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モノクロはフィルム現像が100パーセント

今回は、モノクロのフィルム写真で重要なのは、フィルム現像ですということをお伝えします。えっ!?暗室での印画紙へのプリント技術が重要って教えてもらったけど?って他人もいると思いますが違います。
フィルム現像で100パーセント決まります。もしご興味あれば、お付き合いください。

何でモノクロフィルムで撮るのか?

フィルム関連製品の値上げが凄まじい今日この頃ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
僕はこの前まで、使っているフィルムが供給不足で手に入らずイライラしておりました。

さて、始めに、このご時世にモノクロフィルムで写真を撮っている(撮りたいと思っている)人はいったい何を求めているのか?ということを考えていきたいと思います。
結論からいうと“モノクロフィルムだからこそ撮れる写真”を求めているのではないでしょうか。これはどういったことを指すのでしょうか?

おそらく極端に単純化すれば、シャープな描写美しいトーンが描き出された写真が理想とするイメージだと思うんです。
まぁ、モノクロ写真エモいみたいな方もいるかもしれませんが、ダサいよりもカッコいいモノクロ写真が撮りたいって意味では同じだと思います。

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だけど、これが思ったようにうまくいかないんですよね。先人のいうとおりに制作を進めたはずなのに、なんだか思ったようなカッコいい作品ができない(暗室でのプリント作業が大変など)と感じる事もあるかと思います。
ただこの場合、先人のいうとおりに進めたことが原因である可能性が高いです(大変優秀な先人の方はすみません)。
よく暗室で印画紙へのプリント技術が”最も”重要だと力説する方が多いですが、今回の記事では、それは違うということを書きたいと思います。

モノクロフィルムの極意=フィルム現像(≠プリント技術)

“モノクロフィルムだからこそ撮れる写真”を作りたい場合、どのようにすればいいのか?
さきほど印画紙へのプリント技術が“最も”重要だということを否定しましたが、では何が”最も”重要なのか?

タイトルにもありますが、フィルム現像が”最も”重要です。
モノクロのフィルム現像は画の印象を決める重要なプロセスであり、カッコいいモノクロ写真を作るために必須です。

理由としては、モノクロフィルムにおいてはフィルムそのものの特性だけでなく、フィルム現像(現像液との組み合わせや現像の方法)で全てが決まります。よくフィルムの風合いや粒状感が好きなんだというようなことをおっしゃる方がいますが、それが決定するのがこのプロセスといっても過言ではありません。

大切なことなので再度申し上げますが全てがフィルム現像で決まります。
シャープな描写や美しいトーンなどもこれで決まります。
ちなみに感度もフィルム現像で決まります。フィルムのパッケージに記載されている感度は、あくまでも目安のようなもので、現像液とその処方によって変わります。
だから撮影時には、どの現像液でどういった現像をするかを考えておかないと思ったような濃度にならないことがあります。

では、暗室でのプリント作業は一体何なのか?
フィルム現像で出来上がったイメージをよりカッコよく見えるように微調整する作業に過ぎません。

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フィルム現像はどうすればいいのか?

では、そんなに重要なのであれば「ちゃんとお店に出さないと」となってしまう方もいらっしゃると思いますが、結論からいうとモノクロフィルムは自分でフィルム現像することをおすすめします。

お店に出すのが悪いとは決して思いませんが、せっかくモノクロフィルムで撮っているのにもったいないと(余計なお世話かもしれませんが)。
フィルムとフィルム現像液との組み合わせでかなり表現が変わります。これを選べると選べないでは大きく違います。
お店では、汎用的な仕上がりを提供してくれるでしょうが、それは、“モノクロフィルムだからこそ撮れる写真”でしょうか?違いますよね?

モノクロのフィルム現像は手順さえ守れば、よい結果を得られます。
それにそこまで難しくはありません。
たぶん、料理でいうとハヤシライスのパッケージに書かれているとおりに食材(牛肉、玉ねぎ、水、油)を用意して、切ったり、炒めたり、煮たり、できる方なら同じくらいの労力でできます。

フィルム現像の段階では、暗室は不要です。水道があって、フィルムを乾すスペースがあれば十分できます。

気になった方は、一度以下を見ていただくとよりイメージが鮮明になると思います。


いろいろあるよ、フィルム現像液

モノクロフィルムはフィルム現像で全てが決まることをお伝えしましたが、「現像液とフィルムの組み合わせ」と「現像の方法」によって概ね決まります。

現像液って、D76とかスーパープロドールとかだよね?って方もおられると思いますが、せっかく自分でフィルム現像するのであれば、自分の好みにあった現像液を選んでみてはいかがでしょうか?

僕自身、学生のときは団体でまとめて買ったやつを使ったり、増感現像ができるものを試したりと試行錯誤してきましたが、自分のイメージに合う現像液と出会い、“モノクロフィルムだからこそ撮れる写真”に近づけることができました。現像液が違うだけで、はっきりいって別のものくらい変わりました。
暗室でのプリント作業やスキャン後のレタッチでどうにかしようとする苦労がほとんどなくなりました。

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苦労していたときのプリント

めっちゃシャープなのも、めっちゃ微粒子なのも、めっちゃ優秀なのもいろいろあります。気になったら、以下をご覧ください。

フィルム現像時の注意点

現像の方法について、注意すべきポイントを記載します。

まず、データシートを必ず見ましょう。フィルム現像したことがある方からすれば当たり前ですが、めっちゃ重要です。
見ずにやるのは冷凍食品のジャストなあたため時間を知らずに、チンするのと同じです。熱すぎたり、芯が冷たくなったりします。

ILFORDのPLUSシリーズのデータシート

また、現像時間以外にも攪拌の方法についても書いてあったりします。色んな書き方がありますが、たとえば「30/60/2」と表記あった場合は、「初期攪拌で30秒、その後60秒ごとに2回攪拌し、現像時間が終了するまで繰り返す」という意味です。

次に、攪拌と同じくらい静止させるのが重要。これも当たり前ですが、結構静止させずに動かしている人がいます。
現像ムラが気になる気持ちはわかりますが、静止と攪拌のバランスで美しいトーンが生まれます。

まとめ

モノクロフィルム写真はフィルム現像が100パーセントです。

印画紙へのプリント技術より、フィルム現像(現像液との組み合わせや現像の方法)が重要です。

モノクロフィルムだからこそ撮れる写真(=シャープな描写や美しいトーンが描き出された写真)を作るためには、自分のイメージに合ったフィルム現像液で、自分でフィルム現像することが近道。
モノクロのフィルム現像は手順さえ守れば、よい結果を得られます。

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お付き合いいただきありがとうございました。


追記:最近の僕は

最近の僕は以下の処方で現像することがほとんどになりました。
スキャンしやすい設計のフィルムになっていますのでスキャン時にカールが酷いなどのストレスもなく、仕上がりもとてもよいです。

Developing:Spur Acurol N(1+70) 30/120/2 (15分)
Film:Rollei Ortho 25 plus 135
Lens:Industar-50-2 50mm F3.5

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