フィルム写真のお金の話
写真用フィルムの価格高騰のおかげで、年がら年中エドヴァルド・ムンクの「叫び」状態になっている方もいるかと思います。
本当に高くなって涙目ですが、実際にどのくらいかかって、どうすれば続けていけるのか?どのような道があるのか?少し考えてみたいと思います。
フィルムで写真を撮り始めてみたいという方や、フィルム写真続けていくの苦しいって思っている方の参考になったら幸いです。
フィルム本体の価格
2023年3月末現在、カラーは大体このくらいですね。
FUJICOLOR100 135-36枚撮り 1,300円
モノクロフィルムは少し安くてこのくらいからあります。
ORIENTAL ニューシーガル100 135-36枚撮り 825円
もちろん、もっと高いフィルムもあります。Kodak Portraなんかは1本2,500円とか平気で超えてくるので、なかなか手が出ないですね。
逆にもっと安く仕入れることや使用期限切れのフィルムなんかも選択肢にはありますが、結局ずっと手に入れられる保証もないので、普通の流通で手に入れられる手段で考えたいと思います。
全国どこに住んでいても、今はネット通販でも安心して手に入れることができるのでどこで買えばいいんだろうか?って人はご覧ください。
フィルム本体以外の価格
カメラ
ぶっちゃけピンキリです。どんな写真が撮りたいかによります。
無理して高いやつ買う必要もないと思います。
好きな機材使えばいいです。カッコつけたり、見栄を張る必要まったく無いです。僕はほぼ貰い物のカメラ使っています。それでも十分に作品作りできています。
現像代
600〜1,000円くらいが相場ですね。
モノクロはほとんど外注になるようで、少し割高になっているところが多いです。
データ化・プリント代
データ化はフィルム1本あたり600円程度のようです。
プリント代は値段がまちまちですので割愛しますが、全コマとりあえずL版でプリントするより、お気に入りの数枚をちゃんとしたプリントで出力した方が楽しいと僕は思います。
いくらかかる?費用を抑えるには?
実際にはいくらかかるのだろうか?簡単に試算してみたいと思います。
試算してみた①
persona:写真始めたいA君、1年後に展示する
PENTAX SPF 8,000円
スーパータクマー 11,000円
フィルムは月に2本くらい使用(1,100×2本×12ヶ月)26,400円
フィルム現像+データ化(1,300×2本×12ヶ月)31,200円
1年後、グループ展に出展 51,500円
プリント代(写真屋1,000×4枚)4,000円
額装代(額屋さん3,300×4枚)13,200円
出展料(水〜日曜) 30,000円
始めてのカメラとレンズで19,000円
月に2本ずつ撮ってデータ化すると57,600円
グループ展に出展すると 51,500円
トータル128,100円
これはかなり最低限の試算ですが、どうでしょうか?
意外とそこまで高くはないと思いませんか?
36枚撮りフィルムだと月に2本で72枚、年間864枚程度ですね。週1日撮り歩く日があるとして、1回17コマくらい撮る計算ですかね。
始めたてだということを加味して、テーマを絞ったグループ展に4枚セレクトして出展は妥当なラインかと思います。
試算してみた②
persona:昔写真学生だったB子、久しぶりに暗室でモノクロ焼きたい
元からカメラは持っている
フィルムは月に4本程度(1,100×4本×12ヶ月)52,800円
フィルム現像のみ(1,000×4本×12ヶ月)48,000円
レンタル暗室利用料(4時間4,000×6回)24,000円
モノクロ印画紙(六切25枚5,570×4セット)22,280円
フィルムとフィルム 現像で100,800円
暗室の利用料と印画紙代で46,280円
機材と展示費用無しでトータル147,080円でした。
36枚撮りフィルムだと月に4本で144枚、年間1,728枚程度ですね。
モノクロフィルムの現像代が割高だと加味してこんなものですね。
費用を抑えるには?
