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趣味か、営業妨害か

「うちでは、タロットは止めてください。」

左斜め後ろから、突然聞こえた男性店員の声。
それは、私に言った言葉だった。

突然の出来事に慌てつつ、「商売じゃなくて、趣味でやってるんですけど、だめですか?」と確認してみたけれど、男性店員は「商売か趣味か、見ただけでは分からないですから。」と不快そうな表情で返答し、その場を立ち去った。

不快そうな表情に見えたのは、私の被害妄想かもしれないけれど。

お店の雰囲気に合わないということなのだろうか。大きな声は出していなかったし、タロットもまだ引く前だった。それでも、ほかのお客さんのご迷惑になっていたのかもしれない。

タロットをしてはいけない理由は、説明されなかったから、調べてみる。その喫茶店のホームページに、禁止事項は明記されていなかった。常識の範疇として、店内での営業行為は、マナー違反なんだろう。

趣味で、友達と、タロット。
それは、ただのおしゃべり。

それは、私の勝手な言い分なのだろうか。

「くつろぎの空間で、至福のひとときを。」
それが、その喫茶店の提供しているサービス。

もし、丁寧なサービスを売りにしている喫茶店なのであれば、「すみません」等と前置きをしてから、「タロットは控えて欲しい」旨を伝えてくれたらよかったのに。

商売か趣味か、確かに分からない。他のお客様に不快な思いをさせる行為かもしれない。でも、商売か趣味か分からないからこそ、一呼吸おいてから、声をかけて欲しかった。唐突なその男性店員の言葉と態度は、私を驚かせたし、不快にさせた。私も、一応、客だったんだけどな。営業行為だったら、私に非があるけれど、ただ、おしゃべりしていただけなのにな。あの時点で、私は営業妨害をしていたのだろうか。

これまで、いろいろな場所で、無料でタロットをしてきたことを思い出す。営業行為でなくても、それらは私の身勝手な行動だったのかもしれない。誰かを元気づけたり、思考を整理する手伝いをして、ただただ楽しい活動のつもりだったけれど、軽率な行為だったのだろうか。誰も注意しなかっただけで、違法行為だったのだろうか。

飲食店での違法行為について調べてみたけれど、素人の私には、趣味のタロットが違法行為である根拠となる具体的な法律などは見つけられなかった。

喫茶店や飲食店での迷惑行為として出てきたものは、
・セミナー勉強会等を目的とした店内の利用
・勧誘及び販売等の行為
・商品を注文せず、席を利用する行為
・少人数で多数の席を利用する行為 など。

私は、どれに当てはまるのだろう。

なにより、悲しかったのは、あの男性店員の表情と態度だった。タロットをしているだけで、不快感や嫌悪感を露わにされることは、ある。その人たちの、なにかを刺激するのだろう。

私の行為だけでなく、私自身を否定された気分になるから、私も嫌な気分になる。だけど、それは相手の感覚であって、私の感覚ではない。そのことを思い出し、相手の不快感に巻き込まれないように、自分の感覚を取り戻す。

タロットは、その場ですぐに片づけた。だけど、私は営業行為も営業妨害もしていない。友達にタロットを1枚だけ引いてもらい、そのタロットカードだけをテーブルに残して、友達とおしゃべりを続ける。

私と友達のくつろぎの空間は、私たちで取り戻す。

タロットが、たとえ趣味であっても、営業妨害行為となる可能性もあるという現実を教えてもらえたという意味では、とても価値ある体験だった。今後、行動には気を付けなければいけない。自戒を込めて。

タロットがダメなら、きっとトランプもダメなんだろうな。カードゲームも営業妨害行為なのかな(愚痴)。

そして、大切なことを、再確認。
友達と一緒なら、いつだって至福のひとときだ。

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