顧客体験の設計はO2O・OMOから、O+O(Online + Offline)の時代へ
インターネットの効能は「効率」だ。標準化・平準化・合理化されたオペレーションによって、アナログでは非効率だったものをデジタルによって効率化する。インターネットはそれを加速させた。
分かりやすいのがECサイトだ。インターネット以前は、遠くに離れた場所でしか売っていないものは、その場所に行かなければ買うことはできなかった。そもそもそれを知ることすらなかった。
インターネットは効率的に情報を得ることができて、効率的にモノを手に入れることができる。インターネットによって世界の距離は縮まった。
しかしインターネットにも限界はある。アナログによるフィジカルな価値は、デジタルによって完全に欠落した。効率的であればあるほど、人間らしさは失われていくと言っても過言ではないかもしれない。
人の価値観はうつろいいくもので、常に行ったり来たりを繰り返す。
アナログの時代が長かった人類は、デジタルの効率に興奮し、ドットコムバブルからスマートフォンによる社会変革、そしてAIへと、デジタルによる社会変革はまだまだ続いている。
一方で、消費者たちは「デジタル疲れ」も感じている。何でもかんでもデジタル化すれば、人間の自然な感覚が失われるのと同義でもあった。
だから今こそ「アナログ」な価値に向き合うべきなのだ。デジタル一辺倒での効率化ではなく、アナログにおける非効率な価値にもしっかりと目を向ける。僕らが生きている世界はアナログなのだから、フィジカル性の部分ももちろん大事なわけだ。
しかしそれはアナログとデジタルのどちらが優劣という話ではもちろんない。これからの時代に求められるのは、アナログの価値をいかにデジタルによって最大化できるか。デジタルによる顧客との接点をアナログによっていかに最大化できるか。
アナログとデジタルはどちらかの主従関係にあるものではなく、アナログとデジタルは併立して互いに相乗効果をどう生むかを考えてしかるべきなのだ。
O2O(Online to Offline)からOMO(Online Merges with Offline)、そしてO+O(Online + Offline)の時代へ。
サービス・デザイン、バリュー・デザインにおいて、このトレンドを理解することは今後非常に重要な指針となる。
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