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アイスタイル決算 正直しんどい懐事情 今後の舵取りが非常に気になる決算内容!

こんにちはhissy(@hissybiz)です。今日はアイスタイルのFY2021Q2決算を解説していきます。

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サマリ

1.売上微減かつ赤字と苦しいPL
2.パンデミックの影響をネガティブに受ける事業多数
3.現金の創出が超重要課題
4.いかに不採算事業を整理しファイナンスを駆使しながら高収益事業を伸ばせるか

売上微減 赤字とマダマダ苦しい

・売上(6カ月):156億円_YoY▲2.1%
・営業利益:▲5.4億円_前年同期比+6.1億円

売上は微減、営業利益は前年比で改善するも、以前として赤字という状況です。

売上は小売事業のみ前年比プラス進捗も、他事業は10%以上の減収という状況。特に唯一の黒字事業であるOn Platform事業が前年比▲13%という売上なのが収益面では痛いです。

では、各事業の詳細を見て行きましょう。

On Platform事業

Q2売上:17.5億円_YoY▲11.1%
Q2営業利益率:22.7%_前年同期比+2.9pt

主に、コスメブランドを対象にしたアットコスメ内における広告の販売と、ブランドオフィシャルというマーケティング支援サービスがメインのビジネスrになりますが、パンデミックの影響でブランド側の予算が減ったことを理由に売上は減収。一方で、営業利益率はコスト削減等により前年比で改善しており、営業利益額は前年並みまでQ2は戻せて来ています。

ただ、先にも触れたとおり、アイスタイルはこのOn Platform事業だけが黒字事業であり(他は赤字か、収益トントン)、売上の増加が見込めないとなると利益の確保が難しくなります。ですので、このOn Platform事業の立て直しというのは非常に重要な取り組みとなってきます。

営業利益3.9億円_YoY+2.0%

また、On Platform事業の屋台骨である@cosmeのUUは上記グラフの通り、googleの検索アルゴリズムに影響される面が大きく、SEOリスクが常に付きまとっていると言えます。

@cosmeの会員数は増加傾向、という事ですがUUのデコボコな推移を見るに一定数の休眠アカウントが存在していることが推察されます。

ブランドオフィシャル(ブランドのマーケティング支援サービス)の導入数もパンデミック影響もあり、前4半期比で微減と苦しい状況。2Qの230から4Qには300という目標を掲げていますが、見通しが立っているかは不明です。

Beauty Service事業

・Q2売上:48.3億円_YoY+25.7%
 うち店舗売上:27.6億円_YoY+6.0%
 うちEC売上:20.6億円_YoY+67.4%

Beauty Service事業は実店舗運営およびECの小売事業になります。実店舗、ECともに売上は増加、と特にECは前年比+67%と高成長を見せています。

一方で、営業利益率は▲6.8%と赤字事業であります。売上成長がまだ利益に貢献できていない状況です。

店舗売上は全体としてプラスではあるものの、既存店舗のYoYは▲11.5%と減収しており、1店舗当たりの収益性は減少している状況。

営業利益を既存店と大型旗艦店で分けたイメージグラフです。既存店はプラスであるものの、大型旗艦店が大きく赤字という構造であることがわかります。

大型旗艦店は固定費が大きい半面、売上が損益分岐点まで全然来ていない状況という事がわかります。

EC事業の売上はパンデミックの追い風もあり、大きく成長しています。

Beauty Dayのプロモーションコストとして、2.9億円ほどを使っているのですが、なかりせばでいうと営業利益は▲0.5億円ほどとなり、営業利益率は、▲1%ほどになります。

EC事業は黒字化している、とのことなので(とはいえ、利益率がとても高いわけではない様子)、小売り事業としては旗艦店の固定費を何でカバーするのかというのが短期的な論点となります。

また、ZOZOがコスメECモールをオープンという事で競合環境は激しくなっていく領域となります。

Global事業

・Q2売上:12.5億円_YoY▲27.3%
・Q2営業利益率:▲1.9%_前年同期比+14.9pt

売上は大きく落としていますが、営業利益率が大きく改善しています。採算事業の整理・撤退を行った結果とのこと。

成長路線よりも、足元の経営状況を踏まえてポートフォリオの見直しをかけた、といったところでしょうか。

グローバル事業はアイスタイルの中長期の戦略の核の一つであったため、今後どのように取り扱われていくかは注目です。

インドネシアのHermo社の株式を全株譲渡し、タイの店舗事業の撤退を決めています。

バランスシートは苦しい姿

・現金54億円
・商品29億円(原価率70%として約3カ月分の在庫か)

・1年以内の返済借入金:29億円
・長期借入金:85億円

現金54億円に対して、短期+長期の借入金が合計114億円と、ネットキャッシュが大きくマイナスの状況。また、在庫も3カ月分と結構持っているなという印象です。※ただでさえ現金が必要なのに商品を30億円近く持ってしまっているのも痛い。

6か月間の営業キャッシュフローは0.73億円という事で、事業から生み出されるキャッシュも全然ありません。

ですので、別途ファイナンスが必要です。2020年11月にはロコガイドを割当先とする約21億円の増資をして、長期借入金の返済に充てています。それでも、まだ上記の金額がありますので、まだまだ足りません。

※同様に増資で借入を返済していた例としてユーザベースがあります。が、ユーザベースより全然厳しい状況ですね。

海外事業の撤退など先行投資領域の整理を行っている点や収益が短期的に大きく改善するような見通しが見えない点を考えると、とりあえずダウンサイジングしても営業キャッシュフローを改善しに行っている様子がうかがえます。

事業別の黒字・赤字状況を見るとリアル店舗が赤字であることがわかります。しかも店舗の在庫がだぶついている結果、現金も寝てしまうという悪循環かと思います。

アイスタイルとしては不採算事業のリアル店舗運営の赤字をおさえつつ、高収益事業であるOn Platformの成長をドライブするというのが短期的な対策であり近道はないので地道に改善していくしかないかと思います。

サマリ

1.売上微減かつ赤字と苦しいPL
2.パンデミックの影響をネガティブに受ける事業多数
3.現金の創出が超重要課題
4.いかに不採算事業を整理しファイナンスを駆使しながら高収益事業を伸ばせるか

メディア運営のアセットライトな経営からリアル店舗やECといった、固定資産および在庫を持つビジネスというアセットヘビーな経営にシフトしていった、ここ数年の動きでしたがキャッシュに不安のある財務状況であったことと、パンデミックの向かい風が相まって、非常に苦しい状況に陥ったと言えます。改めて、在庫型ビジネスはコワいなという事を思い知ります。向こう数年はなかなかレベルの高いかじ取りとなると思います。
※個人的には2021年2月現在の400億円相当という時価総額にたいしては???です。

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