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「作らない、作らせない」ことがプロダクトマネージャーの最大の価値なんじゃないかという話

こんにちは、井澤です。
最近行った九份とは全く関係のない記事を書きます。
現在私はフリーランスで主にPdM(プロダクトマネージャー)として、様々な企業様に関わらせていただいております。

PdMとしては2017年よりオープンワーク(旧Vorkers)で勤めてる時代からtoBやtoC色々と経験してきましたが、結局PdMの価値ってなんなのっていうと今自分はこう思うわけです。

作らない、作らせない

モノやサービスを作るためにPdMっているんじゃないの?って思うかもしれませんが、モノやサービスを作るだけだったら誰でも頑張ればできるんじゃねと思っちゃったりしてます。究極ディレクションさえ回ればモノやサービスづくりそのものは結構いい感じ風に進むと感じています。

じゃあPdMの最大の価値ってなんやっていうと結局先程のそもそも「本当に作るの?まじで??」が言えるかどうか、考えられるかどうかっていうところにあると考えました。

そんな自分のためのメモ (ご意見大歓迎) 


井澤のPdM経歴

・オープンワークtoB事業の立ち上げ担当、toC新規機能追加
・2回起業 (マッチングアプリ、人材)
・フリーランスとして数社クライアントに対するPdM (toB、toC問わず)

toBとtoC比較的まんべんなく取り組んできたかと思います。ベンチャー企業も多かったので、特徴的なのはコミュニケーション先には9割方経営レベルの人がいたことかと思います。

ちなみにここで断っておきますが、井澤はPdMがなんぞやという研修やら指導を一回も受けてきたことがありません。徹底的に我流です。なので実はPdMとか名乗っておいてPdMらしからぬ動きをしてるのかもしれません。そのあたりご容赦(と優しいご指摘)いただけますと幸いです。

ちなみに私の経歴はWebエンジニアから始まっています。作るの、実は大好きです。でも、そんな自分に対する自戒も含めて、、、

作らない、作らせないがPdMの最大の役割

さて、冒頭でも触れましたが、PdMの最大の役割はモノやサービスを無駄に作らない、作らせないことだと思うんです。言い換えると作ることを徹底的に嫌がることが目的なのかなぁと。

どうしてこんな風に思うかって言うと結局PdMってプロダクトに責任をもつわけです。そもそもこのプロダクトという意味ですが、私はモノ、サービスというより、かなり広義の意味で捉えるようにしています(以降こちらの意味で記載していきます)。

プロダクト = 事業全体を動かすための仕組み

このように考えると、Web、ネイティブアプリ、ロボット、無形サービス、業務フロー、全てがプロダクトとして捉えられます。そして、そこに対して企業ビジョンを達成するための戦略を経営目線で描き、戦術に落とし込み、最小で必須の要件を整理していくのがPdMとしての仕事だと思います。

ここで大事なのがやりたいことが達成されれば手段はなんでもいいわけですよね。ここが肝です。なんでもよければラクをしたくないですか?要件さえ満たせれば実現の形なんてなんでも良いと思いません?

私は戦略に合致するなら、なんでもいいから早く実現して、早く世の中に出そうよって思っちゃう派です。Webサイトなんて作らずGoogleフォームでいいじゃないですか。かっこいいデザインを外注なんてしないで、既存のフリーのツール使っちゃいましょう。自前で作るとしても、Betterなアイデアは全部捨てて、Mustだけやりましょ。無駄に作り込む必要なんてないんです。

ちなみに戦略と戦術が見えてない中、要件を意味もなく定義してプロダクトづくりを進めるのは論外です。プロダクトづくりを行う目的自体が明確になっていない場合、それをどんな形でも「作らない、作らせない」のももちろんPdMの仕事です。

今回は戦略と戦術は明確な上で、それでも「作らない、作らせない」スタンスを前提に取るべき理由を経験談と共に3つあげてみたいと思います。

①そもそも正解がないので、作り込みすぎると柔軟性がなくなる

特にプロダクトの初期フェーズにおいて、今実現しようとしている世界観がうまくビジネスとして成功するかなんてわかりません。そのため、「これでいける」と思ってもさっぱり利用者には刺さらなかったり、逆に全然違う部分が刺さったりすることもあります。その時に舵を切り直したくても、プロダクトがごりごりに作り込まれすぎていたら、その舵の切り直しだけでも一大プロジェクトになってしまいます。実際かつて井澤が起業した時に、仮説に仮説を重ねて、検証もせずに最初から徹底的に設計して作る流れになってしまったことがあります(私は反対していたのですが当時力及ばず…)。結果として誰も使わない機能が搭載された、メンテナンスも大変なプロダクトが生まれました。

