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プログラミングできる高校生とドキドキの出会いとCo-KoNPILe

〜 流氷交差点 interview vol.0 〜


本記事は、連載対談の記念すべき!? 0回目でございます。

地方ITコミュニティの活性化に繋がる活動をしている「サイボウズ株式会社の西原さん」に、同じく「サイボウズ株式会社の風穴さん」がインタビューをしました。

なんと音声も公開しています。
そしてなんと、対談音声の全文は、テキストでも公開しています。

お待たせしました。それでは、ここから 🔽 記事スタートします!

小金井・国分寺・小平市近辺の
オフライン会勉強会に始まり、
オンライン運営に安定するまで。


―― じゃあ今日は記念すべき第0回。インタビュー始めます。ではよろしくお願いします。

よろしくお願いします。

―― 今日のゲストはCo-KoNPILe(ココンパイル)西原さんに来てもらっていまーす。 じゃぁさっそくですけど、Co-KoNPILeについて紹介してもらっていいですか?

今自分が住んでいる東京都小平市というのはですね、隣に小金井市とかや国分寺市があって、その地域を行き来して活動することが多く、その(こがねい)と(こくぶんじ)の「こ」のつく単語と「コンパイル」という単語と、そして「共通の」とか「共同の」という意味も含め、Co-KoNPILe (#cokonpile, ココンパイル)ということになっているんですね。
この小平市近辺で勉強会をするというコミュニティとして誕生して、今はZoomやDiscordで集まったりして、ちょこちょこ発表会をしています。

――  開催頻度はどれくらいですか?

 今は茶の間Co-KoNPILeという自由な会をやっていてですね。それが2週間に1回。金曜日の夜に実施して、たまに昼間の会をやるという感じになっています。

――  なるほど。では昼やるときと夜やるときとでの違いや、時間の流れなどを紹介してもらっていいですか?

昼は1時半から2時ぐらいに集まってそこから発表会をするというのが基本的な流れですね。で、人数足りないときはもくもく会にさっさと切り替えちゃうんです。なんせ公民館の予約は13時から17時しかできなくて、その縛りで17時まで借りるという。夜のときは関係ないんですけど。夜の茶の間Co-KoNPILeの時間は夜20時にスタートして、22時に中締めするんですけど、あとは好きにしなさいっていう。一応、終わりがあるというルールですね。

――  発表は、LTみたいにやるんですか?

昼間の会のときは5分、10分で時間決めてるんですけど、夜は時間決めないで、何を発表したいかというのをHackMD(※)にあらかじめ書きます。書いた順で、発表を好きなようにしなさいという。あれをLTというのかは微妙ですけど、時間制限のない自由な「発表」ですね。

※:Markdown文書を複数人で同時編集できるオンラインサービス。
https://hackmd.io/


なんでも発表OKにしたら
「靴の修理の話」を
し始める人も出てきて
みんな自由に盛り上がる。


――  発表する内容はどんな感じなんですか?

もうね、来た人が好きなことやっているから…。ぼくは電子回路が好きなので、ハードウェアの事とか、コミュニティ運営のことを発表したり。いつも来てくれている高校生は、触ってみた系でC++でこんなゲームを作ったよとかですかね。大人でも技術的なことを発表してくれる人はもちろんたくさん居るんですけど、たまに10何年履いた靴の修理してもらった話とか、面白いんですけどなんか意図がよくわからない発表もあったり(笑)。基本、ほぼNGなしという状況です。

――  では技術ネタに限らず、なんでも?

なんでもです。興味深い、モノに関するものであればOKという感じですね。

――  来る人ってどんな感じの人が多いですか?

そうだな〜。今はわりと暇を持て余した大学生の子達とか。もともと僕の知り合いが北海道に多くて、なぜなら今はオンラインだから。オフラインでやれていた頃は、埼玉・東京都内から電車を乗り継いでやってきたりとか。近隣の小平の人たちも、もちろん。遠くからの参加者ってそんなに居なかったんですけど、基本はその花小金井の周辺に住んでる人たちですね。エンジニアが多いですね。学生も技術を勉強してきた人が多いです。

会場探しの試行錯誤の末、
カメラ屋さんのカフェスペースを
利用することに。そして誰でも
入りやすいように間口は広く、
今はZoomで定期開催。

――  場所は具体的にどのへんになるんですか? オフラインでやっているときは。

 小平市役所の向かいのところに中央公民館というのがあり、何でそこかというと、オンラインで予約ができる公民館で、かつ夜遅くまでやっているんですよね。駅から歩いても来れるので、そこでやることが多いのと。今コロナでちょっと行きづらくなっているんですけど、カメラ屋さんのカフェスペースというのがあって…あの、バスとかでしか行けないようなところにあるんですけど、6席ぐらい窓際にあって、1日1回200円払ったらいつまでも居てもいいよという良心的なところで、そしてコーヒー飲み放題みたいな。そういうカメラ屋さんがあるんですけど。そこで2回〜3回やっていますね。

――  す、すみませんちょっとまってください確認させてください。カメラ屋なんですね。カメラ屋なのにカフェ・・・(笑)。

いやあるんだよ(笑)。ほんとカメラとか並んでるんですよね。カフェスペースなんだけどギャラリーで一週間2000円(格安)とかで貸してて。趣味で写真が好きな人たちが展示会目的でそこを使うらしいんですね。フリーWi-Fiで、電源があって、お菓子も食べれるという。持ち込んでは駄目なんだけど、あるやつはいいよと。なんかね、穴場っぽい(笑)。
元々、コワーキングスペースをネットで探したんですけど、小平市はあるんですけど、希望するものがなくて。手芸とかが利用目的のものなんですよね。たどり着いた先がそこで、カメラ屋さんに電話したら即「いいよ」って。

――  面白い。オンラインのときはZoomなんですか?

