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大学教員・研究者になるには

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卒業研究・修論研究を経て研究者になろうと考えている方々向けの記事を集めていきます。大学教員・企業研究者など。
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#大学

大学教員になりたい人へ Vol.1

みなさん、こんにちは。小辻寿規です。 大学で授業を担当するようになって約10年が経過しました。気づけば若手教員とはいえないような年齢になってきました。 この間、後輩や色々な場所で知り合った方から大学教員になりたいのですがどうすれば良いのか?とよく聞かれます。 正直言って個人的には関西弁でいう「知らんがな」の領域です。それぞれ分野も違うし「こうすればなれますよ。」なんて言ってもなれないこともある。責任なんて私は持てません。 とはいえ、どうしたらなれるのかという話はあまり有名なも

【経験談】 大学教員になるためのロードマップ

大学教員と聞いても,どうやればなれるのかと思う人が多いと思います.そこで,大学教員である私が実体験を交えつつ,どうすれば大学教員になれるのか,どうすれば大学教員になれる確率を上げることができるのか,を個人的な視点からご紹介したいと思います. 自分の専門分野が情報科学なので,情報科学分野での話になります. 博士の学位(Ph. D)が必要大前提として,博士の学位が必要となります(必要でないケースも稀にありますが,ほぼ必須だと考えた方が良いです).そのため大学には,学士(4年)

大学教員公募へのチャレンジの記録⑤

あけましておめでとうございます。 前回の記事から半年近く経ってしまいました。 大学内定後に、現職の仕事や退職にかかるいざこざ、 退職に向けた準備や赴任前の諸々の準備、 非常勤講師の仕事などなどに日々忙殺されていました。 前回の記事は以下から 公募戦線に残っている大学;  ④ジャンル一致のC大学(助教)  ⑤ジャンル一致のD大学(助教・助手)  ⑥ジャンル一致のE大学(助教) それでは時系列で、まずは⑤D大学の面接から。 締切は8月でしたが、7月下旬に面接を実施。

大学教員公募の振り返り①

需要はないかもですが、私も以前諸先輩方が書かれた文章を参考にさせていただいていたので、誰かの参考になれば・・・と忘れないうちに書いておこうと思います。 私は教員ではないお仕事からの転職でした。 博士の学位を取って、実際に公募を出し始めたのが、転職活動1年目の10月頃・・・その当時、大学公募戦線は、夏がピークで10月も過ぎたあたりからは募集がフェードアウトしていくことすら知らなかった・・・ 1年目は2件出してみました。1件目は書類選考で落ちました。 しかし、ここで業績の書き方と

【若手の方へ】研究者の道と恋愛

研究者の道を目指す・博士課程に進む人向けの記事を見ると、大方、「研究以外のものを捨てる覚悟を持て」的な脅し文句を見つける。 ・同級生が人並みの給料をもらって出世していく中、むしろお金を払う側の学生を続けていかなければならない ・結婚はあきらめた方が良い ・ポストは保証されていない ・孤独 等々。 間違いではない。が、個人的には、捨てて捨てて研究者を目指すよりも、欲しいもの全て手に入れて研究者になっていく人の方が心惹かれる。金の問題も改めて書こうと思うが、本記事では博士課程

大学教員になってよかったこと。

 雪の降る季節になりましたが、みなさんいかがお過ごしでしょうか。私は雪を見て犬のように駆け回っています。  さて、今年一年私の拙い書き物にお付き合いいただきありがとうございました。はじめは大学教員になりたい人のために書き始めたnoteですが、いつまにか教員の日常生活を書き綴る記事ばかりなってしまいました。ただ、今まで自分のことを一切発信せずに生きてきた人間にとってみれば、何気ない日常をさらすだけでも結構勇気のいることです。さらには、何事も継続しない私にとってはこれだけ続いた

大学教員公募で工夫したこと:「公募餌に群がる魚群の1匹」から釣り手を唸らせる「金の魚」になるには

魚釣りをするとき、我々は餌を撒くか、餌付きの針を水面下に垂らします。仮に魚が多くいるところであれば、時には魚群が押し寄せてきます。ふつうは、そのうちの一匹が連れればいいやという感覚で釣りをします。ここで、餌に食らいつく魚群が目に見えるとしましょう。そして、魚群の中に、ひときわ大きく艶も申し分ない魅力的な個体がいたとします。釣り人は、是が非でもその魚を釣りたい!と強く願うでしょう。この瞬間、釣り人と魚の立場は逆転します。釣り人は、その魚の魅力に釣られているのです。 回りくどい

