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沖縄一人旅#3 読谷村

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沖縄3日目。

石垣島を離れ、沖縄本島の読谷村へ。
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暴風。雨もぽつりぽつり降っている。
昨日までの初夏のような暑さはどこへやら。

7分丈Tシャツ一枚にアームカバーをつけただけの格好で、バスを降りた途端、寒すぎて帰りたくなった。
曇天すぎるので気持ちも全く晴れない。

目的地のやちむんの里まで歩くのも、やちむんの里を探検するのも億劫になりそうだったけれど、実際に訪れてみると、頑張って歩いた甲斐があったなぁと思えた。

読谷山窯や、読谷村陶芸研究所などは昔のままの状態で、

「陶芸家たちは、人里離れたこの土地で作品制作に取り組んでいたんだな〜」

「血と汗と涙の時間がそこにあったんだな〜」

と、そこの空間だけに流れる特別な時間軸を外から眺めているような、そんな感覚を覚えた。

この場所で、沖縄のやちむんを再発見してくれた民芸運動家たち、本当にありがとうだな。
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少し道を外れ、奥へ奥へ進んでいくと、屋根の下に薄い木の板、その上にやちむんを並べた工房を発見した。

簡易的な展示の仕方だけれど、他のギャラリーより比較的安い。
けれど、嘘のものじゃない、真心がこもったものだと何となく分かる。

誰もいないのかな〜と思いながらしばらく眺めていると、奥からおじいさんがやってきて、
「何かあったら呼んでください」と笑顔で言ってまた奥に入っていった。

すると突然、猫がやってきて、やちむんが並べられた板の上にひょいっと昇り、
やちむんには一切触れることなく、上手く間をすり抜け、ぽつんと座った。

ニャーとも鳴かない。
あまりにも長くいるものだから、なんだか愛おしくなって、

あなたが来てくれたから記念に買っていこうかしら、

ということで、買うか悩んでいた「楊枝壺」を買ったのだが、

え、もしかして、そういうセールス方法?

この猫は、お客さんが来たら、売ってやるぞ!という気持ちで、他のお客さんのときも同じようにやちむんの机の上に座るのかな?

少しずつ色や形が違う楊枝壺

奥の作業室のようなところにいるおじいさんのところまで行き、

「これください」というと、

「今メルマガ登録すると楊枝壺プレゼントしてるんだけど」と案内してくれたので、
メルマガを登録し、無料で楊枝壺をもらった。

笑顔がすてきなおじいさんが作ったとてもかわいい楊枝壺、ずっと大切にしよう。
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やちむんの里で、蓋つきお椀も買い、30分歩いてゆんた市場へ。

いくら歩く旅が好きだと言っても、雨の中、暴風に晒されながら歩くのはご免だ。

けれど、このときは歩くしか手段がなかった。

寒さに凍えながら歩く自分を惨めに感じながらも、耐えに耐え、ようやく到着。
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市場を散策してる途中、わらび餅を持った読谷のおじいに、「これおいしいかな?」と突然話しかけられた。

「おいしいんじゃないかな??」

と孫になった気分で答えると、

「食べてみようか〜」とおじい。

続けて、手に持っていたカラシ菜を見せ、

「これ美味しいよ、炒めて食べるの。ただ炒めるんじゃなくて、一回塩でもんでからね。俺は上手にできないけど、小さい頃おかあがよく作ってくれたから」

って笑って話してくれた。

おじい〜!かわいいなあ!!
今回は買わなかったけど、今度カラシ菜を買うことがあれば、おじいのこと絶対思い出すよ〜!
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そんなおじいとの会話もできた買い物の後、
近くのJA役場らしき建物にあったベンチとテーブルで購入したものを食べた。

もずくの天ぷら、ポーポー(プレーンと紅芋あん)、紅芋入りクッキー、サーターアンダギー、読谷ブランドのいちご、カニステル(オレンジ色のフルーツ)

もずくの天ぷらは、所々入っているたまねぎが甘くて美味しい!
沖縄の天ぷらは厚い衣が特徴らしいけれど、なんだか衣がもちもちしている!
このもちもち感は、いわゆる「ごまかしの衣」ではなく、厚い衣でごまかす天ぷらへの制裁は、この天ぷらに関しては必要なかった。
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紅芋あんのポーポーは、すごく素朴でお茶が欲しくなる。

そういえば、昔、祖母が、小麦粉でつくった皮で餡子をまいたものをおやつで出してくれた。

それを思い出した途端、
え!あれポーポーじゃん!と気づいて、

どこのおばあも考えることは同じだなあと愛おしくなった。
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沖縄最終日の夜は、予約しておいた「うりずん」という沖縄料理屋さんへ。

泡盛ベースのさんぴん茶カクテル、血イリチイ、ドゥル天を注文。

血イリチイ
(豚の内臓やニラ、ニンニクを新鮮な豚の血で炒めたもの)

血ってどんな味だろう?!という好奇心から注文したそれは、
レバーからたまに感じる「鉄のような味」を少し強くした感じで、
魚の血合い部分が好きな私は好みだった。

豚の鳴き声以外は食べる、という沖縄の豚肉文化。

血まで丁寧に扱うこと。

料理をいたただく側は、料理をする側が込めた食材に対する尊敬の意を、しっかりと理解して食べることで、その尊敬の意は、連鎖して受け継がれていくのだろう。
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そしてドゥル天!

ドゥル天(里芋のようなトロトロホクホクした田芋と豚肉、しいたけ、かまぼこを一緒に練りに練ったドゥルワカシーを丸めて揚げたコロッケ)

サクッとした中からトロッとした田芋。豚肉としいたけのだしが滲み出てくるので、それはそれはトロホクじゅわ〜なコロッケ。

実は食べるのは2回目だけれど、初めて食べた時おいしかったので、ドゥル天発祥のうりずんで食べてみたかった。

1回目のときは友達と分けたため、一個しか食べられなかったけれど、今回は3個を独り占め、、。
あー贅沢だ。

一度ハマったらまた食べたくなるこの味。
だけど、コンビニとかで気安く販売してほしくない揚げ物。それがドゥル天。
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お店の棚には、泡盛の瓶や壺が数多く並べられていた。

そして、店の奥の片隅では、古壺の下にシーサーが隠れていた。
きっと、このシーサーは、お店が大事にしている古壺を昔からずっと守りつづけているのだろうな。
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美味しいお酒と美味しい料理で締めくくった沖縄3日目。

13.4km(2万2681歩)歩いた。

帰るだけの明日がもうすぐやってくる。

今日もいい日だったな〜、寒い中歩いたこと以外は。
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