いろいろ考えたんですけど、Zoomですね。理由は、アカウント作りたくない人居るかなと思って。DiscordですとかSlackだとかはアカウント作らないといけないんですよね。間口の広さが必要だなというので、Zoomになりました。

―― ちなみにCo-KoNPILeっていつからやっているんですか?

2019年の12月ぐらいからだと思いますね。

Javaを猛勉強する高校生
のーり氏が「スクレイピングしたい」と
言うのでおののいた。
その出会いが、これを始める
"きっかけ"となった。

―― CoderDojo Kodairaがきっかけだったとか?

OSCに明星大学へ行ったら、とがぞのさんが居て、「CoderDojo Kodairaです」と偶然にも地域が一致して、「ぼくも小平です」ってそんなご縁で見に行くことになりました。その時に、はじめて僕行ったんですけど。僕と同じく初めて来たのーり氏という高校生も居まして。彼に「どんなことやっているの?」って聞いたら、めちゃくちゃJavaの勉強していることがわかって。本がすごい擦り切れている。勉強している証拠ですよね。それで「スクレイピングしたいんです。」って言うもんだからびっくりして。最初からこんな事をふっかけられるとは実は思ってなくて。こりゃすごいなと。
周りが小学生たちばかりで、その中で彼も発表するんですけど、今日はGitHubにリポジトリあげてみましたとか小学生の前でやるんですよ。いいけど、レベル感がすごい(笑)。そんな彼を見て、「ちょっとぼくソフトウェアの勉強会つくるから、そっちでまた発表しようか?」という話をしたのが、立ち上げのきっかけですね。

―― 西原さんがやりたくてやったというよりは、のーり氏のためにまずはやるかという(笑)。

実際自分がやりたい気持ちはあったんですけど、人集めるだとか知り合い少ない状態で始めるのが正直しんどいなというのがあって。小平に引っ越ししてからしばらく放置してたんですよね。のーり氏が現れて、なんかやらなきゃだめだなと思い、それで早速スタートした。

―― そういうのあるよね!そういうのいいよね!コミュニティって、自分で持っている想いだけでは、なかなか踏み出せなくて。最初の一人が見つかると、いきなり動き出すっていうのは、けっこうあるよ。

そうだと思いますよ。1人でも動くかもしれないですけど、2、3人いるとやっぱりうわーっといくのかなと。

―― 最初の1人、2人が見つかると、人が来なくてもその人1人は来る、1人、2人が来るってわかってるってだけでモチベーションになるよね。

 最初自分ひとりのために公民館代を払い続けるのはちょっとなっていうので、できなかったんですよ。今は市民団体登録ができたことで免除されて、現在ゼロ円なんですよ。

――  なにそれ任意団体でもオッケーなんだ、すばらしい。


小金井市では在住あるいは勤務の人が何人以上というのがあって。小平だったら住んでる人が代表だったり、住んでる人が全部で3人だったかな、条件が小平だったらオッケーで、それでなんとかなった。

やはりIT勉強会の会場は
ネットワークが命でしょ。
やってみて印象深かった
トップニュース3つとは。


――  面白い、なるほどね。ちなみにCo-KoNPILeは1年ちょっとですけど、トップニュースって3つ挙げるとしたら?

 一番最初の会場、綺麗な会場だったんですけど、地下だったんですけど電波入らなくて。wifiもたいして飛んでなくて、そして地下なので寒い。
【電波入らない問題】

――  ネットワーク大事だ。
 携帯電波入らないのはやばい、さすがに。テザリングでなんとかしようとしてもなんともならなくて。カフェ行ってからはけっこう面白い。いろんなところから人が来てくれて。2グループぐらいに分かれて。あっちはVimのカスタマイズやってて、こっちは自治体情報管理概要とかいう総務省の資料があって、それで端末情報を見るとか自由。もくもく会にしたんですけど、誰も黙らないというか、しゃべってて。
【もくもく会なのに誰も黙らない問題】

最後は、オンラインでやりはじめたら山口とかから地方から集まりはじめて、過去と比べると3倍以上の参加というのが何回かありました。なんでそんな人が来ているのか今でもわからないんですけど。そのへんが印象深いかな。
【地方からの参加者が増えた謎】

――  なかなかすごいですよね。勉強会タイトルでなにするかわからないのに(笑)。

なぜか来るんですよ。新しい人も来ちゃうんですよね。

―― すばらしい。今までゼロ人開催っていうのはないのですか?

