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こっち側、そっち側、そしてあっち側

よく、カウンセラー業やコーチ業、コンサルティング業において「どういう風にアドバイスすればよいか」指南するものがあります。

・お客さまの立場(相手側)になって考えること
・答えを教えず相手から引き出すようにすること
・解決策を一緒になって考えること

たしかに一理ありますが、
だいたいどれも似たり寄ったりのアドバイスといえます。

私たちもクライアントと同じトンネルをたどってきたので、行き詰まったり壁にぶち当たったりする状況はおおよそのところ見当が付きます。

ただその一方で、お客さんに同調し、共鳴するだけではちょっともの足りない感は付きもの。一緒になって悩み、共感して救われる気持ちになってもらえても、それ以上問題が解決に向かって進むことは難しいからです。

そこできょうは、「こっち側」「そっち側」「あっち側」という3視点から眺める方法を紹介しましょう。

こっち側のアドバイス

一般人を含め、私たちがよくやるアドバイスがこれです。相手の状況や状態をあまり考えずに「こうしたらいいやん」「ああしたらいいんじゃない」と一方的にアドバイスします。

アドバイスする本人はよかれと思ってやっています。言われるほうも話を聴いてもらえて気が紛れるという意味ではいいでしょう。

たとえばこんな感じです。

A 「忙し過ぎて休めないんだ~(嘆)」
B 「休んだらいいじゃない。自分にご褒美よ」

A 「まぁそれはそうなんだけど・・・・・・」

このアドバイスはあくまでこっちの目線で言っているだけなので、本人の悩みの本質はわかりません。

相手も聴いてもらえた感がないため、すっきりしないですし、まずもって問題は解決しません。

そっち側のアドバイス

では相手の側に少し立ってみましょうか。

A 「忙し過ぎて休めないんだ~(嘆)」
B 「え? どういうこと?」

A 「仕事が立て込んでてね」
B 「どんな風に立て込んでるの?」

A 「プロジェクトリーダーを任されているんだけど、責任感と負担感がはんぱなくてね」
B 「具体的にはどういうこと」

A 「1週間のスケジューリングと報告・成果を求められるのがちょっときついの。どうしたらいいのかなと思って・・・・・・」
B 「向こうが気にしているのはどういうことなのかな」

・・・・・・とこんな風に相手の立場に立って聴いてあげると、一緒に岩の頂きに登ってだんだんと視界が晴れていく感がしてきますね。

だいたいにおいてコーチングとかではこういう感じで1週間、2週間と続けて行きながらよりよい「解」を導き出していきます。

しかし私たちはこういうことはしていません。

こういった通り一辺倒のアドバイスではおよそ想像できるレベルに留まると考えるからです。

あっち側からのアドバイス

私たちがやるのは、もっと高い次元からのアドバイス。バードビュー(神視点)とでもいいましょうか。クライアントもアドバイザーもおよそ想定していない次元からピンポイントでアドバイスするのです。

では、どうアドバイスをしているか、具体的に見て行きましょう。

・恋愛&結婚
「彼女から返事が来なくなりました。この間までいい感じでやり取りできていたのに、です。もう気持ちが冷めたのでしょうか」

ひろ「んー、たぶん違いますね。彼女は金融関係の仕事でしたね。直前までいい感じでやり取りできていたのなら、それは仕事上の問題だと思います。3月決算なので4月に入って送り直したら返事がくると思いますよ」

れいこ「彼女のタイプは繊細な感じです。感受性が強い。だからあなたといい感じにやり取りできているときは自分を作れている。けれどもいまは仕事のストレスでそんな余裕がない感じです。だからあなたが思っているような『気持ちが冷めた』ということではないです」

【解説】
私(ひろ)のアドバイスは恋愛とか結婚とかの範疇外を含めて俯瞰(ふかん)します。ここでは彼女の職種から想定できることを考えました。3月だから出す余裕がないのだと踏んだのです。

本人は自分の魅力が無いと思われたのではないか、彼女の気持ちが冷めたのではないかといった点しか頭にないのがふつう。でも実際にはそれ以外の理由でが多いんです。そこになかなか気づかない。

一方れいこは直感的に「こうではないか」と見立てをする。話を聴いてそれまでのいい感じのやりとりから考えてそんなに急に冷めるはずがない。それにどちらかというとその彼女は清楚系で感受性が強いタイプだと感じられた。だから一時的に余裕がなくなっているだけとわかったのです。

私たちはまったく違う観点から見立てをするのですが、双方を擦り合わせながら最適な「解」を導き出していきます。そしてさらにここからだ面白い点なのですが、仮に現実がまだそういう状況にはなっていなくても、私たちがそういうと、そういう風に物事が流れ出したりするんです。

これは、そういう風にものごとを観る力が付き、そういう観点でものごとをとらえるようになるから。現実にはまだそうはなっていなくても、その人が発しているメッセージが望む現実をこちら側に呼び込んでいくのです。

                      ・・・・・・⇒★望む現実
〇-------------▲------------■
これまで          いま         一般の解決策

別のものの観方で説明するとこうです。

×          ★         ■
↑ 一般の人はここ    ↑ 私たちはここ  ↑ 一般のアドバイザーはここ

一般に人は悪いことばかり起きるというとき、×ばかり観ています。それしか目に入りません。また一般のアドバイザーは■も観たらどうよと励まします。ポジティブな視点でとらえ、フィードバックしようとします。

それはそれでひとつの解決策ですが、私たちは「えっ」「おっ」と突拍子もないことも含めて言います。けれどもていねいに解説していくのでだんだんと「そうかもしれない」と本人もその気になっていく(笑)。だから実際にそういう奇跡といえることが起きても「なるほど! そういうことだったのか!」と腑に落ちるんです。

もしあなたがいまひとつアドバイスが効かない、ピンとくるアドバイスがもらえないと思うのなら、少し問題の渦中から離れてみてください。問題そのものではなく、外側の要因にも目を向けてみてください。そうすれば、思わぬ「解」が得られるかもしれませんよ。

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