『深海』2019.10.06


限りなく深い世界の底に沈んでしまった時, 夜の夢を見る。(ヒーターを入れた水槽。)ぱちぱちと小さな音を立てながら身体の欠片を分離し, 煌めきを零して (寒い国で花火を見ました。) 水底に溶け合っていく。
ヒレに安全ピンで穴を開けて, 離れないようにと繋ぐ. 未来と過去と自分。この水の感触が嘘であっても. (深海魚の群れを見ました。) あの大きな流れが, 煌めき壊れ続けて. (.,.溶け合う_,. ) 記憶、幻覚。
煌めいて壊れてゆく. 煌めき. ひれ, 尾の長い魚の群れが夜に溶け合って, 泳ぐ. 蛍光色の看板, (雨を眺めて待っていました。) 冷凍のコロッケ。
雨の止まない純喫茶の前を通る( 夜。) 駅前の傘. ほとんど見えない裏通, 閉口する蛍光灯, コンビニのおにぎり。( チケット。) トランクケースを引きずる家出少女のヒール。( 潜る. 潜る. ) タバコの煙が雨で地面に落ちた。
水槽, 泳ぎ踊る尾の端から, 燃えていく海水へ祈る。(二本腕で存在の証明をしました。) 薄い板の, 反射する後悔に. 溶け落ちる夢が沈む。(塩酸。) ビーカーの中で崩れ続ける角砂糖を構成する粒. ( ネオンを当てました。) 頭が痛むのはコーヒーの飲み過ぎ。
遠い大きな群れ. 煌めきへ辿り着こうとする, 逃げるように微笑みを浮かべ, 底は更に沈む, (しあわせ。) 壊れてしまう, 巨大な魚の群れが, 暗い場所から抜け出す日. (白濁した目をみました。) 足をついた底で、微笑む, (撮影する人魚をみました。) 泡, 気泡。
網にかかる身体, 「ありがとう」と。煌めきを零しながら崩れ, 壊れてゆく( 溶け合う。) 水底は見えない。




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