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夜桜の底でうろつく獣の姿を見ただろうか。

月夜の晩。
一般人が夜桜を楽しむ傍らで、虚空を掴むように網を振り回している変人を見たことがあるだろうか。
電灯の下や木の陰、葉裏を覗き込み、地面を這い回る彼らの目には桜など写っていない。

花より団子。否、団子よりも大事なものが彼らの胸を熱くたぎらせる。

春。

ときに皆さまはこの言葉を聞いて何を思い浮かべるだろうか。

桜。団子。

菜の花、フキノトウ、タケノコ。

イチゴ、新玉、花粉。

出会い、そして別れ。

いやいやいや……

やっぱり蛾でしょ!!!!!

イボタガ

春の三大蛾の一角。

イボタガです!!!

説明しよう!
「春の三大蛾」とは……
イボタガ、エゾヨツメ、オオシモフリスズメで構成される春の大型蛾のことだ!春の夜、ふらふらと山のなかを彷徨さまよっている人たちは大抵この蛾を探している。

ちょっと奥さん、見て下さいよ。
この力強い奇抜な翅模様ッ!
ウサギ耳のような触角ッッ!!
そしてこのモフモフなボデェィ~ッッッ!!!

何度も撫でさせてもらいました。柔らかくてふわふわで最高です。

そしてこの奇妙な模様。何かに見えませんか?

そう…猫です!
(※フクロウ擬態説の方が強いですが個人的には猫を推しています)

────擬態ぎたい
自然はいつだって弱肉強食。
食物連鎖で低い位置に存する蛾が自らの身を守る方法として、
捕食者上位に立つ猫に扮して外的から身を守っているわけです。

さてゆっくりと撮影を楽しんでいたわけですがこちらのイボタガさん、
種の特徴なのか、この個体の性格なのか、
非常に気性が荒く近づいたり手に乗せるとすぐに翅を立てて怒るのです

これが結構な迫力。
人間よりも圧倒的に小さく軽い命ですが、その迫力は思わず仰け反るほど。

必死に生きようとする姿を見せられ罪悪感が…、
少し撮り足りないですが自然へ帰しました。
素敵な時間をありがとう。

こちらはイボタガの幼虫

有史以前は悪魔の使いとして恐れられていた、と言われても信じてしまいそうなビジュアルです。

角は触ると硬い。


いや~、あのね、イボタガは常日頃から憧れ続けている虫なのですが、
こちらのイボタガ、成虫と幼虫、どちらも全く期待していないときに出会ったんですよ。
あー、なんかいないかなぁー。くらいの感覚。
やはり自然様には人間のよこしまな気持ちが分かるのでしょうね。

これからは種に固執せず、純粋に自然を楽しむ心でフィールドへ向かいたいと思います。

それはそうとして、今年の春はほかの三大蛾、エゾヨツメ、オオシモフリスズメにも会いたいなぁ。



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