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大学教員という職の魅力

大学の先生方が、仕事量、学生の質、研究に関する愚痴を語っている記事をよく見かける。納得する部分も、しかねる部分もある。 私は、この職について、もちろん不満なところもないわけではないが概ね満足している。 本記事では、私が感じている大学教員という職の魅力について綴る。 第一に、自分のしたいこと、思い描いていることを、実際に形にできる点だ。研究・教育に関わる中で、既存の価値観や授業の仕方等に対して疑問や物足らなさを感じることが多々ある。それらは、深く突き詰めていくことで新しい研究

大学教員目線の学士・修士・博士の違い ~工学系の場合~

これから大学入試を控えている高校生や,入学したての大学生にとっては,学士・修士・博士という言葉は馴染みがないものだと思う。 また,大学院進学を目指している学部生にとっても,「実際,大学院ってどんなところなのか」イメージしづらい人は多いと思う。 今回は国立大学の工学系において,それぞれにどういった特徴と違いがあるのか大学教員の視点から整理したい。 はじめに最初に,基本的な大学と大学院の構造から。 まず,一般的な4年制の大学を卒業すると,学士と呼ばれる学位が与えられる。

【生々しい話】大学教員になれるか、なれないかー両者を比較ー

大学・研究業界の生々しい話、現実について綴ります。大学教員を目指して奮闘中の公募戦士にはなんとしても戦線を勝ち抜いていただきたく、研究者としての一歩を踏み出した院生の皆さんにはやがて直面する現実への備えをしていただきたく、研究者を志す学部生・中高生には覚悟を固めるために現実をお見せしたく、錯綜する気持ちを正直に本稿に込めます。自分の体験談と、身近にいた(いる)方のかなり生々しいお話しです。 モチベーションを是非上げていただきたく、今回は大学教員に「なれた」後の話から始めます

第5章 「好きなことを仕事に」上級編−アカデミックポストを獲得する(3)大学専任教員を目指した就職活動

大学院博士後期課程3年次には、修了後の進路を決めるため、博士論文の執筆と並行して「就職活動」を進めることになります。 大学専任教員を目指した就職活動は多くの場合、"研究者・研究支援者・技術者等の研究人材のキャリア形成・能力開発を情報面から支援する研究人材のためのポータルサイト"J-RECINを通じて公募情報を探すことから始まります。 J-RECINでは、「キーワード」「研究分野」「職種」「複数条件」のタブから公募情報を検索することが可能です。 たとえば、観光学分野の教員

大学教員になるための就活

時々、「大学の先生ってどうやってなるの?」といった質問を受けることがあります。実は、大学教員になるルートは多様なので、一概には言うことができません。ただ、私自身の経験談は書くことができるので、一例として紹介してみようかと思います。 前提として、私が就職活動を始めたのは、博士課程2年の終わり頃から3年生にかけてになります。今は博士課程の方のキャリアも多様化していますが、私はアカデミックのポストに絞って就職活動をおこないました。 基本的には、「求人情報を調べる→書類を書いて応

【学部生向け】研究者を目指す方へ

本記事は、研究者を志す主に大学1~4年生に向けたものです。人生の10歳ほど先輩からの小うるさいメッセージとしてお読み流しください。 私自身、研究者として身を立てようとぼんやり思ったのは大学4年生の頃、より現実的に考え出したのはM1の頃でした。今覚えば、大学1~3年ともったいない時間の使い方をしてしまったと後悔しています。 「研究者になりたい」という志を持つのは、早ければ早いほどいい。研究者は自身の専攻に特化したスペシャリストであると思われがちですが、浅く果てしなく幅広い知

#71 大学の先生って何しているの?

大学の進学率は5割を超えており、半数以上の人が大学生活を送ってきているはずです。そういった中で大学の先生が何をしているのかって、実はよく理解されていません。 コロナ禍で大変な部分はありますが、それを除いても一般的にはブラック企業です。月の残業時間が200時間以上なんて当たり前で、真夜中の3時とか4時にメールを送ってい来る人も多いです。 それでも、教育や研究の好きな人たちのボランティア精神でなりたっているのです。色々な仕事の内容をまとめてみます。いつか大学の先生になりたいと