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ベーシック流リモートワークに欠かせなかった「コミュニケーションの設計」と「未来型オフィス」の在り方

みなさんこんにちは。株式会社ベーシックでCHRO(最高人事責任者)を務める林(@hiromasa_h)です。

今回、株式会社ベーシックでも新型コロナウイルスに対する社内外への感染抑止と従業員の安全確保のため、2020年2月21日より全従業員を対象とした在宅での勤務の推奨、社内外を対象としたオンライン会議の実施を促進する運びとなりました

現在の日本を取り巻くコロナウイルスへの対応としては、国としても2月末から2週間の対策が今後の感染拡大を左右する見解、これまでリモートワークに踏み切れていなかった大企業も、なし崩し的に在宅での勤務を推奨する発表が相次ぎました。

国の専門家会議でコロナウイルス対策として「「今後1~2週間が瀬戸際」との見解発表
・電通や資生堂などがこぞってリモートワークを解禁、出社禁止
安倍首相が全国の小中高 臨時休校要請へ(来月2日~春休みまで)

なお、私自身としても、株式会社リクルートホールディングスでの勤務時代、2015年に広報ブランド推進室室長兼「働き方変革プロジェクト」プロジェクトリーダーに就任し、2016年からは働き方変革推進室室長を勤めてきました。

今回のnoteでは、リクルート時代に推進してきたリモートワークをベーシックという社員数100人規模のベンチャーにて導入するに至った「コミュニケーションの設計」と「未来型オフィス」の在り方についてご紹介できればと思います

コミュニケーションを「対面」or「オンライン」に分ける際のポイント

リモートワークを推進していくと、コミュニケーションがうまくいかなくなる場合が相次ぎます。そのため、コミュニケーションの設計として、対面とオンラインを使い分ける必要があります。

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「ホワイトボードを利用して議論する会議」は基本的に対面が望ましい

さらに細かく、コミュニケーションを分別すると、以下の図のように表されます。

リモートワークを推進する際のポイントとしては、ビジネスチャットが活用されていない、TV会議が当たり前にできないと、生産性は著しく下がります。

普段からチャットコミュニケーションやオンライン通話が活用されていることが前提となり、コミュニケーション手段を最適に活用するリテラシーの有無次第で、リモートワークの成否は大きく分かれます。

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シチュエーションや当人の情報処理能力、ビジネススキルに合わせてコミュニケーションの設計に取り組まなければ、ビジネスでのパフォーマンスが大きく異なってきます。

そのため、マネジメント層としては、取り組みに応じてメンバーとの距離感やミーティングの形態を変えていく努力が求められます。(弊社メンバーのツイートでも同様の内容に言及があり、そのスタンスに多くの注目が集まりました)


「推進レベル」に応じて、リモートワークで目指す姿を見直し、柔軟な取り組みの変化が求められる

リモートワークの推進レベルに合わせ、目指す姿や取組みの見直しが求められます。

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各社にて在宅勤務を原則とするレギュレーション構築が進行し、上図の「活用レベル3」、つまりは勤務体系としてフルリモート状況となっている企業は増加傾向にあります。

弊社の例を挙げると、チャットコミュニケーションのインフラとして Slack を普段から活用しており、業務基盤としては G Suite を活用したドキュメントファイルやシート管理が浸透しておりました。このように通常時からオンラインでの業務が推進されていたことから、今回の全面的なリモートワーク移行にあたり、会議体やコミュニケーションの見直しを最低限に留められたと捉えています。

また、今回新たに発生した取り組みもご紹介すると、TV会議の活用を促したり、パソコンにてTV会議や音声共有機能をONにしておき、仲間と常に繋ぎっ放しとすることを推奨したりしました。(弊社ではDiscordを活用するメンバーが散見されました)

何か疑問や解決策を思いついたときに、「あ、●●さん、△△の件なんですが・・・」と隣で一緒に働いているように話しかけやすい状況にしておくことにより、業務遂行に必要なコミュニケーションが担保され、仕事が円滑に進んで行きます。また、リモートワーク特有の寂しい、何をしているか分からなくなったという問題も概ね解決していけます。

