蒜山目賀田(エッセイなど)

絵画や小説を制作しています HP→https://hiruzenmegata.wixs…

蒜山目賀田(エッセイなど)

絵画や小説を制作しています HP→https://hiruzenmegata.wixsite.com/site 主に絵についての文章のアカウントです。小説のアカウント→https://note.com/megata/ ハヤカワSFコンテスト最終候補/文藝賞、群像賞など途中残留多数

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  • 杣道/テキストリレー

    • 73本

    7人の読書好きによる、連想ゲームふう作文企画。 週替わりのリレー形式で文章を執筆します。書き手は自分に渡された文章しか読めず、他の作品はnoteで発表されるまで読めません。 文章ジャンルは無制限。文字数は2500字以内。どんな作品が生まれるのか。お楽しみに!

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    [憶測の温床] 展示ブックレット+補遺集

    4月開催の個展[憶測の温床] 高円寺pocke会場にて出展・設置しているものすべてに対する、個別にあてがわれた補助的なテキスト、およびテキスト作品による、展示アーカイブをかねたブックレットA5 (無線綴じ冊子)  本文30ページ上記展示のアーカイブと、12月開催の続編の展示[憶測の温床ii]出品作についての小冊子を付属A5 (無線綴じ冊子)  本文30ページ カラーエディション・署名入り※当サイトは送料一律180円です。 スマートレターでの発送になります。
    ¥700
    BOOKS
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    もちてのほん

    [憶測の温床]出展作148×148mm 36ページ カラーさまざまなものに持ち手を取り付けた試行をおさめた写真絵本2019年制作のものの改訂版エディション・署名入り※当サイトは送料一律180円です。 スマートレターでの発送になります。
    ¥1,500
    BOOKS
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    Statements and Sketches

    制作に関してのテキスト集(ドローイング収録)A5 手製 本文20ページエディション・署名入り2018年制作※当サイトは送料一律180円です。 スマートレターでの発送になります。
    ¥500
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    [憶測の温床] 展示ブックレット+補遺集

    4月開催の個展[憶測の温床] 高円寺pocke会場にて出展・設置しているものすべてに対する、個別にあてがわれた補助的なテキスト、およびテキスト作品による、展示アーカイブをかねたブックレットA5 (無線綴じ冊子)  本文30ページ上記展示のアーカイブと、12月開催の続編の展示[憶測の温床ii]出品作についての小冊子を付属A5 (無線綴じ冊子)  本文30ページ カラーエディション・署名入り※当サイトは送料一律180円です。 スマートレターでの発送になります。
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    [憶測の温床]出展作148×148mm 36ページ カラーさまざまなものに持ち手を取り付けた試行をおさめた写真絵本2019年制作のものの改訂版エディション・署名入り※当サイトは送料一律180円です。 スマートレターでの発送になります。
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    制作に関してのテキスト集(ドローイング収録)A5 手製 本文20ページエディション・署名入り2018年制作※当サイトは送料一律180円です。 スマートレターでの発送になります。
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最近の記事

2024 春 静岡 その2

(前回のつづき)  静岡駅の改札で、ぎゃーぎゃー叫んでいる人がいる。駅員に怒っているらしい。悲鳴はおそろしく耳障りなだけで、言葉に聞こえない。  電車の中で友人と落ち合う。ぺたちゃん(仮名)と会うのは半年以上ぶり、去年は僕の家にあそびにきてくれて、タロット占いの練習台になった。  意地が悪く、意固地でケチでワガママで、どうしようもない祖父に愛想をつかして、意地が悪く意固地でケチでワガママでどうしようもない祖母が家を出て行って数年、いまだに祖母は居所を知らせずに、財産分与を要求

    • 2024 春 静岡 その1

      「こだま」という新幹線にはじめて乗りました。はじめてだったから、外国からの旅行者の質問に答えられない。「これは掛川につく?」とか、「これは××系統?」とか、いまの時代にかえって珍しい有線イヤフォンをつけた私にばかり、どうして尋ねるんだろうか。  リニアモーターカーならもっと早く着くのに「こだま」を利用し、静岡に行ったんです。停車駅のならびを見上げながら、バスで腰が痛くなるって距離でもないのに新幹線使ってる、無駄遣いしちゃったかなと悔やむ。席について、ゆっくりしようかと思ったと