プロダクトはシンプルかつ運用も含めて軽くするに越したことはありません。必勝パターンが見つかってから作り込み始めるべきです。

②作ることに夢中になりすぎて、好機を逃す

プロダクト作りはとても楽しいです。そのため、作ることが目的になってしまい、ズルズルと世の中に出すのが送れてしまうことがあります。結果としてせっかくいけてるプロダクト、ビジネスモデルだったのに、出すタイミングを間違えてしまうことがあります。世の中の時流、競合他社の動き、これらを加味するとイケる!と思った時にいかに早く出すかがとても大事な要素になります。実際かつて井澤が起業した時には全く新しい形のマッチングアプリを考え開発に着手したのですが、ネイティブのハイブリッドアプリでやってみよう等余計なことを考えたため、結果としてリリースまで2年半かかりました。事前登録LPで初期ユーザの候補は多く見つけていたにも関わらず、活用はうまくできませんでした。リリース時には競合も出始めており、ただの趣味起業で終わってしまいました。

プロダクトは時流を逃してはいけません。最短最速で実現し、サッと世の中に出すべきです。

③単純に作るのにはお金と時間がかかる

これが実際ビジネスに関わるPdMとしては一番大事かもしれません。プロダクトを作るのには大量のリソースがかかり、サーバ代や構築やメンテナンスなども考慮すると、お金と時間が大きく消費されてることを強く意識する必要があります。お金や時間が余っている事業なら良いかもしれません(いや良くない)が、あえて作らなくても良いものまで作って、無駄金を流し続けることは事業にとってリスクでしかありません。実際かつて井澤が相談を受けたクライアントは一つのプロダクトをすべて自前で作ろうとしており、初期の段階で数百万円を溶かそうとしていました。早めに相談いただけていたので、代替案を提案し、最終的なコストを0円、即日開始可能な状態にまでしました(※)。あのまま進んでいた場合早い段階で資金がショートし、大きな時間も失っていたでしょう。
※クライアントは大変満足して、私の仕事はなくなり、失注しました笑

プロダクトをローコスト&スピーディに実現して悪いことは何もありません。いかにリーズナブルに実現できるか考え続けるべきです。

作りたがる人ってどんな人?

ここまでで、プロダクトの本質的な価値を見失い、目指している世界の実現の「手段」にこだわってしまうと、①事業作りにおいて柔軟性を損ね、②機会を逃し、③お金もなくなる、という話をしてきました。

それでは、うっかり「手段」に目がいってしまい、作りたい!と言ってしまうはどのような方が多いでしょうか?以下は私の所感ですが、こんな方が多い印象を持っています。

  1. 顧客の声が近い方 (営業、CSの方など)

  2. 完璧主義者な方 (コンサル、士業の方など)

  3. モノづくりを自分の手でしたことがない方 (大多数の方)

こちらはあくまで私井澤主観における傾向だと捉えてください。もちろんそれぞれの方々にはそれぞれの方々の強みと役割があり、事業全体として非常に重要で欠かせないポジションを担ってくださっています。
故に例えば目の前の顧客の声を大切にしすぎて、「○○が必要だ。作りたい」のようになってしまうことが多々あるのです。
また、普段高い質のものを見続けているせいで要件とは関係なく、「ださい」「カッコ悪い」「恥ずかしい」など主観に寄った発言をしてしまうこともあります。
そして、自分で実際にデザインやプログラミングをしたことがない方は、モノづくりのボリューム感など肌感としては捉えられないでしょう。

こんな時に「本当に作るの?まじで??」を強く問いかけられ、必要のないものは「作らない、作らせない」PdMの存在が必要であり、PdMは相手がクライアントでも、上司でも、経営でも、忖度無しで毅然とした態度でコミュニケーションを取らなければいけません。

まとめ

ここまで「作らない、作らせない」がPdMの役割であると触れてきました。もちろん単純にダメダメ言い続けるのがPdMの仕事ではありません。

実現したいプロダクトを最短、最速、最軽量、ローコストで実現する方法を模索し、提案できるのがPdMです。

自分ができてるかと言われたら、まだまだできていません。たくさんの失敗を重ね、この自戒とも言えるメモを作成しています。

これからも「本当に作るの?まじで??」は自分にも他人にも常に問いかけ続け、プロダクトづくりを続けていきたいと思います。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

※ 補足として、、、
かつてのiPhoneのような作りたいものを作る!というプロダクトアウトなビジネスであれば、徹底的に作りたいように作りましょう。上記はマーケットインを主に前提にしていると思っていただけますと幸いです。また、決して後戻りできないようなプロダクト、仕組みであれば徹底的に練りきることも必要です。

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