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【動画解説付】1on1完全マニュアル 基礎編 #01 ~1on1で話すテーマは7つしかない!~

みなさん、ご無沙汰しております。
1on1エバンジェリストの門沢(@hiroyuki_kadosa)です!

1on1型化プロジェクトを始めますと宣言したのが、2023年10月中旬。
今回は、ついに「型」の第一弾を公開していきます!

(一番最初に書いたnoteはこちら↓↓)

今回のnoteでは、型の全体観を提示したうえで、「1on1の型」をお伝えしますー

その前に、忙しい方に向けて、今回のnoteの簡単なまとめ動画を貼っておきます!!



1on1の型とは、話すネタやテンプレートではない


改めて強調したいのは、いわゆる「ネタやテンプレート」を作って、終わりではない点。前回のnoteにも書いた通り、「守破離」の精神を重んじているので、一人ひとりが型を取捨選択して、自分なりの型作りが出来るような情報を提供していきます!

ハードスキルではなくソフトスキルとしての1on1

ハードスキルとは、プログラミング・ファイナンス・法律の知識等とします。パソコンでいえば、アプリケーション的な位置としておきます。収入や社会的地位に直結するので、みんな好んで学ぼうとします(これ自体は、とても大切なことですよね)。

ただ、いまこそビジネスパーソンが学ぶべきは、動機づけ方法・メンタリング・マインドフルネス・レジリエンス・共感力といった”ソフトスキル”だと持論があります。PCでいえば、OSみたいなイメージです。「働くためのOS」という表現が個人的にしっくりきます。

1on1型化プロジェクトでは、後者のソフトスキルを追求していきます。AIの登場でハードスキル(それに紐づく仕事も含む)は、PCに代替される時代が来るというニュースを見ない日が無いくらいになりました。いくらAIの機能や制度があがっても、ソフトスキルは人間にしか扱えない技能だという論調が多いと感じてます。そうだからこそ、働くOSであるソフトスキルを身に着けられたら、一生ものの財産になると信じています!!


2つのソフトスキル

さらに、ソフトスキルを1on1の文脈でとらえてみます。

①何を話すのか(what)
②どうやって話すのか(how)

この2つに分類されると考えています。

何を話すか(what)を基礎編として整理したうえで、どうやって話すか(how)は回数を重ねて整理していきます。なぜなら、「何を話すか」は、だいたい決まっているからです。

1on1ミーティングで話すことはだいたい決まっている

色々な本を読んだり、様々な情報収集してきました。

そして、たどり着いた究極の1冊から紹介します。

それは、世古詞一さんの『シリコンバレー式 最強の育て方 』です!!!


この本に書かれている7つのテーマが、1on1で話すべき全てのテーマを網羅していると言っても過言ではありません!!

そのうえで、この7つのテーマ(what)をどうやって伝えていく(how)かをかけ合わせて2軸で整理することで、1on1の型作りができると考えています。

一旦、ここまでをまとめるとこんな感じです!


1on1で話すべき7つのテーマ


いよいよ、今回の本題です。

引き続き世古さんの本から引用して、1on1ミーティングで話し合う7つのテーマを紹介しますー

画像はAmazonのHPから拝借


1つ一つのテーマについては、後半で解説していきますので、もう少々お付き合いお願いします。

その前に、なぜ、この7つのテーマを推すのかの理由をお伝えします。


7個って多くない??


おそらく、このような第一印象を持たれた方も多いかと思いますので、この7個なのかをもう少し説明しますー

毎回、7個すべてを話す必要はなく、その時々に応じて話すれば良いという点が大切。①~③「信頼関係づくりステージ」は毎回話すことが推奨されていますが、④~⑦「成長支援ステージ」は状況により実施でOKと世古さんも言われております。

実際に私が1on1する時も、①~③はサクッと終わらせて、残りの時間の中で④~⑦の中から1つだけテーマを選んで、それをじっくり話すことが多いです。

大切なのは信頼関係づくり

世古さんの本のポイントは、「信頼関係づくりステージ」である①~③を毎回必須にしている点だと理解しています。個人的には、④~⑦は別の機会でも話すはずなので、①~③だけで終わったとしても問題ないと考えています。