さて、どうすればそれぞれ、費用が抑えられるか考えていきましょう。
①については、あまり削るところが思いつかなかったのですが、強いていえばデータ化の部分を自分でやれば、1本あたりの支出が減らせます。
ちゃんとしたフィルムスキャナーまで買わなくても、確認レベルのものであれば意外と安いので自分でスキャンしてみてもいいかと。最近は、スマートフォンのアプリでも確認したり、SNS投稿したりできるようなものもあるみたいです。
もちろん、スキャンはラボの人が時間をかけてやってくれるので、自分でやるより品質は保証されている場合もあるので、使い分けかと思います。
②については、キャラ設定に無理がありましたが、フィルム現像を自分でやればいいのでは?と思われた方もいるかもしれません。モノクロフィルムの現像は自宅でもできます。道具は必要になりますが、現像タンクとダークバック以外は割と他のもので代用も可能です。
ちなみにカラーフィルムの現像も自宅でできなくは無いですが、品質という点ではお店やラボに出した方がよい場合がありますので、わざわざ自前でやるのはオススメしません。
フィルム現像(モノクロ)のススメ
フィルム現像って難しくないですか?いえいえ、そんなことはありません。どのくらいの難しさかというと、料理でレシピどおりに調味料を測って、手順どおりに進めることができるレベルでいいんです。
ちなみにフィルム現像次第で、写真の出来が全然変わるのがモノクロ写真の面白いところです。興味あれば過去記事をご覧ください。
1本あたりのお金
1本あたりの現像代を試算してみました。
条件については、以下です。
35mmフィルム
1回450mlの現像タンクで2本同時に現像
薬品を使いまわさない前提
以下で紹介する薬液・フィルムで現像
薬品代のみの試算ですが、1本あたり約209円で現像できました。
水道代を加味しても安上がりじゃないでしょうか?
(安さを目指してセレクトしていないので、もしかしたらもっと安くできるかもしれないけど、それは本筋から外れるので割愛)
試算②だと、ざっくり38,000円くらい費用が浮きます。浮いた分はpaper代にすぐ無くなりそうですが…。
使用している薬液・フィルム
現像液 Spur Acurol N 250ml 3,820円
希釈1+70
停止液 Spur Stop Bath 500ml 2,150円
希釈1+19
定着液 Spur Ultrafix A 1000ml 2,890円
希釈1+5
Rollei Ortho 25 Plus 1,350円
採用理由は、微粒子な点と、カールしにくくスキャンがしやすい点です。基本的に感度100で撮っています。
ちなみに僕の場合のモノクロだけの費用でいうと、
35mmフィルム(1,350円×18本)24,300円
フィルム現像(209円×18本)3,762円
フィルムスキャン 0円
エアダスター(582円×2本)1,164円
ネガシート (20円×18枚)360円
年18本撮るとして、トータル29,586円になります。
これにカラーの費用とプリント代など諸々加わりますが、モノクロのみならお金かかってないですね笑
ハーフカメラのススメ
僕のことをよくご存知の方には、またかと呆れられるかもしれませんが、同じフィルムで2倍撮れる!!まさに今の時代にうってつけのカメラがあるんです。
詳しくは、過去記事をご覧ください。
どういうカメラ?
35mmフィルムは24×36mmのフォーマットで像を写しますが、それを縦に半分にしたフォーマットのカメラのことです。
ファインダーが一部の機種を除き、縦長です。
つまり、36枚撮りなら72枚以上撮れる、2倍撮れるのでお得なんです。
もちろん画質としては半分になるので少し粗くなります。
ただ、フィルム現像でススメましたフィルムと現像液でしたら、超微粒子なのでそこそこ大きくプリントしても気にならないと思います。
また、ハーフカメラは小さいサイズのものも多いので、ポケットに入れて手軽に持ち運べるので、日常の写真にちょうどいいのではないかと思っています。
まとめ
特にまとまりのない記事できたので、まとめるもクソもないですが、
1ヶ月2本撮って、フィルム現像・データ化でだいたい年間57,600円程度
フィルム(単価1,100円)26,400円
お店でフィルム現像+データ化(単価1,300)31,200円
データ化・フィルムスキャンは確認レベルなら自分でやろう
フィルム現像(モノクロ)だと、1本あたり約209円
ハーフカメラだと、2倍撮れるのでよいぞ
最後に、どうすれば続けていけるのか?どのような道があるのか?について考えてみたんですが、
たぶん価格は微増していくんだと思うけど、フィルムが廃盤になってもこれまでも別のメーカーから出ているものもあるので、なんやかんやで無くなるまでは細々と続いていくんじゃないだろうか。
また、名古屋の.LAB RAINROOTSのPBフィルムみたいなproductがある限りは続いていきたいと思います。
いばら道かもしれないし、けもの道かもしれないけど、(マウントを取ることに全力を傾ける老害には谷に落ちてほしいが…)入り口くらいはわかるレベルで残ってて欲しい。
個人的には、金持ちにしか手が出せない特別なものになってほしくないし、いろんな向き合い方ができるものであって欲しいと思います。
願うなら、全てのフィルムユーザーにとって、よい形で色んな手段が残っていくことを願うばかりです。
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