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ソフトウェアのデモはなぜ失敗するのか?

ソフトウェアのデモほど高い確率で失敗する活動は他にないのではないでしょうか?

私はこれまで数え切れないほどのデモを実施してきましたが、その9割は失敗ではなかったかと感じています。正確に測っていませんが。

この記事ではなぜ多くのソフトウェアのデモが高い確率で失敗するのかを掘り下げたいと思います。

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先ず初めに、デモが聴講者の"だから何?"に応えられていないことがあるかと思います。

多くのソフトウェアのデモンストーレーターが、なぜそのデモを見せるのかを冒頭に説明することなく、いきなりデモを開始しているのではないかと推測しています。

デモに限ったことではありませんが、どんな会合でも何らかの目的があるはずです。デモであれば、聴講者の課題を解決できるこを証明することが目的になるはずです。

デモ開始前に、なぜこのデモの場を持つのか?、この場の目的は何なのか? 必ずデモ開始前に聴講者と合意すべきですね。


次にプロダクトツアーがあるのではないかと。プロダクトツアーとは、聴講者の興味や関心は無視して、デモンストーレーターが一方的にSaaSの機能を延々と見せたり語ったりし続ける行為です。

デモンストーレーターは、セールスエンジニアやソリューションエンジニアと呼ばれる、聴講者が持っているであろう真の課題を技術的な側面から掘り起こしてそれらの解決策を提供する職責のケースがほとんどかと思います。

得てしてこれらの職責の方は、自社SaaSが持つ製品コンセプトや機能に愛着を持っていて、デモの場でそれらを事細かに説明する傾向があるかもしれません。

自社SaaSに愛着を持つことは大切でそれ自体は良いことですね。しかしながら、デモンストーレーターが自社SaaSに愛着があるかないかは、聴講者にとっては無関係です。

聴講者は、自社の課題の解決策のヒントやビジョンを探しているはずです。デモンストーレーターは、聴講者が持っている(であろう)課題にフォーカスしたシナリオのデモを実施すべきです。


3つ目に早すぎるトークとアクションがあります。多くのデモンストーレーターは、デモの場では緊張しているかと思われます。これはデモの場に限ったことではありませんね。

誰かの一言やアクションで、全てが上手くいくこともあれば台無しになることもあります。誰かしらの聴講者に向かって何かを唱える行為は緊張するものです。

人は誰しも緊張を伴うシーンでは早口になりがちかと。その場を穏便に済ませたいといった心理が働くからかもしれません。

デモンストーレーターや自社内の同僚であれば、常日頃自社SaaSのデモを見聞きしているため、早口なデモであってもポイントを理解できるかもしれませんが、聴講者は初めてデモを見聞きします。

早口でデモされても、何のことかちんぷんかんぷんで思考停止になってしまうかと。デモの場では意識してゆっくり進めるべきですね。


最後に影響度合いの検証不足があります。過去の私も含めて、多くのデモンストーレーターは、事前に練ったデモシナリオを間違え無く実施することに精一杯で、終わった後に聴講者に質問したり新たな課題を発掘したりする気力は残っていません。

穏便に実施できた後は、実施できたこと自体に安心や満足してしまって、デモ本来の目的を遂行することが疎かになるようです。

"質問はありますか?"や"課題解決のイメージはつきましたか?"のような、当たり障りの無い質問を聴講者に投げても、恐らく回答は"特に質問はありません"や"はいイメージがつきました(ウソ)"がほとんどかと。

デモンストーレーターは一通りデモを終えたら、デモの内容が聴講者の興味を引き起こしているのか、注意深く確認すべきです。

"前回のミーティングで、〇〇が重大な課題と理解しています。ご案内した課題解決のポイントは〇〇です。ご意見を頂けないでしょうか?"のような、オープン質問で相手の脳に少しの負荷をかけることが大切かもしれません。

オープン質問に何らかの形で応えている(または応えようとしている)姿勢が見られる場合は、デモは成功に近づいている証です。人は、常に自分の頭で何かを考えたり創造していないと、とっさのオープン質問に答えることはできないので。


何事も目的に焦点を置くことが大切ですね。

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