このシリーズで何回か触れてきましたが、成功循環モデルにおける「関係の質」の観点から、兎にも角にも「関係性」は常にアップデートする必要があります。そんな簡単に構築することはできませんし、維持するのは大変です。

7つのテーマはマネジメントにも通ずる


実は、この7つのテーマを推す理由がもう1つあります。

それは、中原淳さんの『駆け出しマネジャーの成長論』において、マネージャーが直面する挑戦課題は”7つ”だという話と関係してきます。


1on1ミーティングで話すテーマ7つとマネージャーが直面する7つの挑戦課題を並べたのが、次の図です。

全てが一致するわけではありませんが、結構一致すると思いませんか??詳しくは、また後半で触れていきます。

人材育成・組織開発の研究者である中原さんが組織づくりで失敗した!?


さらに、『駆け出しマネジャーの成長論』では、中原さん自身の失敗経験に基づき、この本を執筆するに至ったというエピソードが赤裸々に語られています。

個人的に好きな箇所なので、引用してみます。

マネージャーとしての役割が大きくなってきた当初、僕は、マネジメントを研究と同じように捉えていました。すなはち、「社会的に意義のある研究ビジョン」を掲げさえすれば、物事は自ずと良い方向に動くのだ、と勘違いをしていました。
(中略)
しかし、マネジメントにおいてはそうはいきませんでした。どんなによいビジョンがあったとしても、PDCAを発揮して、ヒト・モノ・カネを細かく管理していかなければ、部門は動きません。
今から考えればあたりまえのことなのですが、そういう地道な作業を、僕は軽視していました。ビジョンを掲げるだけでは物事は動かない。日々の細かなチェックとモニタリングも、やはり必要なことなのだ。

人材育成や組織開発を研修している中原さんでも、自らの研究チームをマネジメントし始めたころは、様々な葛藤があったことが読み取れます。

特に、”「社会的に意義のある研究ビジョン」を掲げさえすれば、物事は自ずと良い方向に動くのだと勘違い”したという箇所から得られる示唆は多いです。

もちろん、高い目標や崇高な理念を掲げることは大切ですが、それだけでは不十分です。標語として掲げるだけではなく、行動変容を促すくらいに徹底して言語化&実践のPDCAを回し続けること重要性を再認識させてくれるエピソードです。

このような背景から書かれた本書では、マネージャーが乗り越えるべき(身に着けるべき)挑戦課題が、7つ紹介されているという訳でした。

1on1型を身に着けたらマネージャーも成長できる


以上から、世古さんが提唱する「7つのテーマ」の有意性を証明できたのではないでしょうか!?

1on1の型を見つけることは、マネージャー自身の成長につながっていくと考えています。

実に、一石二鳥な取り組みでもあります。

今回のまとめ1on1の型の全体像


以上から、世古さんの「信頼関係づくりステージ」を踏まえると、1on1の型の全体像はこんな感じになります!

【徹底解説】1on1ミーティングで話すべき7つのテーマ


お待たせしましたー

中原淳さんの『駆け出しマネジャーの成長論』からエッセンスを拝借しつつ、世古詞一さんの『シリコンバレー式 最強の育て方 』より、1on1ミーティングで話し合う7つのテーマについて、私の言葉で徹底解説します!!

①プライベート相互理解


一番最初に位置づけられていることが、既に最大のメッセージだと考えています。やはり、相互理解が無ければ、他の6つのテーマで深い話をすることは出来ないはず。

中原さんがいう”(4)多様な人材活用”に通じするテーマでもあります。『駆け出しマネジャーの成長論』では、正社員以外の雇用形態の方・いわゆる「年上の部下」等の様々な方をマネジメントする重要性が説かれています。まさに、DE&Iの時代の真骨頂ではないでしょうか?