      • 2023年 秋の香川 その3

        (前回はこちら) “歌って踊れる似顔絵男女ユニット”の“このよのはる”の長崎リサは大学のころの同級生で、卒業後もたまに遭遇するのでいまだにゆるくつながっている。  彼女は“このよのはる“以前から、渋谷の路上にブルーシートを敷き、ギターを弾き、足を止めた人の似顔絵を描いて生きていた。公園の木の上から雑居ビルの屋上まで、いろいろなところをねぐらにして、雨の日には居酒屋を巡って「流し」をやる。(眠れる木や、ちょうどいい木のある公園の情報や、安定して眠る眠り方などを教えてくれる

        • 2023年 秋の香川 その2

          (前回はこちら)  はじめに通りかかったお遍路さんはカナダ出身、ニューヨーク在住のファッションデザイナー、船上でのショーの衣装を作っているそうです。一か月前に四国にやってきて、それからこの第七十八番目の巡礼地(「第七十八番札所」という)に辿り着くまで歩いて遍路をしている。  歩いての遍路はとくに「歩き遍路」と呼ぶ。といって、「電動アシスト自転車遍路」とか「ガイドバスツアー遍路」などの呼称は聞かれなかったので、「歩き遍路か、そうでないか」という見方なんでしょうか。つまり歩き

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        • 杣道/テキストリレー
          73本

        記事

          2023年 秋の香川 その1

           ある日ふらっと急に行方不明になった人みたいなおろそかな準備で朝の電車に乗って東京駅で新幹線に乗り換える。自由席に腰かけました。二人掛けの席の窓際です。品川と新横浜ではまだ隣に人が乗ってきてほしくないため、停車するたびに狸寝入りをしました。隣の空席にやや体をもたせかけた姿勢で、軽く嘘のいびきをかく。人はそもそもそんなに乗ってこなかった。近くの席の人からみて私、「あの人、停車するたびに短くて深い眠りに…奇妙な人……」と思われていたでしょうか。思ってろ上等だ。乗っていた10月31

          2023年 秋の香川 その1

          2023年 夏の放浪 その6

          前回はこちら 5.宿題について ◎一年前  私がはじめて長崎に行ったのは、一年前の夏だった。長崎で暮らす人から、人づてにやってきたお誘いに乗っかったのだった。「ここで過ごしてみたら、きっといろんなことを感じるだろう。感じとったものを制作に反映させてみたら、どんな作品ができるのか、気になります」そういう話だった。しかし、誘い文句には続きがある。 「とはいえ、まったくはじめての場所に急にやってきて、その場ですぐになにかを作るのは無理がある。だから、ひとまずはただ滞在をし、い

          2023年 夏の放浪 その6

          2023年 夏の放浪 その5

          前回はこちら 4.「ガイドブック」と小説について ◎ 「ガイドブック」について  2冊の本を携行していた。神田千里著『島原の乱』と、遠藤周作著『切支丹の里』を持って歩いて、読みながら、書いてある場所を訪れ、書いてある場所を訪れたら、再び本文を確認する。アニメオタクのいう「聖地巡礼」みたいなことをしていたわけだけれどキリシタン関連の地をまわるのだからこの言い方がややこしい。 『島原の乱』は天草・島原におけるキリシタン一揆について詳細に論じられた本で、一度ならず目を通して

          2023年 夏の放浪 その5

          2023年 夏の放浪 その4

          前回はこちら  宣教師がやってきた当初、煽られて、寺社仏閣を壊し、火をつけていったグループもある。天草の港で出会った猫おばちゃんの言葉じゃないけれど、「かわいそうなキリシタン」みたいな印象を持っているとピンとこないかもしれない。ただし、扇動者によって仏塔仏像を破壊したり、寺に火を放った背景に、時代のこともあるはず、戦国時代です。中途半端な攻撃じゃ、今度は自分の命がなくなる可能性があるなら極端な行動をするだろうし、破壊されきった場所でならどんな権利も無効化されるなら、やりきっ

          2023年 夏の放浪 その4

          2023年 夏の放浪 その3

          前回はこちら  放浪にでる直前、東京外国語大学でちょっとした講義をした。「空間と公共性」についての連続講義のうちの1回の、ゲスト講師としての授業だった。授業は英語で行わなければならないのに、ぼくのスキルは非常に低く、そのためあらかじめ講義原稿もとい「台本」を日本語でつくり、これを英訳したものを準備していた。(ただし、文法的にまちがいのない言葉を話せたところで、内容が理解されるかどうかはまた別の問題ではある。たとえば、「私が何かを思っていると私が思っているときに私が想定してい

