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鏡のなかの言葉(定期購読)

映画監督松井久子が編集長となり、生き方、暮し、アート、映画、表現等について4人のプロが書くコラムと、映画づくり、ライティング、YOGA等のワークショップ、そして編集長がお勧めする… もっと読む
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2020年6月の記事一覧

映画をつくる 03  【資金調達】

ルイジアナでのシナリオ・ハンティングを終えて、日本に戻ると、早速シナリオを書き始め、数ヶ月後に書き上げた。そのシナリオを手に、思いつく限りの興味を持ってくれそうな企業や団体を歩いてみたが、社会はバブル崩壊のときを迎えて景気も低下の一途をたどっていた頃である。2億円という製作資金を出してくれそうなところは一向に見つかる気配がなかった。自分の経営する会社には何人もの社員たちがいて、その社員には家族もいる。いつまでも夢を追っているわけにはいかないと諦めかけていたとき、まさに「天から

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映画をつくる 02  【シナリオ・ハンティング】

映画をつくることになって、制作資金の調達は難航を極めた。 シナリオがなければ作品のイメージが掴めず、説得力がないことは確かだ。 が、シナリオライターに仕事として依頼するにも、その資金がない。 まずは自分でシナリオを書いてみようと思い、企画から約半年後、原作の舞台と なったルイジアナ州バトンルージュにシナリオ・ハンティングに行くことになる。 映画化が実現したら撮影監督をお願いするカメラマンだけは決まっていた。 日本映画ではすでに大御所と言われていた阪本善尚さんだ。 彼と二人で羽

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映画をつくる 01  【原作をみつける】

50歳になって映画をつくり始め、劇映画3本、ドキュメンタリー映画2本、すべての作品をプロデューサー兼監督、ときには脚本も編集もと、企画から完成までの一切を経験するという幸運に恵まれた私。その体験で得た映画づくりのノウハウとエピソードの数々を、これから映画づくりを目指す人びとに捧げます。 ドラマでも映画でも、原作を映像作品にする場合の最初の仕事は、原作者と作品の映像化権の契約を交わすこと。原作者映像化の承諾を得て、契約で決められた金額を払っておけば、契約期間の独占権が得られる

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稲木紫織のアート・コラム ”Arts & Contemporary" Vol.3

遊び心を可視化する“妄想写真館”の愉しみ 写真館で撮影したことがあるだろうか。成人式、卒業式、子供の七五三? 家族の行事や法事などか思い浮かぶかもしれないが、写真家の平間至さんと知り合い、宮城県塩竈市にある平間写真館の三代目でもある彼から、自身がオープンした平間写真館TOKYOのコンセブトを伺った時、その自由な発想に驚いた。  晴れ着を着て笑顔のまま、ひたすら動かずにいなくてはいけない、堅苦しい印象を持っていた写真館だが、平間さんは、「どんどん好きに動いてもらって、その人が

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つくり手であること 02*野草の楽しみ方

小さい頃、母がせっせとドライハーブをつくっているのを見て「なぜ枯らすんだろう」と思っていました。もっというと、子どもながらに「まめによくやるなぁ」と感心してもいました。 ラベンダーなど香りのいいドライハーブをミックスして、お手製の小袋に納めたポプリをわたしの枕元にも置いてくれていましたが、今思えば、当時まだ30代で、夫(わたしの実父)が体を壊したり、姑の世話もあったり、子どもも二人いて、さらに慣れないパートに出始めたりと、必死だった母自身が癒されるために作っていたのだろうと思

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つれづれ日記07

一冊の本を読んで、こんなにも暗澹たる気持ちになったのははじめてのことだ。 ノンフィクション『女帝 小池百合子』である。 これほどとんでもない女性が、権力を持つ男たちにすり寄って、今日まで自らの野心を遂げてきた人生の軌跡。彼女のカイロ大学主席卒業という学歴詐称が、どうしてこれまで断罪されることなく、権力の階段を登りつめることができたのか? それはひとえに、彼女を今の座に導いてきたのがその時どきの政財界やマスコミの「権力を持つ男たち」であったからだ。 自らの野心を遂げるためにまる

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Momoka's Yoga Lesson 02

Momokaさんの初心者のためのヨガレッスン2回目。 股関節をほぐし全身の血行を整えるためのヨガです。 今回も映像を見ながら、一緒にストレッチしましょう! 全体の長さは約23分です。

