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私のトラウマ2
交通事故を起こした日の夜。
自宅に戻り、夜になった。
こんなにたくさんの人に迷惑をかけた私は、
死んだ方がいいと思った。
トラウマ反応のひとつ。
希死念慮だ。
心は変に静かで、死のう。そう思った。
なんでその日、そこで死なずに済んだかと言えば、誰も私を責めなかったからだと思う。交通事故を起こした私を、両親も友だちも歩行者の方もトラック運転手さんもそのお姉さんも。
あの日、誰かに何か責められていたら、どうしていただろうか。それは、いまになっては、誰もわからないこと。
本当に人に恵まれていたとしか言えない。
ありがとうございます。
誰にも責められなかったからこそ、ここで、もし、死んだら、さらに迷惑をかけることになると思って、死ぬのを思いとどまった。
その日の夜は、トントントントンという音を聞いた。誰かが家を叩いているような音だった。大工さんが、家を直しているかのような音だった。深夜にそんな作業をするはずがないけれど、そんな音を聞いた。
この音の正体は、ずっと分からなかったんだけど、ある時、それは幻聴だったと知る。国家資格として公認心理師資格が整備されて、その受験資格を得るための講習で、精神科医がその話をしてくれた。
あ、あれか。
あれは、幻聴だったんだ。
現象に名前がつく。
わけのわからない体験に、名前がつく。
それは、安心につながる。
なんだかわからないままだと、捉えきれない。
その出来事がまた起こるのか、起こらないのか。なんで起きたのか。分からないことは、コントロールできない。それは、どこか不安だ。
私は、知識に助けられた。
交通事故を起こす前に、トラウマについて、大学で学んでいた。それが、とても助けになった。
トラウマというものが、あるらしい。
それだけの知識でも、助けになった。
交通事故後、私に起こったトラウマ反応。
それに驚いたり、辛い思いをしても、「これは、トラウマ反応であり、安心で安全な暮らしをすることで、次第に治まる。」と知っていることで、そのトラウマ反応に振り回され過ぎずに済んだ。
つづく
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