          2023年 夏の放浪 その3

          2023年 夏の放浪 その2

          前回はこちら  島原から南島原へのバスは、のぼりもくだりも一時間に一本あれば多いほうで、そのうち、港のバス停で、のぼりとくだりのバスの出発時間のラグが十分程度になるタイミングは一日にたった一度だった。まず南島原の港へ行き、そこにあるコインロッカーに荷物をいれたら、十分後に出る反対方向のバスに乗って、行きたい場所を目指す予定に緊張している。バスは時刻通りの運行をしないし、それが出発地の島原駅からうんと離れた停留所ともなれば、よっぽどズレるはずだので、うまくいくかわからない。港

          2023年 夏の放浪 その2

          2023年 夏の放浪 その1

          2023年の7月末から8月頭にかけての10日間ほど、長崎あたりを放浪していました。記憶が鮮明なうちに、その記録を書き残しておこうと思う。事情や出来事が入り組んでいるために、話の軸ごとに書き分けます。インデックスは、 0. 旅程 1. 人との交流、出来事 2. 歴史について 3. 感じたこと、気づいたこと 4. 「ガイドブック」と小説について 5. 「宿題」について 0.旅程  長崎空港に着いたら、そのまままっす

          2023年 夏の放浪 その1

          6月の日記 台湾旅行とその後

           5月の末に台湾に行った。友人のトーマくん(仮名)が誘ってくれた、というか、「これまで海外に行ったことがないけど行きたいとは思っていて、けれどどうにも勇気が出ず、ながいこと道連れを探していたんだが、どうか」と声をかけてくれたために巻き込まれ、特に台湾への気持ちはないんだけど、行ってきた。誰かと一緒に海外に行くのははじめてだった。  人と行くと大胆になれる。食事の選択肢も増える。台湾のイメージといえばホーシャオシェンの映画、千と千尋の神隠し、呉明益(小説家)にテレサ・テン。水

          6月の日記 台湾旅行とその後

          つながっているとされることについて

           思い返すと数年前まで、十年あまり暮らしてきた部屋に対し「この場所と自分の間に必然的なつながりはまったくない」という感覚があって、ここはどこなんだろう、どうして自分はここにいるんだろうなんて思いにとらえられることもしばしばだった。  小学生のころは朝遅くになってからようやく家を出ていたものだ。通勤通学もごみ収集も庭先の花壇への水やりも終わった時間帯の住宅地は、人の生活の気配は濃いのに誰の姿もない。そこをひとりで二時間くらいかけてぶらぶら歩くのがさみしくて、幽霊になったみたいで

          つながっているとされることについて

          10-2「"さみしい"について」

          連想ゲームふう作文企画「杣道(そまみち)」。 週替わりのリレー形式で文章を執筆します。 10周目の執筆ルールは以下のものです。 [1] 前の人の原稿からうけたインスピレーションで、 [2]"さみしいときどうしているか" について書く 【杣道に関して】https://note.com/somamichi_center 【前回の杣道】 いま32歳で、今年33歳になる。15年前はいっつもさみしかった。いまはそうでもない。いまの暮らしは、昔より整理がついている。だから「いまは

          10-2「"さみしい"について」

          いきものはみんな

           わたしは今夜、道にてミミズを見下ろしていました。彼は、わたしがいままで見てきたミミズのなかで最も速いスピードで一目散に、無我夢中に、一心不乱に一方向に進んでいた。彼の生涯は不幸だ。ミミズは不幸だ。いきものはかわいそうだ。  一方向にまっすぐ急ぐミミズは、そうではないミミズと同様に、まっとうに生きているという点で美しく感じられた。加えて、定まった方向を目指す体全体の動きがどうにもひたむきなものに見え、なんだか応援したくなる。ところで彼の動きを人間の世界からみれば、車道を横切

          (2022年2月 展示[LAND]に際して)

          (画像:作品 blind 333×220mm パネルに油彩) 「生活」がわからない。なにを指している言葉なのか、どうも腑に落ちない。「泊まる」や「過ごす」なら、どういうことを言っている言葉なのか見当がつくが、「住む」や「暮らす」は、いったい、なんのことなんだろう。うまくつかまえられない。 「部屋」はわかる。その言葉で示される意味の感覚的な輪郭をまだ観察できる。ところが、これが「家」になるとわからない。なにを示す言葉なのか。 「部屋」を知らない人に、「部屋」を説明すること

          (2022年2月 展示[LAND]に際して)