 Co-KoNPILeは1回あったかな。僕だけの会は2020年の11月かな、ありましたね。

――  誰かと約束してたら来なかったとか?

そそそ、のーり氏ですね(笑)。「試験前だから駄目です」って。テスト前だったから仕方ない。一人で公民館満喫したというのがありましたね。最近の話です。

学生や児童が集まる勉強会では、
彼らの成長を阻害しないこと。

―― ちなみに、参考にしているコミュニティとかありますか? 自分が過去にやっていた経験談でもいいですし。

自分が過去にやっていた旭川の「ゆるい勉強会」とか。あれは引き継いでいるかな。労力をかけないというのがポイントです。富良野のFuraIT(ふらいと)の時は学生・児童がやってきたので、成長の場となるような仕掛けをするように心がけていましたね。成長を阻害しない、余計なことを言わない、無駄に攻撃しないというを守っていました。今は守れてないけど、地域のおやつを買ってくるというのもありましたね。懇親会もチェーン店には行かない。地域経済まわしましょうという。他にもコミュニティにお邪魔して、参考にして良いところは取り入れたりしていますね。

――  ちなみに今西原さんが注目しているコミュニティとかありますか?

そうだな、昔からあるのでいけば、一回様子見てみたいというか雰囲気を感じてみたいと思うのが、福岡の「サト研」ですね。あそこはちょっと行ってみたいですね。確か司会とかも最後に来た人がやるとか。話すテーマもホワイトボードに書いていきそこから選ぶらしく。今やっている茶の間Co-KoNPILeと近いといえば近いかな。それよりもダイナミックにいろんなこと要求されるのかな。学生のコミュニティも気になるけど、学生しか入れないじゃないですか。

地域コミュニティの繋がりを
大切にしていきたい。
これからは口コミで伝えていく。 

――  最後に、Co-KoNPILeどうしていきたいというのはありますか? 野望として1000人集めたいとか?

直近の課題としては、もうちょっとこの近辺の人に来てもらえるような活動をしたいというのはありますね。共通項として住んでいる地域というのはデカいなと。それを小平・国分寺的なところで感じられるメンツで作り、広げていくのが理想。なかなかそれができていない。他の地域の人とやるときに、地域ならではの雑談、隣町の雑談とかできるじゃないですか。IT系でもあるじゃないですか、こっちはRubyでこっちはPythonって。

―― おもしろい、それいいですね。あの、学芸大もあるし、NICTもあるから、だれか居そうだけどね。それっぽい人が。

居そうなんですけどね。どうやって広げていったらいいかで悩んでいる。北海道に居たときは市町村の面積が何十倍とかで膨大なんですよね。例えば旭川、といったら旭川が指す範囲ってものすごく広くて、そのぶんいろんな人が気にしてくれて。しかも旭川の勉強会って一個しかなくて、母体が少ないから、勉強に飢えてやってくる人が多いんですよ。一方こっちは23区に行けばいっぱいある。飢えてないから、探してくれる人も居ないからこっちから探さないといけない。その難しさが東京のほうが高いかなと思いますね。

―― 東京は行こうと思えば電車乗って行けるからね。

 小平でも向こうから来てくれたっていいとは思うんですけどね、開催回数が多いのと、なにをやっているかわからない、空気で商売しているみたいな感じになっているから、口コミで伝えていかないといけないなって思っていますね。

対談した人:

風穴江(かざあな こう)フリーランスのtech系編集者/サイボウズ株式会社 開発本部コネクト支援チーム/IIJ(技術広報アドバイザー)
https://github.com/windhole

西原翔太(にしはら しょうた)
2010年頃より北海道(旭川,北見,富良野)で中高生の学生を中心としたITコミュニティ活動を展開。2019年に東京都小平市へ移り同様の活動を展開。2020年5月サイボウズ株式会社に入社、コネクト支援チームにて、地方ITコミュニティ活性化につながる活動を模索中。元工業高校教諭。
流氷交差点。ーーーゴゴゴ〜ゴゴッという音が聞こえる、あの流氷。西原さんが名付けたこの記事シリーズのタイトル。いやぁ道民ダイナミズムだなって思いました。流氷って見たことあります? 流氷ってわたし見たことないんですが、北海道に住まわれている方は一度は目にしているんでしょうか、素朴な疑問。それでわたし個人の勝手な想像なんですが、流氷と流氷が混じり合うように、勉強会を通して人と人とが交流すると、なんらかの化学反応が起きるとか、その人の学習意欲だとか、ものづくりの発想だとか、そういうものを刺激していきたいのかなぁと。このインタビュー記事を書き起こすうえで、知らない言葉の出会いにワクワクしていました。彼の地方学生を支援するゆるやかな活動、陰ながら応援しています。

このイラストと記事を書いた人:鎌田広子(@kamapu

この記事を、以下のライセンスで提供します
CC BY-SA
これ以外のライセンスをご希望の場合は、DMにてお問い合わせください。
または、
サイボウズ株式会社 開発本部 コネクト支援チーム (西原・風穴) まで。
問い合わせ先:<insideout{at}cybozu.co.jp> 

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