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大学教員・研究者になるには

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卒業研究・修論研究を経て研究者になろうと考えている方々向けの記事を集めていきます。大学教員・企業研究者など。
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#研究者

研究者を目指している方のために(1)

はじめに  学会シーズン終盤になりましたね。学会発表を行った方は、研究論文を執筆するべきか考えているのではないでしょうか。本日は、研究者の立場から研究者について私見を述べていきます。 研究者になるための準備  研究者になるためには、どの様な準備が必要になるのでしょうか?例えば、自動車の運転ができる様になるために教習所に通い、試験を受けて、運転免許証を取得します。同様に研究者になるために、練習、試験、修了といった過程が必要になります。研究者になるための練習・試験・修了と

大学教員公募戦士タイプ診断

こんにちは。 僕も含め、多くの方が大学教員関係の就職情報を発信しておりますが、 ・理系文系 ・目標とする大学 ・本人のキャリア などによって就職での戦い方が違ってくるため、どの情報を参考にしたらいいか迷う人も多いと思います。 そこで今回は、僕の分野である「数物系科学(主に数学系、情報系、物理系)」における大学教員公募戦士たちのタイプとその戦い方を独断と偏見で分類してみようと思います。 天才&努力タイプ

大学教員になれない人々

こんにちは。 これまで「大学教員になるには」というコンセプトで公募を勝ち抜く戦略を記事にしてきました。 その中でダメな事例も紹介してきましたが、今回改めて「大学教員になれない人々」の特徴をまとめてみようと思います。 大学教員になれない人々1:論文数が少なすぎる

【若手の方へ】研究者の道と恋愛

研究者の道を目指す・博士課程に進む人向けの記事を見ると、大方、「研究以外のものを捨てる覚悟を持て」的な脅し文句を見つける。 ・同級生が人並みの給料をもらって出世していく中、むしろお金を払う側の学生を続けていかなければならない ・結婚はあきらめた方が良い ・ポストは保証されていない ・孤独 等々。 間違いではない。が、個人的には、捨てて捨てて研究者を目指すよりも、欲しいもの全て手に入れて研究者になっていく人の方が心惹かれる。金の問題も改めて書こうと思うが、本記事では博士課程

第6章 科研費を獲得するー科研費の審査はコンペである(1)「マーケット」を意識する

大学専任教員の仕事の2本柱は、教育(主に授業)と研究です。これに、大学行政の仕事である「校務」が加わります。非常勤講師には校務の義務がなく、授業のみを担当しますので、その分専任教員よりも報酬は安くなります。 昨今の大学は、少子化に伴い受験料収入や学費収入の伸びは年々期待しづらくなっており、外部資金獲得に力を入れています。 代表的な外部資金として、文部科学省科学研究費補助金(科研費)があります。研究を担う大学専任教員や各種研究機関の研究員などから提出された「計画調書」(自身

大学教員公募で工夫したこと:「公募餌に群がる魚群の1匹」から釣り手を唸らせる「金の魚」になるには

魚釣りをするとき、我々は餌を撒くか、餌付きの針を水面下に垂らします。仮に魚が多くいるところであれば、時には魚群が押し寄せてきます。ふつうは、そのうちの一匹が連れればいいやという感覚で釣りをします。ここで、餌に食らいつく魚群が目に見えるとしましょう。そして、魚群の中に、ひときわ大きく艶も申し分ない魅力的な個体がいたとします。釣り人は、是が非でもその魚を釣りたい!と強く願うでしょう。この瞬間、釣り人と魚の立場は逆転します。釣り人は、その魚の魅力に釣られているのです。 回りくどい

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大学教員という職の魅力

大学の先生方が、仕事量、学生の質、研究に関する愚痴を語っている記事をよく見かける。納得する部分も、しかねる部分もある。 私は、この職について、もちろん不満なところもないわけではないが概ね満足している。 本記事では、私が感じている大学教員という職の魅力について綴る。 第一に、自分のしたいこと、思い描いていることを、実際に形にできる点だ。研究・教育に関わる中で、既存の価値観や授業の仕方等に対して疑問や物足らなさを感じることが多々ある。それらは、深く突き詰めていくことで新しい研究