ホワイトカラーの業務としては、仕事のコアとしてコミュニケーションが大きな割合を占めることもあり、リモートワークの導入により、全体のコミュニケーション量が減ってしまったという組織の場合、取り組みが失敗であったと結論付けられても仕方ないと思われます

また、取り組みがうまくいかないケースの大多数に当てはまるのは、リモートワーク自体の問題というよりも、これまで顕在化されていなかったコミュニケーション構築自体が問題であるパターンです

時には、常にホワイトボードを活用するような濃密なディスカッション、つまりは対面でのコミュニケーションが必要となる場合もありますが、「コミュニケーションの形態や質」を分類し、現在の業務に必要な準備ができるメンバーが増えると、リモートワークは成功に近づくでしょう。

弊社では、原則リモートワークまで一気に舵を切っている状況ですので、今はフレックス制度を一旦辞め、全員で同じ時間、オンラインで隣にいる感覚で一緒に働いている状況を作りながら業務を進めています。

次世代ワークプレイスの構築として欠かせない「リアル」と「サイバー」の捉え方

今回のようなコロナウイルス対策による緊急時対応、および東京オリンピック等を見据えたシーズン対応を前提とした生産性向上を考えると、オンラインであらゆる業務が推進される環境と活用できるようになる「サイバーオフィス」の構築が重要となります。

サイバーオフィスで「出来ること」を整理して取り組めるようになれば、相対的に、リアルオフィスの役割や設計も大きく変わってきます。将来的には、会社に行くのは、濃密な議論を必要とするシーンと、入社したてのメンバーの育成(入社オンボーディング)に絞られていくと考えています。

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「誰」と濃密なディスカッションを交わしたいかにより、オフィス設計や働き方は大きく変わってくる

これまでは必要に応じてオンライン/オフラインごとのコミュニケーション設計に触れてきましたが、生産性向上の観点では、徹底的にオンラインで働けるようにすることが重要となります。

一方で、イノベーションや新しい価値創出の観点で捉えると、「誰」と「どこ」でコミュニケーションを取るかにより、そのパフォーマンスは大きく異なってきます

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オフラインの自社オフィスに人が集い、話し合う場にて新しい価値創出を生みたいのであれば、なるべく社員が会社に行きたくなるようなオフィス設計や、社外の方が自由に出入り可能なスペースの提供も重要となります。

代表事例として挙げられる西海岸のGoogleオフィスでは、世界中の天才を採用するために、彼ら彼女らをキャンパスに集め、日々のコミュニケーションが生まれやすい場を提供しています。キャンパスでは、みんな日中からサッカーをしてたり、プールで泳いでいたり、農園で野菜を育てていたりします。

日本でも、社外の方が自社オフィスを活用できるオフィスとして、Yahoo! JAPANさんが提供するLODGE(ロッジ)などが例として挙げられます。

社外の方と話し合い新しい価値創出を目指すなら、他社やベンチャーとオフィスをシェアする思想を持ち、顧客と一緒に働くワークプレイスの設計などもあります。オランダのマイクロソフトのヘッドクオーターなどは、従業員の席は人数に対して半分くらいしかなく、覗きに行ってみるとガラガラであることも少なくありません。街にたくさんあるコワーキングスペースでスタートアップや他社と一緒に働いています。

ベーシックでは「新しい働き方」への取り組みを増やしていきます

最後のまとめとなりますが、リモートワークはパフォーマンスを最大化するためのものであることが大前提であり、在宅勤務が推奨されたからといって業績が落ち込むような結果になってしまっては、会社としては元も子もありません。

先日に弊社ferretの記事でも言及しましたが、ベーシックは現在IPOを目指しており、新しい働き方を模索しつつも、事業を一緒に推進&成長させることに妥協するつもりは一切ありません。

今回のnoteを通じて、現在リモートワークや新しい働き方を模索している人にとって、何かしらの気づきを与えられることを願っています。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

経営戦略、人事戦略、働き方について、自身の経験を通じて得た気づきや学びを書いていきます。フォローしてもらえると喜びます! リクルートにて営業→経営企画室長→広報ブランド推進室長→働き方変革推進室長→リデザインワークを創業+ベーシック取締役COO+情報イノベーション大学客員教授