プライベート相互理解の大切さを説くと

プライベートな話を職場するのは個人情報保護の観点から良くないし、執拗に聞き出すことはハラスメントになると研修で習ったはず

という意見があることを理解しています。

そのうえで、様々な立場や解釈があるという前提で論を続ければ、一方的に聞き出すことは相互理解とは呼べないという持論があります。世古さんの言葉を借りれば「部下から”聞き出す”というスタンスではなく、”結果として話してもらえる”関係をコツコツと作っていくスタンスが重要」という訳です。

ここで大切なことは、1on1で聞いた話は2人だけの情報なので、一生墓場まで持っていく覚悟があるかどうかという点です。人事やマネージャーになったら、この覚悟を持ったうえで仕事に臨めと新卒時代に大先輩から教えてもらった金言をさりげなくご紹介させていただきます( ̄ー ̄)

■メンバーに心を開いてもうためのTIPS

少しだけ、どうっやて話すかのhowをご紹介。世界的なベストセラー『影響力の武器』でも紹介されている「返報性の法則」にヒントがあります。

返報性の法則とは、他人から何らかの恩恵を受けたら似たような形でお返したいと感じる人間にとってごくごく自然な心理です。この法則を活かして、まずはマネージャー側から、自己開示すれば言い訳です。

人は秘密の話やここだけの打ち明け話、悩み事をや失敗などの自己開示をされると、自分もオープンにしようという気分になります。相手との心理的距離を近づけたければ、恐れずに自分から”バカ話”でもしてみることをオススメしますー笑

何度も強調しても足りないくらい、プライベート相互理解は重要です!!

②心身の健康チェック


2つ目は、定例のチェック項目という感じです。ここは、勤怠情報やストレスチェックなどの定量的なデータを毎回確認するパートです。

できれば、過去や全社的な平均と比較して、目の前にいるメンバーに”変化”が無いかを確認できたら最高です。基幹システムと連携した情報可視化ツールを作成して、1on1の時には最新情報が常に自動で確認できる状態にしておくと良いでしょう。

③モチベーションアップ


世古さん曰く、モチベーションアップには2つのアプローチがあるそうです。

1.マイナス面を最小化すること
2.プラス面を最大化すること

マイナス面を最小化するためには「聴ききる」ことで、メンバーのモヤモヤを解消することを目指します。一方で、プラス面を最大化するためには「ほめる・承認する」ことが大切だそです。

モチベーションアップは非常に深いテーマでもあります。詳しくは、どうやって話すのかの「how」の型における、動機づけやメンタリングの回の時に詳細に語る予定です。

④業務・組織課題の改善


4つ目のテーマは、業務改善(ⅰ現状業務の把握、ⅱ現状業務の改善)と組織改善(ⅲ組織への貢献)について話し合うものです。メンバーの視野を広げ、中長期的に結果を出すために行われます。

中原さんがいう”(5)意思決定”に通じするテーマでもあります。意思決定とは、メンバーより少ない知識や情報を基に、リスクやメリット・デメリットを勘案して、適切に部門の意思を決定し、自ら責任を負うことです。

世古さんの本に戻りまして、何を話し合うかと言えば、下記図におけるAの領域ではなく、B領域です。

Aは緊急度が高いことから1on1が無くても話すことになりますが、Bが放置されている職場は多いはず。なぜ放置されるかの理由の1つとして、B領域は”グレー”な案件が多いからという仮説があります。

この場合の”グレー”とは、すぐに解決策が出るのではなく、様々なリスクや前提を考慮したうえで、時には他部署とも調整しなければ判断できない事案を指しています。たとえば、多くの部署を巻き込むようなプロジェクト(例:受発注システムのリプレイス)など、です。

グレーな事案を意思決定していくにあたっては、メンバーからの業務改善(ⅰ現状業務の把握、ⅱ現状業務の改善)や組織改善(ⅲ組織への貢献)に関する情報が大切になってくるはず!

メンバーと一緒に改善策を考え、時に意思決定に協力してもらうことで、最高の改善ができると考えていますー

⑤目標設定/評価


この5つ目の目標設定/評価と7つ目の戦略・方針の伝達の両方が上手なマネージャーは、確実に良いマネージャーと言われるでしょう。なぜなら、普通に話せば、目標や戦略を伝えられるという幻想があるからです。

でも、自分がマネジメントされる側だった時に、納得感の無い評価を受けたり、戦略や方針に共感できないといった経験はあるのではないでしょうか??

