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自分史という視点の楽しみ方01

さて、いよいよ始まりました「自分史という視点の楽しみ方」。
どうぞよろしくお願いいたします。

いまこのマガジンを読んでいただいているみなさんは、松井監督の生き方に共感している方が多いと思いますし、そういう方は、意識しているしていないに関わらず、ご自身の人生の楽しみ方を知っている方なのではないかと勝手に想像しています。

しかしそれを「自分史」という視点で人生を振り返り、これからを生きることで、さらにご自身の人生を味わい深く楽しめるようになります。
これから、自分史をライフワークにしている私と一緒に、シンプルで味わい深い自分史の世界を楽しんでもらえたら嬉しいです。
そこで今日は「自分史」という言葉の歴史からお伝えしたいと思います。

自分史って一体なんだろう?

「自分史」という言葉は、1975年に歴史学者で作家の色川大吉さんが、自著「ある昭和史-自分史の試み」という本で使ったのが最初とされています。

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予科練で特攻隊員としての訓練を受けている最中に終戦を迎えた色川さんの壮絶なエピソードや、市井に暮らす人々の文化の歩み、昭和天皇の人間像について描かれているこの本のなかで色川氏は「人は誰しも歴史をもっている。どんな町の片隅の陋巷(ろうこう)に住む『庶民』と言われる者でも、その人なりの歴史をもっている。」とし、その価値をたたえています。

そして戦後、そのような名もなき人々の歴史を記す自分史は、主に戦争体験を語り継ぐ貴重な史料として多くの人に受け入れられ、大きなブームとなり、その後シニアの方を中心に「自分の人生を振り返って遺す書籍」として定着、自費出版を中心に年間数千冊もの自分史が出版されています。 

そのほかにも、私が所属する自分史の素晴らしさを広めるために設立された「自分史活用推進協議会」や、愛知県や東京都では自分史を蔵書とする「自分史センター」、神奈川県大和市など地方自治体の図書館では、地域に暮らす人々の自分史を集めた「自分史コーナー」などもあり、日本の社会文化として広く定着しているのです。

かなりはしょって説明しましたが、これが日本で広まってきた自分史の歴史です。
 
私が最初にこのことを学んだとき、自分史という言葉が思っていたよりも新しいものであることに驚きました。
戦前までは偉人伝や伝記というような、一部の人だけの生きた軌跡は存在していましたが、何十年にもわたる戦争を経て、大きな犠牲を払い民主国家になった日本の国民が、自らの軌跡を残す自分史は、文化的にもとても価値のあるものですし、これからも続けていくべきものだと思います。

ただ自分史のもつ価値は、シニアだけのものでは決してありません。
私がそもそも自分史に取り組みたいと思ったのは、その価値が年代を超えてこれからの時代に必ず求められると確信したからなのです。
 
ということで次回以降は、私なりに考える「自分史のもつ価値」について少しずつ紐解いてお伝えしていこうと思います。
ぜひお付き合いくださいね。

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