中の中国に対し、
インドは二十代の人たちが年齢層の中心。
「これからの人たち」がとにかく多い。
色々なことに対して、柔軟…!

「IT産業」も盛んですよね。
最新の技術は、経済に大きく影響します。

グーグルのサンダー・ピチャイさん。
マイクロソフトのサティア・ナデラさん。
有力IT企業のトップには
インド出身者やインド系の方が多い。
インドのIT会社である
「タタ・コンサルタンシー・サービシズ」や
「インフォシス」は、すでに
世界的な大手になっています。

かつ、アメリカ合衆国と離れており、
時差があることも、良いですね。

もともとイギリスの植民地のため、
英語を使える人が多いのも、良い。
アメリカのIT担当者が夜で寝る時、
インドのIT担当者は夜明けでこれから。
うまく仕事を引き継げば
24時間体制で仕事ができますよね!

「国際関係」も見逃せません。
インドは、欧米とも中国とも違います。
ロシアや日本とも離れている。
中東やアフリカにもアクセスがしやすい。
独自の場所、独特の世界…!

つまり、どこかの地域の情勢が
即、国家存亡の危機につながる、という
地政学的な場所にあるわけでは、ない。
これは、強みだと言えます。

例えば日本は、東アジアにある。
もし、朝鮮半島や台湾、
ロシアとの国境で「有事」があれば
かなり影響を受けてしまいますよね。
ゆえに、アメリカ合衆国との結びつきが強い、
そうせざるを得ない面がある。

インドは、そうではないんです。
「非同盟主義」を採り、大国と距離を取る。
日米豪との4か国による「クアッド」という
協力の枠組みに加わりつつ、
ロシアとも、兵器購入やエネルギー調達で
関係を維持している…。
全方位の外交政策を展開している。
(現英国首相もインド系のスナクさんですし)

うん、たくましい。ひ弱さのかけらもない!
ここまでをまとめますと、

◆増え続ける人口!
◆最先端のIT産業!
◆手堅い国際関係!

「うん、いいね、インド、もしや最強?
カレーも紅茶もヨガもインド映画も好きだし、
インド企業の株、いまのうちに買っちゃう…?」

…そう、思われましたか?

ええ、明るい面だけ照らしてみれば、
未来はバラ色、いいことづくめ。
そのように書いてみました。

ただ、物事には光と闇がありまして…。
今度は未来のインドの弱点、課題点を
あえて考えてみよう、と思います。

◆「増え続ける人口!」の課題

インドは「世界最大の民主主義国」です。

民主主義は、多数決が原則です。
人口が減り続けているならともかく、
増え続けている、ということは、
「色々な考えを持つ人」も増えていく。

けっこう、揉めるんですよ。

ほぼみんなが日本語を話し、
民族的にも宗教的にもそこまで大きな
差があるわけではない日本とは違い、
インドは、言葉も民族も宗教も
まさにモザイク状態、かつ、ごった煮状態。
28の州がありますが、それぞれの州は
日本の都道府県のようなイメージではなく
それぞれ別の「国」かと思うほど、違う。

…これ、まとまりますかね?

ましてやカースト制の文化を持つ国だ。
宗教的な戒律も、多い。
となれば、衣食住、キャリア意識、
似たような傾向になる日本とは違って、
「みんなばらばら」になる可能性も高い…。

実際に、経済的な格差は広がっています。
マハラジャか、と思うような大富豪もいれば、
貧しい中で死んでいく人たちも多い。
インドの1人当たりのGDPは現在、
中国の約5分の1と言われています。
平均的な就学率や識字率も、低い。

ましてや歴史的に見れば『キングダム』の
「秦の始皇帝」が統一した中国と比べ、
「ほぼインド全土を統一(南端除く)」は
ムガル帝国のアウラングゼーブ帝くらい。
それも、彼が死んだあとは、反乱と分裂…。
その状況を利用したイギリスは、
巧みに各王国、各藩王の対立を煽って
「分断統治」をしてきた経緯があるのです。

◆「最先端のIT産業!」の課題

京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科
准教授の池亀彩さんは、こう述べています。

『インドのソフトウェア技術者は
高カースト・高学歴の親を持ち、
大都市で生まれ育った、非常に限定された
特定の集団から輩出されている』

これまで「IT産業は新しい産業なので、
カースト制や貧富の差に囚われずに
多くの人材が活躍してきた」
と言われてきました。
私も、そういうイメージを持っていた。

しかし池亀さんは、丹念な研究と調査によって
その見方は実態に即していない、と言います。

『IT産業では就職の時に
同業者からの推薦状が必要とされるが、
IT産業に知り合いのいない
ダリトや低カーストの出身者は、
学歴や成績が十分であったとしても、
それを準備することは難しい。

またIT産業では特に
英語力が重視されるが、
両親・親戚が皆、英語を喋ることができ、
幼稚園の頃から英語で教育を受けている層と、
インド諸言語で教育を受けてきた者との間には、
単に個人の努力だけでは
乗り越えられない壁がある
』と。

みんなに平等にチャンスが
与えられているわけではない…。
格差の再生産…?
これは、IT産業の発展の阻害因子では?

◆「手堅い国際関係!」の課題

インドの軍事費は、米中に次ぐ世界3位。
軍事大国なんですよ。

かつ、どことも一線を画す
「非同盟主義」ということは、逆に言えば、
どこともケンカできる、ということでもある。
実際に、インドは中国や中東諸国などと
国境を巡って争い続けています。

もし、世界大戦が起こってしまったら…?

すでに国際秩序の中で無視できない実力を
持っているインドです。
舵取りを間違えますと、危険な面がある。
外交政策が見えづらい、ということは
未知数の部分が多い、ということでもある…。
暗中模索、暗闇の部分も、多いのではないか。

以上、本記事では
「未来のインド」について考えてみました。
読者の皆様は、どう思われましたか?

参考となる本を紹介して、終わります。

池亀彩さんの新書(集英社新書)
『インド残酷物語 世界一たくましい民』
よろしければ、ぜひ!

◎「灼熱のインドシリーズ」

『いまのインド』↓

『インドのヒスとジオ』↓

『ラーム・チャランさんと「進撃のインド人」』↓

合わせてぜひどうぞ!

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