研究者としてのキャリアを総合的に考える: 知っておくべきこと

アカデミアでのキャリアは簡単ではありません。自分の研究だけでなく、一緒に働く人たちにも気を配らなければなりません。しかし、すべての研究者がアカデミアに向いているわけではありません。研究者が自分の仕事に情熱を持てないこともあるでしょう。そうなると、憧れの職業であるにもかかわらず、アカデミアを敬遠してしまうかもしれません。もしあなたが研究者で、大学でのキャリアを考えていたら、この記事を読んでみてください。アカデミアで研究を続けることの利点や課題、研究者としてアカデミアで成功するた

工学系研究者の私が喜びを感じる瞬間

1 はじめに 皆さんこんにちは。私は工学系の研究者として、或る学術機関で働いています。本稿では、工学系研究者として、「工学とは何」「研究者とは」「工学系研究者の私が喜びを感じる瞬間」について紹介したいと思います。 2 工学って 大学における理系学部としては、理学部、工学部、医学部、理工学部、薬学部、農学部などがあります。医学や薬学は名前からどのような学問なのか想像しやすいと思います。では、「工学とはどのような学問なのか」、「理学との違いは何なのか」について簡単に紹介した

第6章 科研費を獲得する−科研費はコンペである(2)科研費に採択されるための業績の作り方

科研費に採択される計画調書を書くために必要な項目として、「応募者の研究遂行能力及び研究環境」において「これまでの研究活動」を記入する欄があります。 「これまでの研究活動」には、研究代表者(研究分担者がいる場合は研究分担者)の研究論文リストを記載します。 ここで注意すべき点は、研究計画に関連のある論文かつなるべく新しい論文のタイトルを記載するということです。 研究分担者がいない場合は15点程度、研究分担者が2 人の場合は研究代表者7〜8点、研究分担者各3〜4点程度の研究論

素直に目の前のことに取り組む 岡山大学 藤岡 春菜 先生

石川先生にご紹介いただき岡山大学 藤岡先生にインタビューさせていただきました。 幼いころから研究者への憧れがあったという岡山大学の藤岡先生。 大学院生時は毎日泣きながら論文や申請書を書いてたこともあったそうですが、博士課程時の留学で海外の考え方やメンタルケアに触れ、自分の働き方を見直したそうです。留学のきっかけも教えてもらったからとのことでした。助言にひたむきに取り組んでいる人にはよりアドバイスしたくなるし、応援したくなるものですよね。自分で損得勘定せず、まずは取り組んでい

大学教員になるためにすべきこと:公募の書類作成、面接、模擬授業に向けて(更新用)※2023年4月3日更新

 私が執筆した中で最も閲覧数が伸びているのは、大学・研究関連の記事です。大学教員公募に関する有料記事へのアクセスも伸びています。ご購入いただいた方、感謝申し上げます。  本記事は、1か月に1度くらいを目途に更新しつつ、私が執筆してきた大学教員公募、学振、研究関連の記事の道案内的な役割を目指すものです。トップに固定しているのは、こうした理由からです。  最後の部分では、私が公募戦線で戦うにあたり、特に参考にさせていただいた記事を紹介させていただきます。公募は、学問分野によって状

大学教員公募裏ワザ白書~短編エッセイ:科研採択で業績アップ~

皆様ごきげんよう、某私立大学で専任教員として勤務している「裏ワザ暴露太郎」です。 今回は短編エッセイ的に、「科研採択による業績アップ」についてお話したいと思います。 無料なので最後までお付き合いください(*^-^*) ご存じの通り、科研とは「科学研究費助成事業」の略であり、研究を発展させることを目的とした助成金事業です。 この助成金はもちろん競争的資金であり、「科研に採択される=研究者としてのステータス」に繋がります。 私も科研に初めて採択された時は、「やっとこれで研究者

【生々しい話】大学教員になれるか、なれないかー両者を比較ー

大学・研究業界の生々しい話、現実について綴ります。大学教員を目指して奮闘中の公募戦士にはなんとしても戦線を勝ち抜いていただきたく、研究者としての一歩を踏み出した院生の皆さんにはやがて直面する現実への備えをしていただきたく、研究者を志す学部生・中高生には覚悟を固めるために現実をお見せしたく、錯綜する気持ちを正直に本稿に込めます。自分の体験談と、身近にいた(いる)方のかなり生々しいお話しです。 モチベーションを是非上げていただきたく、今回は大学教員に「なれた」後の話から始めます