どうしてもマネージャーになると「正しい評価」をすることがマネジメントだと思ってしまうのですが、これは勘違いと言わせてください!評価で最も大切なことは、評価される側の納得感だと私は考えます。

そのためには、日々の1on1で、目標設定&振り返りを繰り返すことで、納得感を醸成していくことが大切です。半年に一回の評価面談だけでは、何も生まれません。日ごろから接点を多く持つことで、目標のフィードバックや承認を行うのです。いわゆる、単純接触効果(ザイオンス効果)によって、人は何度も繰り返し接触することで、好感度や評価が高まっていくという心理的傾向があります!

この永遠の課題に真っ向から立ち向かうのが、この2つのテーマとなる訳です。

目標設定/評価は、中原さんがいう”(2)目標咀嚼”に通じするテーマでもあります。目標咀嚼とは、会社が作った目標を自分のメンバーに嚙み砕いて展開し、メンバーの納得を得ること。会社の戦略を部門の仕事に落とし込み、メンバーに仕事を割り振っていことです。次で触れる(1)部下育成とも絡み合う、マネージャーとして最重要な役割です。

たとえば、全社で「前期比10%増」の目標が設定されたときに、自分が召喚する部門にどう伝えるかという話です。伝え方次第で、メンバーのモチベーションやパフォーマンスを左右することは容易に想像できると思います。

具体的な伝え方のTIPSは、例によってhowの回でお伝えしていきますので、ご期待ください!

⑥能力開発/キャリア支援


6つ目は、業務を通しての部下の気づきを促して部下個人の能力とキャリア開発をサポートすること。

中原さんがいう”(1)部下育成”に通じするテーマでもあります。部下育成とは、読んで字のごとく「マネージャーとしてメンバーを育てる」こと。

世古さんも中原さんも、「経験学習サイクル」を引用して、OFF-JTや研修だけではなく、いわゆる業務経験の中から学びを得て成長を促すために1on1を活用していくことの大切さを説かれています。

ちなみに、マネジメントや1on1の本を読むと、必ずと言っていいほどに経験学習サイクルって登場しますよね。ただ、意外と実践してみると難しいといった声を聞くこともチラホラ。いつか、経験学習サイクル単体でnoteを1本書こうと思ってます。それくらい深いテーマです!

⑦戦略・方針の伝達

最後のテーマは、⑤目標設定/評価でも触れたとおり、なかなか難しいもの。マネージャーの大きな役割は、組織の”結節点”や”リンクピン”として、経営と現場をつなぐこと。上の階層で決められた戦略や方針をタイミングよくわかりやすくメンバーに伝えて、理解浸透を図っていくこと。

中原さんがいう”(2)目標咀嚼”と”(3)政治交渉”の2つに通じするテーマでもあります。政治交渉とは、組織内にネットワークを作り出し、それを通じて自部門に資源(ヒト・モノ・カネ)を集めつつ、かつ、他部門ともうまく協調していくことを意味します。

そこで、世古さんは、伝達するだけはなく、「逆ホウレンソウ」というTIPSを紹介されています。

端的にまとめると、できるマネージャーは、会議や経営層から聞いた情報(開示OKな範囲で)を精査したうえで、メンバーにどんどん開示していきます。情報を与えられた部下は、視野が広くなり、材料を持てるので自分で考えられるようになって自ら動き出すことができるようになります。

この場合の情報とは、①決定事項・②それに至るプロセス・③上司のメッセージ・解釈の3つ。こうすることで、メンバー自身も色々なところから情報を持ってきてくれます。あの部長さん最近ゴルフ始めたとか、他部署ではこんな成功事例があるといった類の話です。まさに、「返報性の法則」ですね!

政治交渉を進めていくためには、情報が多いに越したことはありません。様々な情報があることで、キーパーソンや他部門と協働しやすくなるという訳です。

まとめと次回予告


以上から、1on1の型のうち、「何を話すのか(what)」は完了です。どうしても、「どうやって話すのか(how)」を語りたくなりますが、あくまで7つのテーマに絞って解説させていただきました。

次回は、型のベースとなる「関係の質(相互理解)」について、深堀していきます。正直、語りたいことがありすぎて、1回でまとめきれないボリュームなので、どうやってまとめようか悩んでます(笑)

noteを読んで、感想・質問・相談などありましたら、遠慮なく各SNSからご連絡いただけますと幸いです(≧▽≦)

今回も、ご精読いただき、ありがとうございました!!!

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