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自分史という視点の楽しみ方02

みなさんこんにちは。今年は梅雨らしく雨の日が続きますね。 ここ近年は空梅雨でいきなり猛暑だったので、ちょっとありがたい気分もありますし、年齢からか、梅雨を楽しめる感覚というのも分かるような気がします。 さて、先日の自分史という視点の楽しみ方01では、自分史ということばが生まれた経緯や、社会での認知についてお話しました。 そこで2回めの今日は、そのもの「自分史とはなんぞや?」ということについてお話したいと思います。 自分史の肝は「視点と作品性」いきなりのっけから、分かるよう

つれづれ日記06   明日からは雨というので…

お散歩に出た。 京急の逗子葉山駅から細い県道を10分ほど歩くと、渚橋の信号にぶつかる。 渚橋の交差点をまっすぐ進むと葉山マリーナ。右に折れて、橋を渡れば逗子海岸。 子どもの頃、夏になると家族で何度も海水浴に来た海だ。 仕事が休みのたびに家族を小旅行に連れ歩くのが、何よりの楽しみだった父の面影がよみがえる。 砂浜に降りようとするところに、毎回迎えてくれる『太陽の季節』の記念碑もあの頃はまだなかった。 海岸には、密とは言えない程度の子連れのママたちや、ウインドサーフィンに興じ

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Yumikoの映画玉手箱 01

アリス・ギイを知っていますか?みなさん、こんにちは。 今日からいよいよ私の映画の玉手箱を開いてお話いたしますね。この箱の中には、古い時代のものから最近見たばかりの新作映画、映画に関する忘れられない人々や出来事…が順不同に出番を待っています。 今日は最初ですから、まずは世界で初めて映画を撮った女性アリス・ギイのお話はいかがでしょうか。

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自分史という視点の楽しみ方01

さて、いよいよ始まりました「自分史という視点の楽しみ方」。 どうぞよろしくお願いいたします。 いまこのマガジンを読んでいただいているみなさんは、松井監督の生き方に共感している方が多いと思いますし、そういう方は、意識しているしていないに関わらず、ご自身の人生の楽しみ方を知っている方なのではないかと勝手に想像しています。 しかしそれを「自分史」という視点で人生を振り返り、これからを生きることで、さらにご自身の人生を味わい深く楽しめるようになります。 これから、自分史をライフワ

オンラインショップ・セレクション ひなた農園01

ひなた農園は広島県の中央東広島市の中山間地にあります。30分も車で走ると住宅がたくさんありますが、このあたりは山に囲まれた盆地で、自然豊かでのどかな景色が広がっています。 2013年に開園し夫と2人でコツコツと畑を耕してきました。農園を始めて8年目、その間子供を2人出産し、猫が2匹と犬が1匹、家族も増え充実した日々を送っています。 私はひなた農園の妻、ひなた みかです。この度は色々なご縁がありまして、こちらで農業の事、子育ての事、日々感じる事などを書かせていただくことになりま

稲木紫織のアート・コラム ”Arts & Contemporary" Vol.2

2016年5月21日、松井久子監督『不思議なクニの憲法』初日 2020年5月21日、松井監督のお誕生日、このnoteはオープンしたが、4年前の同日は、松井監督の5作目の映画『不思議なクニの憲法』が、渋谷シネパレスで初日を迎えた日だった。あれから、日本のみならず、世界各地で上映されているけれど、当日の記録が残っているので、僭越ながら、初上映の時に感じたことをお伝えさせていただきたい。  イサムノグチの母を描いた第3作の日米合作映画『レオニー』(2010)で世界に躍り出た監督は

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オンラインワークショップ 書く−02

この記事は、私が雑誌に発表したエッセイです。 雑誌ではもちろん文字だけで読んでいただくものなにの、こうして写真入りだとちょっとずるいのではと思いながら…。 北欧を旅して 旅は、日常生活を離れて、ちょっと大袈裟に言えば、時空を超えて複層的な時間と空間を生きるおこないである。 息子家族の住むノルウエーに向かうための三十時間近い道程が始まって、飛行機が飛び立つと早速イヤホンをつけ、エンターメントプログラムを音楽にセットして、選んだのは、バーブラ・ストライサンドのアルバム『メモリー

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